2016年8月21日日曜日

【南シナ海情勢】ベトナムの防衛戦略と米中の対峙

中国の海洋進出にロケット弾を向けるベトナム
南沙諸島に発射台設置、中国建設の滑走路を射程内に
北村淳 2016.8.18(木)http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47627
軍用機から撮影した、南シナ海・南沙諸島のミスチーフ礁(2015511日撮影、資料写真)。(c)AFP/RITCHIE B. TONGO
 ベトナムが南沙諸島のいくつか(少なくとも5つ)の島嶼に長距離ロケット弾発射装置を配備したことが西側情報筋によって確認された。
 先月、国際仲裁裁判所が「中国による南シナ海での歴史的背景を論拠にした九段線の主張は国際法上認められない」という裁定を下したにもかかわらず、中国は南沙諸島・人工島での軍事施設建設を完成させようとしている。そのため、ベトナムは自らが実効支配を続けている島嶼環礁の自衛態勢を強化する姿勢を示して主権維持をアピールしているものと思われる。
 ベトナム政府や軍当局は、ベトナム軍による南沙諸島へのロケット弾発射装置配備の事実を認めていない。しかしながらベトナム軍指導者は、「南沙諸島はベトナム固有の領土である。自国の主権が及ぶ領域内に、自衛のためのいかなる兵器を配備しようが、それはベトナムにとって正当な権利の行使である」と公式に述べており、新兵器配備を示唆したものと考えられている。
EXTRA長距離ロケット弾の発射装置を配備か
 ベトナムが南沙諸島の島嶼守備隊に配備した発射装置は、イスラエル製のEXTRA長距離ロケット弾を発射することができる地上移動式発射装置と考えられている。
EXTRA発射装置(写真:IMI)
 EXTRAを開発・製造しているIMIIsrael Military Industry社)によると、この長射程ロケット砲システムは20キロメートルから150キロメートル先の敵指揮管制センター、補給施設、各種軍事インフラを攻撃する能力に秀でており、命中精度はCEP(半数必中界)が10メートル(発射したロケット弾の半数以上が目標の10メートル以内に着弾する)とされている。
EXTRAは中国軍が保有している各種長距離巡航ミサイルの性能には及ぶべくもないが、ベトナムのような軍事予算が限られている国々にとっては、巡航ミサイルの代替兵器となり得るハイテク兵器である。また、ロケット弾そのものも比較的小型で、移動式発射装置も隠匿性に優れているため、敵の攻撃を受けにくいという利点がある。
 ベトナムはEXTRA発射装置を、中国が人工島に建設した滑走路を破壊できる位置に配備したものと考えられている。現時点では発射装置のみが守備隊に配備され、ロケット弾そのものは送り込まれていない模様だ。ただし、戦闘の可能性が差し迫った場合には、23日以内にロケット弾の発射態勢が完了するという。
EXTRAロケット弾(写真:IMI)

危機に瀕するベトナムの実効支配
ここ2年来、中国は南沙諸島の7つの環礁を人工島化してしまい、そのうちの3つには3000メートル級滑走路まで建設し、いわば“南沙人工島基地群”を誕生させた。
 そのため、日本を含む国際社会では、あたかも中国だけが南沙諸島に軍事力を展開させようとしているかのごとく受け止められている。しかし、ベトナム、フィリピン、台湾など中国に対抗して南沙諸島の領有権を主張している国々も、ある程度(決して強力ではないが)の軍事力を展開させて南沙諸島の島嶼環礁を占拠して実効支配を続けている。
南沙諸島に建設された各国の滑走路

