2016年4月8日金曜日

暗躍する特殊部隊 ~戦闘のプロフェッショナルによる戦争~

バグダディはどちらが捕らえる? IS追い詰めた米露特殊部隊

パルミラ奪回の裏でも暗躍

佐々木伸 (星槎大学客員教授)
20160404日(Monhttp://wedge.ismedia.jp/articles/-/6487
シリア政府軍はこのほど、過激派組織「イスラム国」(IS)から中部の要衝、世界遺産都市パルミラを奪回したが、この作戦の裏面でロシアの特殊部隊スペツナズの暗躍があったことが明らかになっている。米国もシリアとイラクにデルタフォースなど特殊部隊を投入してIS指導者の暗殺作戦などを実行しており、両国の特殊部隊の存在があらためてクローズアップされてきた。

対外情報庁のザルスローン
 パルミラは昨年5月にISに占領された後、ローマ時代の遺跡が破壊されたり、貴重な文化遺産が海外に持ち出されて密売され、それがISの活動資金の一部ともなっていた。327日にロシア軍の空爆支援を受けたシリア政府軍が10カ月ぶりに同地を奪回して、ISを撃退した。
 イランの革命防衛隊、レバノンのシーア派武装組織ヒズボラとともに、この奪回作戦を支援したのが、ロシアの特殊部隊スペツナズだ。プーチン大統領は3月、シリアに介入していたロシア軍を撤退させることを決定、一部の爆撃機などが帰還した。しかしISなどとのテロとの戦いは続行させるとして航空機や部隊を残留させている。
 パルミラの作戦に参加したのは、秘密のベールに包まれた対外情報庁のスペツナズ「ザスローン」やロシアの特殊作戦軍の部隊KSOなどと見られている。「ザスローン」はウクライナ危機にも投入されたといわれる精鋭部隊だ。投入されている部隊の規模は明らかではないが、数百人程度ではないかと見られている。
 米欧メディアなどによると、これらスペツナズの部隊は直接、ISとの戦闘に加わっているほか、ロシア軍機の空爆の正確性を高めるため、地上の標的の場所を特定するスポッター(空爆誘導員)の役割を果たしている。
 ロシア当局者はパルミラの奪回作戦にスペツナズが加わったことを隠そうとしていない。その理由はロシアのシリア介入があくまでもIS攻撃のためであることを国際的に印象付けるためだ。ロシアは5カ月間のシリアでの空爆作戦で、アサド政権に敵対する反体制派を集中的に攻撃し、アサド政権のテコ入れを図った。このため介入の理由として主張した「テロとの戦い」は、実際には介入の口実にすぎない、と批判されてきた。
 スペツナズが戦闘に参加しているという情報はロシアのシリア介入当初からあったが、その目的はチェチェン出身のISの戦争相で、軍司令官のオマル・シシャニを殺害することにあるとされていた。シシャニは2016年34日の米軍の空爆で死亡している。ロシアはシリアの行方に影響力を保持するため、スペツナズなど軍事的なプレゼンスを残留させる考えと見られている。

米国も特殊部隊が暗躍
 米国もデルタフォースなどの特殊部隊の動きが活発になっている。3月にはシリア東部で、米特殊部隊がISのナンバー2であるハジ・イマームの車両を武装ヘリで追跡し、イマームを殺害した。当初は情報収集のために生きたまま拘束することを狙ったが、イマームが逃走したためミサイルで攻撃した。
 米国は現在、シリア北部のクルド人地域に約50人の特殊部隊を投入。クルド人の武装勢力「人民防衛隊」(YPG)の軍事顧問として、助言などを与えている。またイラク北部のクルド人自治区の首都であるアルビルには、約200人のデルタフォースが駐留している。
 このデルタフォースはISの首都であるシリアのラッカやモスルにスパイ網を張り巡らし、衛星監視、交信やメールのやり取り傍受などを通じて、アブバクル・バグダディらISの指導者の行方を追跡、拘束や殺害の機会を狙っている。
 米軍関係者によると、米軍は3日に1人の割合でISの幹部を殺害、このためもあってISの指揮命令系統はずたずたの状態だ。米国は組織の弱体化が著しいと判断しており、近くラッカ制圧とイラク第2の都市モスルの奪回作戦を開始する見通しだ。オバマ政権はこれら作戦に先だって、幹部らへの攻撃をさらに強めたい考えだ。
 イラク駐留の米特殊部隊は昨年5月にシリア東部でISの経理担当の責任者を殺害、その妻を拘束してISの財政状況やバグダディの行動範囲などの貴重な情報を入手した。また10月には、イラク北部のISの捕虜収容所を急襲、処刑される寸前のクルド人約70人を救出した。

