2016年8月12日金曜日

【音響測定艦&海洋観測艦】地味に活躍したい海上自衛隊海洋情報戦略(ACINT)

 海洋観測艦は、水測状況に関する情報を調べたり、海底の地形に関する情報を集めたりすることを主な任務とする。
音響測定艦は、潜水艦を運用したり、敵の潜水艦を探知することが主な任務となる。
 どちらも海自の艦艇の中では、イージス艦や全通甲板護衛艦よりも存在自体は、地味であり、目立つことはない。しかし味方潜水艦などが作戦行動するために不可欠な情報、仮想敵国の潜水艦の音響データの収集のためには、その任務の重要性は決して無視できるものではない。

 日本は、四方を海に囲まれた海洋国家であり、仮想敵国の潜水艦が我が国近海に接近するときに必ず通過する海峡を常時警戒することにより、仮想敵国の潜水艦の貴重な「音響データ(音紋)」が収集できるのである。
 南西諸島の沖縄本島と宮古島の間を共産中国の潜水艦が潜航したまま、通過する事案もみられたが、これにより共産中国の潜水艦の「音響データ」はしっかり収集されており、もろん有事に備えて活用される。津軽海峡、対馬海峡、南西諸島などがSOSUS(チョークポイント)とされているが、情報収集という観点から考えた時に、チョークポイントを仮想敵国の艦船が通過してくることは、必ずしも安全保障上の問題ということもない。こちらにとってのメリットもあるのである。
 
 我が国の「ELINT」はこういう点からみても共産中国に劣っているということでもないといえるだろう。先年に尖閣諸島沖にて我が国護衛艦ゆうだちが、共産中国のフリゲート艦に「射撃管制レーダー」を照射されるという事実上の「攻撃」事案も記憶に新しいが、あの件にしても我が国護衛艦にて射撃管制レーダー事態を傍受、解析して、どのような兵装でロックオンしたのか、詳細なデータが収集されていた。「電子戦」の分野では、共産中国にとってわが自衛隊は、「手強い」存在であるといえる。

海上自衛隊 戦闘シュミレーション


【これぞ海上自衛隊の「秘中の秘
中国軍が最も忌み嫌う音響測定艦「ひびき」「はりま」の知られざる活動とは
 秘密が多い自衛隊装備の中でも、二重三重のベールに包まれているのが海上自衛隊の音響測定艦「ひびき」と「はりま」だ。同じ呉基地(広島県)を母港とする艦艇の乗組員も「どこで何をやっているのか詳しく分からない」と口をそろえる。
 音響測定艦が戦っている“敵”はロシアや中国など外国軍潜水艦の音だ。
 潜水艦のスクリュー音はそれぞれに特徴があり、あらかじめその特徴を把握していれば、どこの国のどのような型の潜水艦が航行しているのかを特定する決め手となる。警察官が犯人を追い詰めるため指紋を重視しているのと同じように、自衛隊は各国潜水艦の「音紋」をデータベース化している。
 音響測定艦はこの音紋を収集している。空から潜水艦の動きを監視する哨戒機や、海中に潜む潜水艦が相手方潜水艦のスクリュー音を探知し、集積されたデータをもとに船の身元を特定する。
 自衛隊が平成3年と4年に「ひびき」と「はりま」を相次いで就役させた背景には、冷戦時代末期にソ連が技術開発を進め、潜水艦が発する音が静かになったことがある。潜水艦の最大の強みは、敵に気づかれず攻撃を加える能力。ソ連潜水艦の位置を正確に把握することが、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)などの無力化につながる。
 潜水艦を発見・追尾する対潜水艦戦を得意とする海自にとって、音響測定艦は不可欠な存在となっている。その音響測定艦の能力を知られることは将来の対潜戦を不利にしかねないため、海自内でも秘中の秘となっているのだ。
乗員約40人の「ひびき」は全長67メートル、幅29・9メートル。艦尾から水中に投入する曳航(えいこう)式ソナー・SURTASSで広範囲に耳を澄ませ、海自艦が集めた音紋データは米軍と共有しているとみられる。2隻の船をつないだような船体は「双胴型」と呼ばれ、自衛隊艦船としては初めて採用された。この船体により、嵐の中でも安定的に航行できる。
 音響測定艦は冷戦終結後もロシア潜水艦の音紋を集め続けているほか、潜水艦能力の増強を続ける中国も主なターゲットとなった。25年5月に沖縄県久米島周辺の接続海域で中国の元級潜水艦などが航行した際は、米海軍の音響測定艦インペッカブルとともに「ひびき」も投入した。これに対し、中国側は日米の動きを妨害するため水上艦を展開し、音響測定艦を追尾したとされる。
 21年3月には中国・海南島南方沖で航行していたインペッカブルが中国のトロール漁船5隻に包囲された。同年5月にも音響測定艦ビクトリアスが黄海の公海上で中国漁船から航路妨害を受けた。
 有事の際、西太平洋における米軍の行動の自由を奪うことを目標とした中国の「接近阻止・領域拒否(A2/AD)戦略」の中で、潜水艦は中核的な役割を果たす。それだけに、中国にとって日米の音響測定艦の存在は天敵ともいえる。(杉本康士)