 たとえば、ベトナム、フィリピン、マレーシアそして台湾も、南沙諸島にそれぞれ1カ所の滑走路を保有している。もちろん、中国の3000メートル級滑走路を有する本格的航空施設(航空基地)に比べれば、それら諸国の航空施設は取るに足らないものである。
 また、南沙諸島を構成する数多くの島嶼・環礁・暗礁のうち主要(手を入れれば守備隊などを配置することができる)なものは50カ所程度であるが、それらのうち最も多くの拠点を確保しているのがベトナムである。
 しかし、中国による人工島基地群の建設によって、ベトナムが占拠を続けている拠点は、数は多くても中国の強力な軍事力の前には手も足も出ない状況に陥りつつある。そこで、ベトナムは5カ所の守備隊にEXTRAを設置し、中国の人工島滑走路を攻撃できる態勢を固めつつあるわけだ。
中国は反撃態勢へ
もちろん、ベトナムがこのように強力な自衛態勢を固めようとすれば、それに対応して中国も反撃態勢を固めるのは自然の成り行きである。アメリカのシンクタンクの分析によると、人工島の3カ所の滑走路には、それぞれ戦闘機が少なくとも24機、それに加えて爆撃機や輸送機など大型航空機も数機が配備可能な格納施設が建設されていることが確認されている。
 したがって、ベトナムのEXTRAによる攻撃から南沙人工島に建設されている航空施設、研究施設、灯台、それに民間人を守ることを口実にして、人工島基地群に戦闘機や爆撃機を配備することは十二分に考えられる。
 航空機や軍艦の配備に加えて数多くの各種長射程ミサイルを保有している中国は、対地攻撃用巡航ミサイルを配備して、ベトナム守備隊がEXTRAを配備する島嶼環礁に狙いを定めるであろう。
口先だけでは実効支配にならない
 ベトナムは、このような中国人民解放軍との軍事的緊張の高まりを前提としてEXTRAを配備し、南沙諸島の自衛措置を強化しようとしているのだ。
 島嶼環礁を口先だけで「実効支配している」と言ってみたところで、その実効支配を認めないと主張する相手が軍事的圧力を加えてきた場合には、自らも軍事力による自衛措置を固めなければならない。もちろん、ベトナムと中国の海洋戦力を比較すれば、専門家でなくとも中国が圧倒的に優勢なのは一目瞭然である。しかし、中国による軍事的圧迫に対して、できる限り軍備を強化して、主権的領域を守り抜く姿勢を見せることは、実効支配を維持するための国家としての最低限の責務といえよう。
 圧倒的に強大な人民解放軍海洋戦力に、EXTRAのような新兵器を投入してなんとか自衛態勢を固めようとするベトナムの動きに対して、次のように評価しているアメリカ海軍関係者は少なくない。
「アメリカは中国の人工島基地建設を牽制するためにFONOP(「航行の自由」作戦)を小出しに実施したのみで、現在は(自らの空母を防衛するために)戦闘空中哨戒を実施している程度に過ぎない。ベトナムは相変わらず勇敢で、気骨のある動きを見せている」
冷静と卑怯は違う
もちろん、自らの領土領海を自衛しなければならないベトナムと、国際的な面子を保つために中国の南シナ海での軍事的侵攻政策に異を唱えているアメリカとは、軍事的関与の程度に差が出るのは致し方ない。
 しかし、ベトナムと中国、そしてアメリカの対抗構造を南沙諸島から尖閣諸島に移してみると、「自主防衛態勢を固めようとする気骨のあるベトナム」と「結局はアメリカ頼みの日本」という差が如実に浮かび上がる。

 冒頭で紹介したベトナム軍指導者の言葉のように、日本の主権が及ぶ領域内に、自衛のためのいかなる兵器を配備しようが、なんらかの設備を建設しようが、それは正当な権利の行使である。そのような自主防衛措置を実施しないことを「冷静な対応」と称して、とどのつまりは日米同盟にすがりつこうというのでは、ベトナムとは対照的に「卑怯で気骨のかけらもない」態度ということになってしまう。

《維新嵐》 比較的海軍力の脆弱なベトナム軍が共産中国に対して、「強気の」防衛政策にでられるのは、過去に中越戦争で「負けなかった」という国民的な自負もあるでしょうが、やはりアメリカとの関係改善が大きい要素になっていると考えられます。