 暗殺を恐れて姿を消しているバグダディは近い将来、尊敬していた国際テロ組織アルカイダの指導者、オサマ・ビンラディンが潜伏先で米海軍特殊部隊シールズに殺害されたのと同じ運命をたどるのかもしれない。
【特殊部隊解説リンク】
《維新嵐》 正規軍による地上戦よりは、特殊部隊投入によるピンポイントの要人暗殺の方が、兵士の損耗も少なく大きな効果を得られることは理解できますが、根本的な政治解決にはなるかどうか疑問です。仮にISの幹部を次々と特殊部隊により殺害していったとしても、もぐらたたきのように大国の干渉に反発をもつ人々が第二第三のISを繰り出してくる可能性は否定できないと思います。戦争では物事の根本的な解決にはなりえないといえるのではないでしょうか?



【空挺スペツナズ】

   「空挺軍第45独立親衛特殊任務連隊」。かつてはソ連軍のアフガン侵攻で名をあげたロシア軍事系部隊の代表である。
     空挺スペツナズは、通称レイドビキといわれ、GRU(軍参謀本部情報総局)所属の特殊部隊である。1950年に当時ソ連国防相だったヴァシレフスキー元帥と参謀総長シュテメンコ大将の命令により、その原型となる「46個独立特殊任務中隊」が創設される。(120人)
     その後、大隊レベルまで増強され、アフガン戦争では、4個中隊と通信車両、および物的保護の独立小隊をあわせて総520人にまで成長した。

アメリカの主な特殊部隊



【デルタフォース】

 1977年にアメリカ陸軍のチャーリー・A・Eベックウィズ大佐が、対テロ活動のノウハウをもつSASと同じ機能をもつ部隊を作るべきだ、という考え方から設立される。従ってデルタフォースの任務は対テロ作戦に主眼がおかれている。デルタフォースの隊員は、射撃技術、とりわけ近接戦闘(CQB)に優れる。建物や飛行機に強行突入し、人質をとって立てこもるテロリストを制圧する、という任務に適した部隊。
   デルタフォースの大きな特徴としては、対テロ部隊の指揮系統を一本化するために1981年に発足した国防総省管轄の統合特殊作戦司令部(JSOC)の管理課にある組織である。

横田基地で降下訓練をするデルタフォース

【SEALチーム6】



 第二次世界大戦の時に上陸作戦の支援、破壊活動などを行うために結成された水中破壊工作隊(UDT)を母体とするアメリカ海軍の特殊部隊である。
 潜水を得意とする水中工作員であるが、同時に空挺隊員であり、地上戦闘が可能な歩兵部隊である。(「Sea」「Air」「Land」の頭文字を続けた名称)陸海空あらゆる場所で活動できることを示している。非常に汎用性の高い部隊として知られている。
 SEALの任務は、ゲリラ戦、要人警護、心理作戦、海岸・沿岸偵察、欺瞞作戦、対反乱作戦、情報収集であり、チーム1から10までのチームが多岐にわたる任務をこなしている。そのため「SEALS」と複数形で表記されることがある。そのうち対テロ作戦を担当しているのがチーム6である。(1980年創設)彼らは全SEALSの志願者より選抜された精鋭部隊である。
 チーム6もデルタフォースと同様に、国防総省管轄の統合特殊作戦司令部(JSOC)の管理課にある組織で、イギリスのSASやSBSとも緊密な接触をもつ。


ビン・ラーディンやIS幹部を次々に仕留めた米軍特殊部隊が次に見据える「斬首作戦」のターゲットとは…
2016.4.4 12:00更新 http://www.sankei.com/premium/news/160404/prm1604040004-n1.html【野口裕之の軍事情勢】

