2016年7月16日土曜日

共産中国とタイとパキスタンの「危ない関係」 ~合同軍事演習と潜水艦購入で海軍力の提携を謀る~

潜水艦3隻購入で中国に取り込まれるタイ海軍
阻止できるのは日本の中古潜水艦
北村淳 2016.7.14(木)http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47328


中国海軍の元型潜水艦(写真:USNI

 タイ国防大臣(副首相を兼任)であるプラウィット陸軍大将(退役)は、タイ海軍が中国から潜水艦を3隻購入するための予算案の認可を閣議に提出した。
 タイ海軍は過去数年間にわたって潜水艦を購入する試みを続けており、2015年夏にも、プラウィット国防大臣が中国から潜水艦を購入する計画を決定している(本コラム201572日)。しかし、タイ軍事政権による最終認可を得ることができず、潜水艦購入計画は最終段階で“逆転撤回”という結果になったという経緯がある。
10年ローンで購入可能に
昨年の潜水艦購入決定をタイ政府が白紙にした最大の理由は、タイの国家予算にとって潜水艦はあまりに高額すぎるということであった。今回再びタイ海軍が購入する方針を打ちした中国の「元型S26T」潜水艦の価格は1120億バーツ(およそ342億円)とされており、高い買い物であることに変わりはない。
 しかしプラウィット国防大臣は、中国が提案しているS26T潜水艦の性能や耐用年数(もちろん“カタログデータ”ではあるが)から判断すると、1隻あたり120億バーツのパッケージ「360億バーツ」は決して高額すぎるわけではない、と主張している。
 加えて、今回の中国側との取引は、11年間に分割して支払う方式になるという。そのためタイ財政を決定的に圧迫するほど高額な予算というわけではない。したがって、プラウィット国防大臣ならびに海軍側は、今回の潜水艦調達計画は、予算的には閣議の承認を得られるものと考えているようである。
また、費用の面で考えると、タイ海軍はすでに54000万バーツ(およそ154000万円)の予算を投じて、潜水艦要員訓練センター潜水艦関連施設の建造を完成させている。したがって、速やかに潜水艦の調達を行わなければ、これまでに潜水艦運用に向けて投資した費用を無駄にしてしまうことになる。
なぜタイに潜水艦が必要なのか
昨年、タイ政府が最終段階で潜水艦購入を撤回した際の、もう1つの大きな理由は、タイ湾は潜水艦が効果的な作戦行動を行うには浅すぎるうえ、タイは潜水艦による防衛作戦が必要な脅威に直面していないのでタイ海軍が潜水艦を装備する必要性が低い、ということであった。
 これに対して、タイ海軍が購入しようとしている中国製潜水艦は、浅海域での作戦行動にも対応しているし、タイ周辺諸国は潜水艦戦力の構築を進めておりタイ海軍だけが潜水艦を保有していないわけにはいかない、と潜水艦調達の必要性が指摘されている。
 実際にタイ周辺諸国では、マレーシア海軍が、フランスとスペインが共同開発したスコルペヌ型潜水艦を2隻取得した。また、シンガポール海軍はスウェーデン製のチャレンジャー型潜水艦2隻と同じくスウェーデン製のアーチャー型潜水艦2隻を運用している。
 インドネシア海軍はドイツから2隻の潜水艦を取得して、さらに10隻以上の潜水艦を調達する予定である。さらに、ベトナム海軍はロシアのキロ型潜水艦6隻の配備を進めている。そして、タイの隣国ミャンマーですら潜水艦調達計画が進んでいる。
 このように、タイの周辺諸国の海軍がそろって潜水艦を保有している、あるいは手にしようとしている現状に鑑みると、タイ海軍だけが潜水艦を保有しないのはタイ海軍にとっては耐えられない状態ということになる。