焦点:米越の関係改善、南シナ海狙う中国の「頭痛の種」に
ロイター

[香港/北京 27日 ロイター]米国とベトナムの関係強化は、南シナ海をめぐる中国の戦略見通しを一気に複雑化してしまった。
オバマ米大統領は、ベトナムへの武器禁輸措置を全面解除するという歴史的な政策転換により、任期最後のアジア歴訪における同国訪問を飾ったが、それは直接中国に向けられたものではないと繰り返し強調した。
しかし、かつて敵国だったベトナムと米国が完全に関係を正常化したことは、中国にとって短期的にも長期的にも戦略的な頭痛の種になるだろうと、同地域の軍事筋や安全保障専門家は指摘する。
専門家によれば、運用面において中国は短期的に、ベトナムが中国軍への監視を強化するために米国からレーダーやセンサー、偵察機やドローンを手に入れる可能性に直面することになる。
長期的には、オバマ政権のアジア重視戦略において、ベトナムが主要な役割を担うことを意味する。米軍事産業は、ベトナムへの高額な兵器販売をロシアと張り合うことになる。また、南シナ海でベストな自然港であるカムラン湾を使用するという米海軍が長年抱いてきた願いがかなう可能性があると、軍事筋はみている。
外交筋によれば、たとえベトナムが軍事同盟に向けた正式ないかなる措置を避けたとしても、中国の領有権主張をめぐり、政治的な協力や情報共有の拡大がなされる可能性があるという。
このような動きは、ベトナムの軍事戦略家の目的と一致するものだ。彼らは急速に近代化する中国軍が再度べトナムを攻撃することに対する代償を高めたいとロイターに語っていた。
1980年代に中国との国境で起きた紛争や88年の南沙(英語名スプラトリー)諸島における海戦よりも、今後に起きる中国との戦いははるかに困難なものとなることをベトナムは理解している。

<外交に依存>

中国当局は今のところ、反応を示してはいない。
だが中国はベトナムが近代兵器を入手し、それらを南シナ海に配備することを注視していると、元外交官で、中国国際問題研究院の阮宋澤氏は指摘。「これが中国とベトナムの領有権問題に影響する可能性はない、とは言えない」と述べた。
中国本土の安全保障を専門とする嶺南大学(香港)の張泊匯教授は、ベトナムの政策立案者たちは近代的な中国軍には勝てないと分かっている故、中国と安定した関係を維持するためには外交に頼らざるを得なかったとの見方を示した。
オバマ大統領がベトナムを訪問した後でも、このような状況は今後も続くとみられると、張教授は指摘。同大統領のベトナム訪問を「最も安上がりな防衛手段」と評し、「ベトナムは米国を抑止戦力の強化に組み入れようとしている。中国との関係を深めるには、米国というカードを使わなければならない」と語った。
<カムラン湾>
米海軍当局者は、ベトナムへの寄港を徐々に増やしたいが、中国に圧力をかけ過ぎることに対するベトナムの懸念を承知していると話す。
ベトナム当局は、カムラン湾に外国艦船の寄港を受け入れる新たな国際港の開港を3月に発表した際、ベトナム軍の報道資料によれば、中国軍は正式な招待を受けた最初の外国軍の1つに含まれていた。
米海軍の入港は現在、長年計画されてきた正式な業務事項だが、米艦船がカムラン湾に定期的に寄港できるようにするには、提供協定が長期的な選択肢の1つだと、米軍当局者は語る。
安全保障専門家によると、例えば寄港が少し増えるだけでも、南シナ海における中国の活動を複雑化するという。中国は現在、スプラトリー諸島に建造した7つの人工島で進める軍民両用の施設建設に重点を置いている。
中国は自国の領土として、南シナ海の80%を主張。一方、台湾、フィリピン、マレーシア、ベトナム、ブルネイも、世界で最も重要な航路の1つである同海域の一部で、領有権を中国と争っている。
武器禁輸措置の解除は、米国の武器製造業者にベトナムだけでなく、急速に開発が進む他の東南アジア諸国でも商機を与えることになると、タイのプラウィット副首相兼国防相の軍事顧問は指摘する。
「米国には、ラオスやカンボジアのような、ロシアや中国の武器を使っているさまざまな国において機会と需要が開かれている。こうした国々の経済は拡大しているが、武器は古いので商機はある」
Greg Torode記者、Megha Rajagopalan記者 翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)
《維新嵐》 ベトナムもアメリカ政府の核戦略の傘の下にあるという状況になってきていますが、そのアメリカの核に関する政策についてはこちらです。

オバマが遺産にしたい核の新政策
岡崎研究所  20160818日(Thuhttp://wedge.ismedia.jp/articles/-/7499

2016710日付のワシントン・ポスト紙で、同紙コラムニストのロギンは、核の先制不使用や核実験禁止などの新政策を打ち出すことをオバマ大統領が考えていることを紹介しています。論説の要旨は、次の通りです。