【海自の海洋観測艦】

海底の地形・海流・水温などを丸裸にする世界屈指の情報収集能力

海洋観測艦「しょうなん」は船体構造を商船仕様にしたことで、建造コストの削減に成功した(海上自衛隊提供)
(画像:https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d7/AGS-5106_Shonan_in_Yokosuka.JPG) 

2016.2.3 07:00更新 http://www.sankei.com/premium/news/160203/prm1602030003-n1.html

四方を広大な海に囲まれた日本を守るためには、潜水艦や掃海艦による高度な海中・海上作戦が欠かせない。海上自衛隊が誇る最新鋭の「そうりゅう型」潜水艦や掃海艦艇の能力の高さは世界でも屈指で、乗組員の練度も高い。ただ、それだけでは十分ではない。潜水艦や掃海艦が能力を最大限に発揮するには、海洋観測艦による情報収集が肝となる。
 海洋観測艦の主任務は、海底の地形や底質、潮流、海流、磁気、水温、水質など対潜戦に影響を与える自然環境のデータ化だ。民間の海洋調査船や測量船とは異なり、生物調査などを行わず、軍事目的に特化した海洋情報を収集するのが特徴だ。
 海自幹部は「海底には敵に発見されにくいポイントや、音響が伝播しやすい水質などがある。それを把握しているか否かで、海中作戦の立て方は大きく変る。掃海艦を駆使する機雷戦においても、潮流の情報は死活的に重要だ」と説明する。
 昨年6月に海洋観測艦「すま」が退役し、現在は「しょうなん」「にちなん」「わかさ」の3隻体制。日本周辺海域を中心に、日々の情報収集任務に当たっている。
 最も新しい海洋観測艦が、平成22年に竣工した「しょうなん」だ。21年に退役した「ふたみ」の後継艦で、主推進機には海自初の旋回式推進装置を採用。船体構造を商船仕様にしたことで、建造コストの削減に成功した。海潮流や塩分濃度の観測をはじめ、精密海底地形調査能力を備えたことで、海洋環境データの収集能力が強化されている。



3隻の海洋観測艦の中で最大の船体を誇るのが「にちなん」だ。全長111メートル、幅17メートル、基準排水量3350トンで、乗組員は80人。最大速力は18ノット(時速約33キロ)。観測艦「あかし」の代替として、11年に竣工した。
 最新鋭の海洋測量装置や海中音響観測を搭載し、海洋観測艦の主力と位置づけられている。最新の「しょうなん」は、この「にちなん」の小型軽量化をコンセプトに建造されている。ちなみに、にちなんは25年11月、ケーブルでつないで遠隔操作していた無人潜水装置(ROV)を津軽海峡で紛失。「環境への影響がない」などとして公表していなかったことが批判を浴びたこともある。
 海自が運用する最も古い海洋観測艦が「ふたみ」型の2番艦として昭和61年に竣工した「わかさ」だ。艦名は若狭湾に由来する。従来の海洋観測艦に比べ、安定した低速航行ができることになったのが特徴。21年に海自初となる大型艦の女性艦長を乗せたのも、この「わかさ」だった。(政治部 石鍋圭)

海上自衛隊岩国基地のEP-3電子情報収集機




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