ましてや、かつて(1940年代)タイ海軍は潜水艦(日本製潜水艦)を運用していた(本コラム201572日「米国に衝撃、タイが中国から潜水艦を購入へ」参照)唯一の東南アジア国家であったわけであるから、タイ海軍のプライドを維持するためにも潜水艦調達は必要だというわけだ。
いまだにくすぶる中国製潜水艦調達への疑義
このように、プラウィット国防大臣は、今年のタイ海軍による潜水艦調達計画はタイ政府の承認を取り付けることができるものと自信を持っているという。そして、2017年度予算を投入することにより「元型」潜水艦一番艦の調達がスタートし、2021年度までにはタイ海軍はこの中国製潜水艦を手にすることになる。
 しかしながら、タイ国内には依然として中国製潜水艦の調達構想に対する疑義が存在している。
 それら反対意見のうち、プラウィット将軍や海軍側が明確に説明していないものの1つは、果たして中国の元型潜水艦はタイ海軍が購入を検討してきた潜水艦のうち最も信頼性が高いものなのか? という疑問である。
 これまで数年間にわたってタイ海軍では、ドイツ製、スウェーデン製、そして韓国製の潜水艦を入手することが検討されてきた。この選定過程では「性能的にはドイツ製かスウェーデン製、価格的には韓国製だが信頼性があまりにも低い」と言われていたようである。そしてタイ海軍が実際に潜水艦を調達するに先立って潜水艦基地と訓練センターの建設を開始した時点では、ドイツ製中古潜水艦が筆頭候補とされていた。
 しかし、潜水艦関連施設が完成する直前の2014年春にクーデターにより軍事政権が誕生すると、軍事政権を嫌うオバマ大統領がタイ政府を冷たくあしらうようになる。そのため、それまで長きにわたって親密な関係が続いてきたタイ軍と米軍の関係もギクシャクするようになってしまった。そこに割り込んできたのが中国であり、人民解放軍とタイ軍との関係を密にする活動が活発になった。
 このような状況の中で、それまでのタイ海軍潜水艦選定過程で確実視されていたドイツ製中古艦に取って代わって、中国製元型潜水艦の建造調達が浮上してきたのである。
中国への潜水艦発注は、当然のことながらタイと中国の関係を一層緊密化させることになる。それに反比例してアメリカとの関係がさらに悪化するとの懸念の声が上がっている。
中国の攻勢を食い止められないアメリカ
 アメリカ側も、タイ海軍が中国から潜水艦を調達した場合、これまで築き上げてきたタイ軍と米軍との良好な関係が大きく損なわれると危惧している。しかしながら、長らく原子力潜水艦しか建造してこなかったアメリカは、タイ海軍に供給できる潜水艦を建造することができない。
 また、シンガポールやマレーシアなどの海軍が運用している比較的小型の潜水艦に比べれば大型かつ高性能な元型潜水艦の入手に一度傾いたタイ海軍としては、再度ドイツ製中古艦へと後戻りすることは難しい。
 したがって、アメリカ政府やNATO陣営がタイ政府を説得して中国からの潜水艦調達計画を妨害することは困難と言わざるをえない。
唯一のオプションは日本の中古艦
 タイ海軍が中国に取り込まれないために唯一残されているオプションは、日本政府が自衛隊の退役潜水艦をタイ海軍に低価格で供与する策である。
 この場合、日本が提供するのは現在海上自衛隊の主力となっている「そうりゅう」型より2世代前の「はるしお」型ということになる。「はるしお」型は、「そうりゅう」型と同じくAIP(非大気依存推進)推進機関を採用している元型潜水艦に比べると性能的に見劣りがする。しかし、沿海域での活動しか想定されないタイ海軍にとって、中国製潜水艦に比べて信頼性は抜群に高い日本製潜水艦を極めて廉価で手に入れられるならば、AIPという条件はクリアされるに違いない。
 はるしお型潜水艦(写真:防衛省)