プラハでの提案を前進させる
 オバマ政権は大統領の核政策を前進させるために行政措置を採択する決意をしている。外交上の遺産を残す努力の一環である。オバマは核兵器の役割を減少させ、最終的には廃棄することを、2009年、プラハで明らかにした。ロシアとの新START条約締結、核セキュリティ・サミット、イラン核合意など成果を上げてきた。
 最近、国家安全保障関係閣僚は核政策について2度会合をした。検討中の選択肢は論議を呼ぶものであるが、議会の正式な賛成を要しない。国家安全保障会議のローズ次席補佐官は、66日軍備管理協会で、「オバマ大統領はプラハで提起した問題を前進させる方策を検討している」と述べた。
 高官によると、米国が「核の先制使用をしない」と宣言することも含まれている。これは画期的な変化になる。もう一つの選択肢は核実験禁止を確認する「国連安保理決議」の採択である。上院が包括的核実験禁止条約を批准しない中、核実験をしないとの米国の意思を確固たるものにする。またロシアに対して、新START条約の有効期限を2026年まで5年間延長する提案をすることを検討している。次期政権がこのSTARTを失効させないためである。さらに長距離巡航核ミサイル開発の中止や遅延、核警戒態勢の緩和も検討されている。
 共和党の議会指導部は、オバマが議会との約束に反し、米国の核抑止力を弱める措置を最後の数カ月で決めることに反対している。上院の外交委員会のコーカー委員長と軍事委員会のマケイン委員長は、START条約批准は核兵器を近代化する約束と共に行われたとの書簡を送付した。反対派はまた、米国の核の傘の下にいる同盟国への影響を考慮していないとしている。
 軍備管理推進派などは、オバマは出来る限り多くのことをやるべきで、核についての自身の約束を守る最後のチャンスであるとしている。オバマは核兵器についての遺産を残す機会と見ているが、議会の支持のない一方的な政策は彼の大統領任期を超えては続かない危険がある。
出典:Josh Rogin Obama plans major nuclear policy changes in his final months (Washington Post, July 10, 2016)
https://www.washingtonpost.com/opinions/global-opinions/obama-plans-major-nuclear-policy-changes-in-his-final-months/2016/07/10/fef3d5ca-4521-11e6-88d0-6adee48be8bc_story.html
 オバマ大統領は、核兵器のない世界を目標として掲げてきました。同時に、この目標が、自分が生きている間には実現しないだろうとの現実も認めてきました。しかし、大統領任期も終わりに近づく中、米国による核兵器の先制不使用や核実験の禁止を約束し、米国の核兵器および運搬手段の近代化を中止するために何ができるかを検討している模様です。
ロシアが応じるとは考え難い
 核の先制不使用については、冷戦中は欧州正面においてソ連の通常兵力の方が強いとの状況があり、米・NATO側は柔軟反応戦略として、核の先制使用がありうることを抑止力としてきました。ソ連とワルシャワ同盟の崩壊後は、NATOの通常兵力でロシアの通常兵力は抑止できるので、核の先制不使用を宣言することは可能かもしれません。ロシアが核兵力に頼る度合いを強め先制使用を認めている中で、先制不使用を宣言し、ロシアにも同様な姿勢を要求することは考えられます。しかし、ロシアがそれに応じることは考え難いです。
 核を先制使用する能力は、他の大量破壊兵器である化学兵器や生物兵器の使用抑制にも役立ってきました。第1次湾岸戦争の前に、ベーカー米国務長官はイラクのアジズ副首相に、紛争になった時に化学兵器は使うな、我々には報復する手段があると脅しています。イラクはイスラエルにミサイルを撃ちこみましたが、化学兵器を弾頭にはしませんでした。当時イラクは化学兵器を持っていて、国内のクルドに対し使用しています。イラン・イラク戦争でも使用しました。核兵器先制使用の可能性は、そういう抑止の効用もあります。
 核兵器の先制不使用については、こういう点をどうするか、同盟国も巻き込んで協議する必要があります。北朝鮮には化学・生物兵器があることは確実です。核攻撃には核で報復するとしても、先制不使用を約束すれば、化学・生物兵器の抑止をどうするかの問題があります。
 核実験禁止については、米国としては、包括的核実験禁止条約を批准する努力を上院との話し合いで行うのが正道です。上院は批准しないとの姿勢ですが、だからと言って安保理決議で実験禁止を決めると言うのは少し邪道です。
米国の核政策の重要な変更は、議会、同盟国との協議を経て行うことが適切で、あまり性急なやり方でやると、持続性がない政策になりかねません。
 まだ検討している段階ということですが、重要な問題です。日本としては検討状況についての説明を求めてもいい案件ではないかと思われます。日本はどうしてほしいか、意見を固める必要もあります。
《維新嵐》 アメリカは、前世紀の忌まわしい産物である核兵器をこの世からなくしたいと本気で思っているのでしょうか?ただ新型のトマホークの後継巡航ミサイルには、核弾頭搭載の話もあり、すぐには廃絶することはできないでしょう、南シナ海、沖縄でむきあっている共産中国は、核戦略を拡大している方ですから、まだまだ核による抑止戦略は継続されるでしょうね。
前地球規模でのミサイル攻撃システムや無人攻撃機にみられるような電子戦、「軍事的攻撃手段」となりつつあるサイバー攻撃、また都市伝説と言われる方も多くみえますが、1950年代から進めている宇宙人との共同での技術開発で未だ人類が予想もつかない兵器や戦争手段を構築してくるかもしれません。新しい発想の装備開発により、核兵器による戦争抑止に頼らなくていいあり方を構築している最中かもしれません。
最後にベトナムの日本に対する国際的な役割への関与への期待感が小さくないこと、新たな共産中国の外交的な懸念、脅威についてあげさせていただきます。共産中国の秩序をアジア社会が拒否するなら、どういう形が最もベターなのでしょうか?日米同盟を中心とする形、日米韓を中心とする形、TPP?