さぞ、やつれて、顔も青ざめているかと期待したら、大ハズレ。国内で毎年「ウン万人」規模の餓死者を出しているにもかかわらず、映像越しに観る北朝鮮の金正恩・第1書記(33)は肥え太り、顔は肉まんのように白かった。
 なぜ期待したのかは当然、2016年3月7日に始まった米韓合同軍事演習が、32万人もの米韓将兵が参加する過去最大規模であること。しかも、北朝鮮の核・ミサイル基地に対する先制攻撃も視野に入れる米軍の作戦計画《5015》に基づいているためだ。何よりも、特殊作戦部隊や有人・無人機の精密誘導(ピンポイント)爆撃で、金氏ら首脳部を急襲し、排除する《斬首作戦》が作戦思想に貫かれている。

金第1書記が想像する運命

 しかし、期待はそれだけではない。金氏が2016年3月25日に想像したであろう、自らの運命だ。この日、米国のアシュトン・カーター国防長官(61)は、米軍特殊作戦部隊が潜伏中の《イスラム国=IS》のNO.2を殺害したと、発表したのだ。絵に描いたごとき、見事な斬首作戦といえる。
 金氏は他の無法者の、斬首作戦による惨めな最期も思い出しているかもしれぬ。例えば-
 《イスラム暴力集団を率いるテロリストのアブ・ムサブ・ザルカウィ(1966~2006年)。2006年、米空軍のF-16戦闘機に精密誘導爆撃され、特殊作戦部隊が身柄を確保した後死亡した》


《米同時多発テロ(2001年9月11日)の首魁にしてテロ・ネットワークのアルカーイダ総司令官ウサマ・ビン・ラーディン(1957?~2011年)。パキスタンのアジトを米海軍特殊作戦部隊SEALsが急襲し、銃撃戦の末、仕留められた》
 北朝鮮当局は斬首作戦に敏感に反応した。
 「敵がわれわれの尊厳と自主権、生存権を傷付けんと発狂し『斬首作戦』や『体制崩壊』といった最後の賭けに挑戦。もはや傍観できぬ険悪な情勢にエスカレートした」

「金王朝」終焉への序曲

 小欄は専門家とのシミュレーションの結果、金氏を頭目とする北朝鮮は、斬首作戦に震えている-との結論に達した。斬首作戦が成功すると、「金王朝」が3代で終焉を迎える運命は不可避だからだ。説明しよう。
 精度はともかく、核弾頭の小型化+ミサイルの延伸を一定程度成功させた北朝鮮が、核ミサイルを実戦配備する悪夢は時間の問題だ。核武装国家と化せば、米国は北体制崩壊を仕掛け難くなるばかりか、米朝間の直接和平協定締結も、まんざら夢でなくなる。時間を稼ぎたい金指導部にとり、斬首作戦さえ防げれば、あとは核武装国家まっしぐらなのである。

金第1書記邸の模型で訓練積む特殊部隊

 北朝鮮が、非対称戦・斬首作戦への防備を、対称・正規戦への備えより重きを置くのには理由がある。北朝鮮は冷静に米国の足もとを見ている。


米軍は北朝鮮・朝鮮人民軍の兵器は旧式だと認識する反面、国土は要塞化され、張り巡らされた坑道陣地は相当の脅威だと懸念。国際問題誌ディプロマットは《地下航空基地20カ所/地下砲兵陣地数千カ所》だと報じるが、力押しすれば万単位の米軍将兵の犠牲が出るのは明らか。従って、イラクやアフガニスタンの戦場で甚大な犠牲を払った米国政府が、特殊作戦部隊や有人・無人機を活用した、犠牲が最小限に抑制できる斬首作戦を優先させる確率は高い。米軍と韓国軍の特殊作戦部隊は、北朝鮮・平壌市の市街地や金氏邸、地方の金氏別邸を模型で再現し、急襲訓練をしてもいる。
 正規戦に比べ、斬首作戦を極度に警戒する北朝鮮の姿勢は、こうした米国内事情にも影響されている。現に、米大統領選の共和党候補指名争いで先行する不動産王、ドナルド・トランプ氏(69)に至っては「米国は、北朝鮮に引き金を引きたくない」と、極めて内向きだ。