 日本側としても、どうせ高額な費用をかけて解体処分を施すしかない潜水艦ならば、タダ同然でタイ海軍に供与するメリットは極めて大きい。
 なぜならば、海上自衛隊がタイ海軍潜水艦部隊に対して「はるしお」型潜水艦運用訓練を実施することになるため、タイ海軍と海上自衛隊との関係は極めて親密になる。また、タイには潜水艦建造技術がないため、タイ海軍の日本製潜水艦の保守点検整備や修理を日本の潜水艦メーカーが担当することになる。

 海上自衛隊の退役潜水艦を有効活用することによってタイ(少なくともタイ海軍)が中国に取り込まれないようにすることは、日本にとってだけでなく日米同盟にとても大きな貢献となることは間違いない。
共産中国「世界最強の通常動力」型潜水艦

《維新嵐》 理想的な考え方としては、タイに我が国の通常動力型攻撃型潜水艦を売却するのがベターといえるでしょうが、問題はタイ政府内の「親中派」にどう工作して、日本ブランドの潜水艦を売り込むか、ではないでしょうか?
2016年7月12日の国際仲裁裁判の判決で共産中国の南シナ海での海洋覇権拡大が実質的に否定されたことで、共産中国の対タイ戦略も微妙に変化があるかもしれません。南シナ海がなければ、共産中国のインド洋の覇権拡大もないでしょうからね。

蜜月な中・タイ軍事関係・・・。
まずはお互いの海軍力の強化から。タイの軍事政権の取り込み。

【中国、タイ海軍と合同軍事演習実施】軍艦と航空部隊派遣
2016.5.21 17:53更新 http://www.sankei.com/world/news/160521/wor1605210034-n1.html

中国とタイの海軍が2016521日、タイ中部チョンブリ県などで合同軍事演習を始めた。両海軍の合同演習は3回目で、計約千人が参加、6月9日まで戦闘訓練や救助訓練を行う。
 2014年のクーデター後に発足したタイ軍事政権は、民主化を求める米国と距離を置く一方、内政干渉しない中国に接近し軍事協力を深めている。
 演習名は「ブルー・ストライク2016」。中国海軍は今回、軍艦や航空部隊、水陸両用の装甲車をタイに送り込んだ。
 中国とタイの軍事協力に関し、タイ軍政が中国から潜水艦を購入する計画が昨年明らかになり、米国などは警戒を強めている。
 米軍とタイ軍は東南アジア最大級の多国間軍事演習「コブラゴールド」を毎年主催しているが、クーデター後、米軍は参加規模を縮小している。(共同)

【タイ、中国潜水艦を購入】クーデター後接近際立つ
2016.7.1 23:41更新 http://www.sankei.com/world/news/160701/wor1607010045-n1.html

 タイ軍事政権のプラウィット副首相兼国防相は20167月1日、中国から通常動力型潜水艦3隻を計約360億バーツ(約1000億円)で購入することを正式決定したと明らかにした。昨年7月に購入計画が持ち上がったが、多額の予算投入に対する国内世論の反発を受け決定を先送りしていた。首都バンコクで記者団の取材に答えた。
 2014年5月のクーデター後に発足した軍政は、民主化を求める米国と関係が悪化。一方で内政に口出ししない中国とは、合同軍事演習を開くなど接近が際立っている。

 タイ海軍によると、潜水艦は「元」級と呼ばれ、連続して約3週間航行し続ける能力がある。17年度予算で1隻を購入し、残る2隻も順次購入する。1隻目の納入には5、6年かかる見込み。軍政下で海軍が設けた委員会が、中国のほか韓国、ロシアなどの潜水艦を比較検討。他国製に比べ価格が安いことなどから、中国製を購入する計画を委員会が決めたことが昨年7月、明らかになった。(共同)

タイ政府内にも共産中国との軍事連携に疑問をもつ人、潜水艦購入に疑問をもつ人はいるようです。ヒューミントの戦略を海外でも実行できる体制が不可欠かと思いますが・・・。