【共産中国の海洋覇権主義への日本への期

待、日本を「警戒」する共産中国】

海上警備で中古船追加供与=南シナ海「深刻な懸念」―日越首脳
時事通信2015915()1914分配信 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150915-00000134-jij-pol

 安倍晋三首相は平成27915日、ベトナム最高指導者のグエン・フー・チョン共産党書記長と首相官邸で会談した。
 両首脳は、中国が南シナ海で進める岩礁埋め立てや軍事拠点整備について「深刻な懸念」を共有。首相は海上警備の強化を支援するため、巡視船に改造できる中古船の追加供与を表明するとともに、新造船供与に向けた協議も続ける方針を確認した。
 日越両政府は昨年8月、漁業監視船を含む中古船舶6隻を供与することで合意している。首相は会談後の記者会見で追加供与について「ベトナムの海上法執行能力の向上に資する」と強調した。
 首相は会談で、安全保障法制整備を進めていることを踏まえ、日本の戦後の平和国家としての歩みや、自身が掲げる「積極的平和主義」について説明。チョン書記長は「日本が平和的な発展の道を一貫して歩むのを高く評価する」と支持を表明した。

ベトナム新首相「日本は大国として積極的な役割を」一層の関与に期待を表明
2016.5.14 20:15更新 http://www.sankei.com/world/news/160514/wor1605140055-n1.html

南シナ海・南沙諸島のスービ礁=2015年8月(デジタルグローブ提供・ゲッティ=共同)
ベトナムのグエン・スアン・フック首相(61)が2016514日、首都ハノイで日本メディアとの会見に応じ、中国と領有権を争う南シナ海問題について「日本は地域の大国として、平和的解決に向けた積極的な役割を果たすべきだ」と述べ、日本の一層の関与に期待を表明した。4月の首相就任後、フック氏が外国メディアの取材に応じるのは初めて。フック氏は今月下旬の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)拡大会合のため訪日する予定。
 フック氏は南シナ海で航行の安全の確保に向けて「地域間協力を進めるため、日本が効果的に取り組むことを期待する」とも述べた。フック氏は14日、日本メディアのインタビューに答えるとともに、共同通信などが事前に提出した質問に文書で回答した。
 一党支配を堅持するベトナム共産党で、フック氏はグエン・フー・チョン党書記長、チャン・ダイ・クアン国家主席に次ぐ事実上の序列3位。(共同)


日本の本当に恐ろしい点「表面上は見えない隠された実力」=中国
サーチナ モーニングスター(株

 「能ある鷹は爪を隠す」という言葉がある。真の実力者は人に自分の実力をひけらかさないという意味だ。日本の低迷が指摘されて久しいが、果たして日本は「爪を隠している」だけなのだろうか。中国メディアの捜狐はこのほど、日本の本当に恐ろしい点は「隠された実力」にあると読者に警告する記事を掲載した。