裏切らなくても怪しければ粛清

 朝鮮人民軍最高司令部は2月23日、「米軍特殊作戦部隊がわずかな動きを見せれば、先制攻撃作戦に突入する」との声明を発表していて、ピリピリ度は尋常ではない。
 ところが、米国が斬首作戦を敢行したとして、超えねばならぬ大きな難題が立ちはだかる。金氏の移動経路・居場所の掌握で、掌握には金氏側近の裏切りが不可欠だ。偵察衛星や無人偵察機は進化を遂げているが、間諜と同等の任務はまだムリ。


それを金氏は熟知している。怪しくなくても、不安だったら側近を死刑に処す。国家に貢献した将軍や古株の重臣でも容赦しない。故に今、北朝鮮内では「忠誠心競争」が頻発しているもようだ。
 北朝鮮の対韓国窓口機関・祖国平和統一委員会は3月23日、「朴槿恵逆賊どもをこの地、この空から断固消去する」と口汚く罵った。北朝鮮版「斬首作戦」を逆宣伝した格好だ。朝鮮人民軍の前線に陣取る長距離砲兵部隊も3月26日、金氏ら首脳部に向けた攻撃を想定した米韓合同軍事演習を「太陽(金氏)を遮ろうとした大逆罪」と決めつけ、「公式謝罪」や責任者の「公開処刑」を要求。応じなければ「軍事行動に移る」と恫喝した。 

処刑を恐れ頻発する「忠誠心競争」

 韓国統一省報道官は3月28日の記者会見で「北朝鮮は3回目の核実験(2013年)の際にも、韓国政府と朴槿恵・大統領(64)を非難したが、これほど度を超してはいなかった」と総括。「忠誠心競争の一環」と明言した。
 何と、悲しい風景か。血の粛清を恐れる軍人や官僚は哀れに違いない。だが、彼らには密告する肉親もいようが、多くは肉親と愛し合っている。その点金氏は、国民も、配下も、血の盟友・中国も、そして異母兄すら信用できず、信ずるのは恐怖政治のみ。


ついに義理の叔父も処刑したが、今後も親類・縁者が流すおびただしい血を見ぬわけにはいくまい。次に論ずる、北朝鮮・特殊作戦部隊の「新任務付加」情報に、金氏の救い難い猜疑心が透ける。

北特殊部隊の「新任務」

 米軍は最大で10万人も抱える北朝鮮の特殊作戦部隊がサイバー攻撃の援護を受け、非武装地帯(DMZ)を越え、重要施設・インフラを破壊して要人を暗殺する奇襲=非対称戦法も警戒する。が、最近の北朝鮮・特殊作戦部隊は後方で友軍を監視し、敵前逃亡/無断降伏/戦意喪失の将兵を撃ち殺す任務を帯びる。まるで、ナチス武装親衛隊やソ連軍、中国国民党軍に存在した、悪名高き《督戦隊》の様相。
 ドイツ総統のアドルフ・ヒトラー(1889~1945年)やソ連の最高指導者ヨシフ・スターリン(1879?~1953年)ら「先輩独裁者」同様の悪魔性を備える証左だろう。いや、ちょっと違う。ヒトラーやスターリンには極少数ながら「譜代」や、多くの「熱狂的支持者」がいた。若く指導者歴の浅い金氏には、その種の取り巻きは乏しい。結局、自らの運命を、自ら決断せざるを得ない。
 金氏は、核開発を放棄したところで「人道に対する罪」は消えず、米韓両国は自分を裁きにかけるのではと疑心暗鬼で、錯乱し思慮分別を失えば、核ミサイルを発射する。
 やっぱり、金氏の「首級」を挙げる他、残された手段はないのか…


《維新嵐》 金正恩を暗殺してもさらに新たな後継者が現れるだけでしょうね。北朝鮮は世界最大といわれる工作員部隊があり、将軍様を護衛する部隊もありますから、簡単に暗殺されるようなことにはならないかと思われます。それより北朝鮮の国際的地位の低下を外交戦略として、検討していく方が金体制にとってダメージが大きいのではないでしょうか?