【タイの次はインドの隣国パキスタンへ潜水艦を売り込む共産中国


パキスタンも陥落、次々に潜水艦を輸出する中国
国家戦略に基づいて兵器を輸出、片や日本は?
北村淳 2016.9.1(木)http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47756
パキスタンが中国から調達すると見られる「元型」潜水艦
パキスタン海軍当局によると、パキスタン海軍は中国から8隻の潜水艦を調達することが確実になった。中国は、タイ海軍への潜水艦の売り込み(本コラム2016714日「潜水艦3隻購入で中国に取り込まれるタイ海軍http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47328)に成功しつつあるが、それに引き続いて今度はパキスタンへの潜水艦売り込みにも成功した模様だ。
パキスタンが潜水艦を必要とする理由
 パキスタン海軍の潜水艦調達部局は、2028年までに中国から8隻の潜水艦を調達する計画の進捗状況を公表した。そのうちの半数は20222023年までに中国で建造されてパキスタン海軍に配備され、残りの半数はパキスタンのカラチ造船所で建造されることになるという。
 パキスタンが中国から潜水艦を調達するという情報は昨年より流れていたが、今回の公表によってパキスタン海軍が中国から潜水艦8隻を調達することは確実になった。
 パキスタン海軍ならびにパキスタン議会の防衛委員会によると、パキスタン海軍は沿岸域防衛のために強力な潜水艦戦力を必要としており、中国政府とパキスタン政府が推進している「中国パキスタン経済回廊(CPEK)」構築を成功させるためにも必要であるという。
中国パキスタン経済回廊の概要(出所:パキスタン、計画・開発省)
中国が供給する潜水艦に関する細目や具体的な調達価格などはまだ明らかになっていないが、昨年浮上した情報では8隻の潜水艦を50億ドルで調達するということであった。アメリカ海軍などの潜水艦取引の専門家たちの間では、中国が「元型」潜水艦を売り込もうとしていることは間違いないだろうと推測されている。
インド海軍に追いつきたいパキスタン海軍
パキスタン海軍が8隻の中国製新鋭潜水艦を手にしようとしているのは、両隣のインド海軍とイラン海軍が共にパキスタンよりも多くの潜水艦を運用しているからに他ならない。
 現在パキスタン海軍は、フランスから調達したアゴスタ70級潜水艦を2隻、その改良型(AIP推進)のアゴスタ90B級潜水艦を3隻、そのほかにイタリア製のコスモス型潜水艇を3隻運用している。しかし、わずか潜水艦5隻という戦力では、それほど緊張関係にないイラン海軍に対してはともかくも、潜水艦戦力を強化しつつあるインド海軍に対しては決定的に劣勢となってしまう。
 インド海軍は、ロシアからリース中(20122022年)のアクラ型攻撃原子力潜水艦を1隻、ソ連(ロシア)から調達したシンドゥゴーシュ級(輸出型キロ級)潜水艦を9隻、それにドイツで建造されたシシュマール級潜水艦を4隻運用している。さらに国産のアリハント級攻撃原子力潜水艦を2隻と、フランスとの共同開発になるカリバリ級潜水艦を2隻建造中(合計7隻が建造される計画)である。
 ちなみにイラン海軍の潜水艦は、ロシアから輸入したキロ級3隻、ベサット級(国産)1隻(建造中1隻)、ファター級沿岸域潜水艦(国産)2隻、ナーハン級小型潜水艦(国産)1隻、ガディール級潜航艇(国産)21隻、北朝鮮製ユーゴ型潜航艇4隻である。インド海軍と異なり、小型潜水艦と潜水艇が中心となっている。