 記事は日本の軍事力、経済力、科学技術力の3つの分野にそれぞれ隠された実力があると指摘。例えば軍事力については「データだけを表面的に見れば、自衛隊の軍事力は平凡」と説明する一方、量は質で補えるものだと指摘。自衛隊は古い兵器を新しい兵器に更新する頻度が高く、そのため作戦能力が高いこと、さらに高等教育を受けた隊員の数は世界トップクラスである点も見逃せないと説明した。

 さらに記事は日本の経済力について、日本はバブル崩壊をきっかけに「失われた10年」もしくは「失われた20年」を迎えることになったと主張する一方で、こうした見方は正確ではなく、見かけ上のものと主張。実際には「25年連続で世界一の債権国」とありつづけているとし、日本経済は隠された実力を今も持っていると指摘した。

 また、日本の科学技術力の高さについても、日本人はそもそも学習が上手な民族であると同時に、現時点で先端技術を数多く掌握していると紹介、「中国は日本のライバルになることはできない」という見方を示した。

 記事は「日本の実力に対する誤った認識が今でも中国に存在し、中国人は日本の真の実力を理解できていない」と主張している。中国には「兵法三十六計」という有名な兵法があるが、その第一計は相手の油断をつくというものだ。中国は日本が低迷しているとして「油断」していてはならないとの見方を示している。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)

【南シナ海と尖閣諸島(東シナ海)をめぐる米中の権益をめぐるあくなき攻防の様相】

中国海軍がタイと合同演習へ 協力を年々強化
2016.5.14 19:28更新 http://www.sankei.com/world/news/160514/wor1605140053-n1.html

タイと中国の海軍が2016年5月21日から6月9日までの間、タイで合同軍事演習を実施することが14日分かった。タイ国軍当局者が明らかにした。
 同当局者によると、演習名は「ブルー・ストライク2016」。両海軍の約千人がタイ中部チョンブリ県などの陸上と海上で戦闘訓練や救助訓練を行う。
 タイで2014年のクーデター後に発足した軍事政権は、中国との軍事協力を年々強化しており、米国や日本は懸念を強めている。(共同)

米中両軍高官がテレビ会議 南シナ海や北朝鮮協議
2016.5.14 12:52更新 http://www.sankei.com/world/news/160514/wor1605140037-n1.html

米軍制服組トップのダンフォード統合参謀本部議長と中国人民解放軍の房峰輝連合参謀部参謀長が12日、テレビ会議を行い、中国が軍事拠点化を進める南シナ海問題や北朝鮮への対応について協議した。米軍が13日発表した。
 南シナ海のスプラトリー(中国名・南沙)諸島では10日、米海軍のイージス駆逐艦が「航行の自由」作戦を実施。中国国防省は戦闘機を緊急発進させたと発表していた。
 会議では、ダンフォード氏が「南シナ海においてルールに基づいた国際秩序を支持し、同盟国とその利益を守る」との決意を伝達。紛争を避けたいとの意思も明示した。中国側の反応は明らかになっていない。
 両者は北朝鮮の核・ミサイル開発を踏まえ、朝鮮半島の平和と安定や非核化に向けて米中協力が重要で、喫緊の課題だとの認識でも一致した。(共同)

韓国のミサイル配備が中国に与える打撃

岡崎研究所 20160819日(Frihttp://wedge.ismedia.jp/articles/-/7501

ウォールストリート・ジャーナル紙の2016713日付社説が、THAAD(高高度防衛ミサイルシステム)の韓国配備決定を、韓国防衛、同盟強化の観点から支持するとともに、これを機に中国は対朝関係を見直すべきである、と述べています。要旨、以下の通り。