 このようにインド海軍やイラン海軍は数多くの潜水艦や潜水艇を運用している。パキスタン海軍はそれに対抗して、これまでも対潜哨戒能力の整備を進め、対潜哨戒機(米国製P-3Cとフランス・イタリア製ATR-7210機と対潜ヘリコプター(イギリス製WS-Mk45と中国製Z-9EC18機を運用している。
 しかしインド海軍は国産の原潜建造プロジェクトやフランスとの潜水艦共同開発プロジェクトを推進しており、ますます潜水艦戦力の強化を推し進めようとしている。
そこでパキスタン海軍自身も国産原子力潜水艦の建造プロジェクトを立ち上げた。そして、さらに新鋭潜水艦を手に入れるために中国側との交渉を進め、8隻の元型潜水艦を手にすることになったのである。
活況を呈しつつある潜水艦市場
 現在、東南アジア諸国をはじめ少なからぬ国々の海軍がパキスタン海軍のように新鋭潜水艦を手に入れようと考えている。もちろんそれらの海軍の多くは、原子力潜水艦ではなく通常動力(ディーゼル・エレクトリック)型の、そしてできれば新鋭のAIP型潜水艦を欲している。
 しかしながら、そのような潜水艦を自ら建造できる国はそれほど多くはなく、日本、中国、ロシア、ドイツ、フランス、スウェーデン、スペイン、イタリアそしてオランダの9カ国である。(アメリカとイギリスは、現在のところ、原子力潜水艦しか建造していない。)
 要するに国際潜水艦市場は売り手市場なのだ。これまでは、ロシア、ドイツ、フランスが潜水艦の主たる輸出国であった。その国際市場に参入したのが中国であり、それこそロシア、ドイツ、フランスなどから入手した潜水艦技術を応用しつつ国産潜水艦技術を充実させて、今度は潜水艦輸出国としての道をスタートさせたのだ。そして、パキスタン海軍とタイ海軍への売り込みに成功し、さらに輸出攻勢に拍車をかけると考えられている。
国家戦略がなければ潜水艦輸出は成功しない
日本では昨年、日本政府が主導したオーストラリアへの潜水艦輸出が期待されたが、潜水艦どころか兵器システムの売り込みに関して“ずぶの素人”である日本政府が主導したため、売り込みは完敗した(本コラム201655日「素人には歯が立たなかった国際武器取引マーケットhttp://jbpress.ismedia.jp/articles/-/46768)。
 潜水艦取引の専門家たちの間では、日本参入の当初から「日本の潜水艦はいくら優秀な性能を持っていても、国際取引となると単なる当て馬にしか過ぎないだろう」という憶測が囁かれていた。“業界”の予想通り、385億ドルという巨額の取引を勝ち取ったのは老舗のフランスであった。フランスは数年前からオーストラリアに公私の人脈を構築し売り込み活動を展開していた。
オーストラリアへの売り込みに成功したフランスや、ドイツ、それにロシアといった伝統的な潜水艦輸出国、さらにパキスタンへの売り込みに成功した国際潜水艦市場への新規参入者である中国は、いずれも国家戦略の一環として潜水艦の輸出を推進している。
とりわけ、中国は外貨の獲得という経済的目的以外に、中国海軍戦略の拠点確保という軍事的目的のためにも、タイ海軍やパキスタン海軍への潜水艦輸出に力を注いだ。中国製の潜水艦を手にした海軍と中国海軍は緊密になるだけでなく、売却した潜水艦の訓練やメンテナンスなどのために中国海軍がそれらの国の海軍拠点を利用することすら可能になるのである。
 日本政府は、一時の思いつきでオーストラリアへの潜水艦売却を推し進めたようである。しかし、潜水艦という最先端技術と最高機密の塊とも言える兵器を輸出するのは、確固たる国家戦略に基づかなければ成功の見込みはない。
 加えて、国際武器取引市場で海千山千のロビイストやブローカーを相手に立ち回れるだけの覚悟とノウハウ、それに人脈を潜水艦メーカーやそれを“指導監督”する日本政府自身が身につけていなければ、とても中国やフランスのように潜水艦の輸出にこぎ着けることはできない。