中国特有の高圧的な警告
 韓国による米のTHAAD(高高度防衛ミサイルシステム)の展開決定は、中国にとり打撃である。中国は、中国特有の高圧的な方法で、必要な対応措置を取ると韓国に警告してきた。習近平は朴槿恵に「慎重に扱う」よう告げてきた。
 他方で、中国は最近第4回目の核実験や十数回にわたるミサイル実験をしている北朝鮮を抑えることを拒んできた。3月の韓国アサン研究所の世論調査によると74%がTHAAD配備を支持している。朴槿恵は決定にあたって韓国の将来と北の核、ミサイル脅威から国民の生命を守ることが最重要だと述べた。中国は決定を非難したが、未だ報復はしていない。貿易や観光分野で報復をするのではないかとの懸念により韓国化粧品企業や観光企業の株価は下落した。過去に中国は韓国に対して経済報復をしたことがある。
 中国がすべきことは北朝鮮支持を再考することだ。金正恩体制は米を懸念させてはいるが、中国の目的であるアジアでの米の能力と同盟の弱体化にはなっていない。韓国の決定により日米韓の協力は強化されている(日本には既に補完的なレーダーシステムがあり今後インターセプターも配備されるかもしれない)。また日米韓三国は先週ミサイル防衛の演習を実施した。THAADは来年末までに実戦配備される。それまでに中国が中朝同盟のコストを知ることになれば、この配備は北のミサイルへの防衛以上の意味を持つだろう。
出典:‘South Koreas Message to Xi Jinping’(Wall Street Journal, July 13, 2016
http://www.wsj.com/articles/south-koreas-message-to-xi-jinping-1468448100
 ここ数年米韓、また中韓の間で問題になってきたTHAAD配備がようやく決着したことは歓迎すべきことです。78日の決定により、THAAD一基が来年末までに慶尚北道星州(韓国中央部の大邱の西方。韓国空軍施設がある)に実戦配備されます。THAADは飛来するミサイルを、PAC3と比べてより早期にかつより高度で迎撃できます。韓国の報道によれば配備されるTHAADはレーダーと射撃統制装置(発電機含む)、発射台6台、インターセプター48発(発射台あたり8発。最大射程200キロ)で構成されているといいます。韓国政府はインターセプターの追加導入の可能性も示唆しています。
 北朝鮮、中国、ロシアは配備決定に強く反発しています。中国は当初からレーダーの探知距離(10002000キロと言われるので北京も入る)などに鑑み猛烈に反対してきました。ロシアも反対してきました。かかる状況に鑑み、配備決定の米国防総省声明は、これは北朝鮮の脅威に対処するものであり、「いかなる第三国に向けられるものでもない」と述べました。さらに配備地について韓国報道は「THAAD配備地域を慶尚北道星州に決めたのもTHAADレーダーの探知範囲が中国内陸に届かないよう配慮した側面が大きい」と述べています。他方、配備地が南に下がったためソウルがカバーされなくなったので、韓国はソウルに別途PAC3を配備すると言われています。
中国への傾斜を止めた朴槿恵
 ここ数年迷走してきた韓国の外交・安保政策の経緯はともかく、何とかここに至ったことは良いことです。あれほど中国に傾斜してきた(1年足らず前の対日抗戦勝利式典では習近平と共に天安門の壇上に立っていた)朴槿恵を突き動かした最大の要因は、過去1年の北朝鮮の相次ぐミサイル発射と北朝鮮のミサイル技術の進展です。厳しさを増す安保環境を背景に、安保派が外交派に勝ったともいえます。現に尹炳世外交部長官は最後まで反対したと報じられています。外交部は「事実と異なる」と否定しましたが、あながちありえないことではありません。
 来年末までの実戦配備に向けて着実に作業が進められることが期待されます。しかし、二つの問題があります。一つは韓国国内政治です。今や世論の半分はTHAAD展開に理解を示し、大手メディアも展開を支持する社説を書いています。しかし、住民の反対運動は激しくなる様相を示しています。野党や運動家なども攻勢を強めています。
 もう一つの問題は対中関係です。中韓関係は、今後双方で緊張に振れる可能性が高いでしょう。中国は必要な戦略上の措置を取ると警告しています。今韓国の人々が最も恐れるのは中国の報復措置です。2000年に韓国が中国産の冷凍ニンニクなどの関税率を引き上げたところ、中国は猛反発、韓国からの携帯電話やポリエチレンの輸入を中断する報復措置をとり、結局、韓国側が関税率を元に戻すことで問題を落着させざるを得ませんでした。
 韓国では中国の強硬な立場に不満が募っています。中韓関係のこれまでの蜜月はどこへ行ったのかと問う声があり、一方で政府の対中外交は何だったのかと政府批判の声もあります。韓国が送り込んだアジアインフラ投資銀行(AIIB)副総裁が国内での収賄疑惑のため休職にされるなど、対中関係は既にギスギスしてきています。




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