 新鋭潜水艦を欲する海軍は、東南アジアに留まらず、将来的には南米やアフリカまで波及するものと考えられている。日本はせっかく世界最高レベルの潜水艦建造技術を手にしていても、これらの国々に対して戦略的に潜水艦を供給するレースから遠ざかっていると、この分野でも中国の後塵を拝すことになってしまうであろう。

《維新嵐》 シンガポールにはアメリカの沿海域戦闘艦が配備されています。そこの牽制と近年とみにブルーウォーターネイビーとして近代化著しいインド海軍に対抗するためにパキスタンに潜水艦を売り込むということであろうと考えられます。
 南シナ海だけでなく、東シナ海、インド洋にまで覇権と影響力を伸ばそうとする共産中国の拡大主義は留まることを知らいないですね。

【共産中国の海洋覇権主義に対して危機感をもち、それぞれの権益確保と奪還のために質の高い国家戦略をもって共産中国と対峙しなければなりません。】

南シナ海で中国に対抗へ鍵を握る3
20160830日(Tue)  http://wedge.ismedia.jp/articles/-/7586

豪戦略政策研究所(ASPI)のロング研究員が、同研究所ブログStrategist 725日付記事で、仲裁裁判所の判決で面子を潰された中国は、南シナ海における主導権の回復を目指しているので、ASEAN全体が結束できないまでも、フィリピン、インドネシア、マレーシアが協力関係を強化することが有益である、と論じています。要旨次の通り。
平成28712日の仲裁裁判所の判決は、中国が主張する「九段線」を認めず、フィリピンに有利なものとなったが、中国は判決を拒絶し、「南シナ海における主権を守るためのあらゆる措置をとる」と言明している。東南アジア諸国が対抗するのは容易でない。自国の主権を護る能力が限られ、中国と対決する意志も動揺しがちだからである。
 東南アジア諸国が国際法にも適いレッドラインも踏まえた統一路線を執ることが出来れば理想的だが、このような路線は、フィリピンのドゥテルテ大統領にとっては特に困難な挑戦となる。中国との関係を「リセット」するとの方針を維持するか、最大の貿易相手国である中国と対決するか、選択を迫られるからである。フィリピンの対応は、中国と意見が違う場合の対応の先例となる。
 インドネシアも中国との間に国境問題は存在しないとの立場を判決で認められたことになるが、中国漁民の排他的経済水域への侵入や、中国艦船による漁民保護がやむわけではない。近年、インドネシアは自国の水域での中国の行動への対抗を強化している。ナツナ諸島沖の水域での海洋権益を主張する中国外務省声明を強く批判し、ジョコウィ大統領が同諸島を訪問するなどしている。判決の後、リャミザルド国防大臣は、ナツナ諸島周辺に軍艦、ジェット戦闘機、地対空ミサイル、無人機を配備し、港湾施設を建設すると発表した。
 ASEANの事実上の指導国であるインドネシアにとっては、将来の中国による領域侵害に対抗する先例ともなり得る地域的対応を奨励することが課題となっている。ASEANが結束して南シナ海におけるASEAN=中国の行動規範を仕上げることが出来れば、地域の緊張緩和と海洋の安全保障の将来にとって良い前例となるが、ASEANのように多様で中国との経済依存度も大きく異なる諸国のグループが結束を保つことは難しい。
 伝統的に非同盟政策をとり南シナ海で領有権を主張していないインドネシアが、ASEANの結束を図るための主導権をとるべき理由はない。しかし、ASEANが領土紛争解決の場として役立たないとすれば、インドネシアが信頼と協調を築くための新たな形の防衛外交の枠組みに近隣諸国の参加を求めることはあり得る。具体案としては、インドネシア、マレーシア、フィリピンによるスールー海とセレベス海の合同パトロール構想の実現が考えられる。
 ASEANの政策決定者たちは、領土要求の有無にかかわらず、今回の判決が与えた自信を生かして、自国の主権を守るルールに基づく秩序を築くために活用すべきである。
出典:Amelia Long ,After arbitration: enforcing the rules in Southeast Asia’(ASPI Strategist, July 25, 2016
http://www.aspistrategist.org.au/arbitration-enforcing-rules-southeast-asia/
精いっぱいの努力
 先般の仲裁裁判の判決が中国外交にとって大きな痛手であったことは疑いありません。中国は懸命な外交努力の結果、725日に発表されたASEAN外相会議の共同声明では、この判決に直接言及することを阻止することに成功しました。中国としては失点挽回のために精いっぱいの努力をしたということでしょう。
 しかし、判決が最終的なものであることに変わりはありません。今後、中国が埋め立てや人工島の造成・軍事化を進めれば、国際的批判が更に高まることは確実です。中国は9月に杭州市で開催される予定のG20首脳会議を控え、当面は南シナ海における過激な行動を控える可能性もあります。
 平成28725日の人民日報は、ライス米大統領補佐官と会談した習近平主席が笑顔で握手を交わす模様を大きく報じ、同主席が「中国は国際秩序に挑戦する意図はない」と述べ、南シナ海については「互いの核心的利益を尊重すべきだ」と述べた、と報じています。
 なお、インドネシア、マレーシア、フィリピンがスールー海、セレベス海で共同パトロールを実施するとの構想は、実現できれば極めて有益でしょう。中国の南シナ海における高圧的行動を声高に非難するだけでなく、沿岸国が自らの海洋管理能力を高めることが不可欠だからです。



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