韓国陸軍も斬首作戦に乗り出しているとか!?
韓国は、「世界最大」の北朝鮮による拉致被害者を抱えているわけですから、むしろ遅きに失した感もあります。一日でも早く朝鮮半島が民主的に統一されてほしい、と切に願っています。

【自衛隊特殊部隊臨戦、対テロ極秘任務】北朝鮮拉致被害者「奪還」も
2015.02.06http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150206/plt1502061830002-n1.htm

 イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」による日本人殺害事件を受け、安倍晋三首相が、自衛隊による邦人救出に向けた法整備に意欲を示している。日本人が海外でテロ組織などに拘束された場合、その救出を他国に頼るしかない“情けない現状”が浮き彫りになったからだ。実現へのハードルは高いが、仮に自衛隊の救出命令が出されれば、特殊部隊が出動する。その作戦遂行能力はどのくらいあるのか。専門家が分析した。 
 
「海外で邦人が危険な状況に陥ったときに、救出も可能にするという議論を、これから行っていきたい」
 
安倍首相は2015年2日の参院予算委員会でこう強調した。人質事件が、日本人2人の殺害映像が公開されるという凄惨(せいさん)な結末を迎え、海外での自衛隊による邦人救出は通常国会の主要な論点に浮上している。

 国家にとって「自国民の保護」は重要な使命である。米国では、陸軍特殊部隊(通称グリーンベレー)や、陸軍第1特殊部隊デルタ作戦分遣隊(同デルタフォース)、海軍特殊部隊(同シールズ)。英国では、陸軍特殊空挺部隊(同SAS)などが、海外での救出任務に当たっている。
 自衛隊が邦人救出に乗り出す場合、専門家の間で投入の可能性が高いと予測されているのが、陸上自衛隊習志野駐屯地(千葉県)に置かれている特殊部隊「特殊作戦群(特戦群)」だ。
 ゲリラや特殊部隊による攻撃への対処が主任務だが、訓練の内容などは明らかにされておらず、隊員は家族にさえ特戦群に所属していることを告げてはならないという。


軍事ジャーナリストの井上和彦氏は「海外での人質救出に出向くのは、特戦群以外にない。十分な作戦遂行能力を持っている。あとは政治判断だ」と指摘し、続けた。
 「対ゲリラ戦闘は、正規の戦闘とは大きく異なる。相手は組織の体をなした『軍隊』ではないので、どんな配置で戦いを挑んでくるかも予想しにくい。こうした状況に対応するには、高度なメンタル面の鍛錬も必要になるが、特戦群ではそうした訓練も行われている」
 特戦群では、北朝鮮による日本人拉致被害者の奪還を念頭に、離島に上陸して一般人にまぎれて目的地へと潜入する訓練なども行われているとされる。「砂漠、ジャングルなど、日本国内にない環境での訓練の充実と、語学に習熟した隊員の確保が必要」(井上氏)という課題はあるが、救出ミッションに挑む最有力候補といえそうだ。
 同じ習志野駐屯地の精鋭部隊「第1空挺団」も実力は高い。
 元韓国国防省北韓分析官で拓殖大客員研究員の高永●(=吉を2つヨコに並べる)(コウ・ヨンチョル)氏は「秘密裏の人質救出作戦にも対応できるよう、非常に厳しい訓練を積んでいる。相当の能力がある」とみる。
 このほか、米海軍シールズを参考に、海上自衛隊江田島基地(広島県)に創設された特殊部隊「特別警備隊(特警隊)」も高度な訓練を積んでおり、「救出作戦に適任」との指摘もある。
 ただ、元陸上自衛官で安全保障研究家の濱口和久氏は「特戦群も第1空挺団も特警隊も、極めて高い能力を持っているが、作戦遂行のためには、まずは『情報』が必要だ」といい、続けた。



 「今回の人質事件でも、日本政府はイスラム国について十分に情報を得ることができていなかった。情報もなく、単に『人質を救出せよ』というミッションを与えられても、部隊の能力は発揮できない。現地での人脈に通じた人材の育成などが必要ではないか」
 米国のCIA(中央情報局)や、英国のMI6(秘密情報局)のような、対外情報機関の創設が急務というわけだ。

 課題は他にもある。

 2014年7月の安保法制に関する閣議決定では、邦人救出の条件として「受け入れ国の同意」と「国に準ずる組織がいない」ことを掲げている。安倍首相は参院予算委での答弁で、「(今回の人質事件では)シリアが同意することはあり得ない」「法的要件を整えてもオペレーションができるのかという大問題もある」と指摘している。
 特殊部隊の経験者はどう思うのか。
 前出の海自・特警隊の創設準備に携わり、即応部隊を率いる小隊長を務めた伊藤祐靖(すけやす)氏に聞いた。伊藤氏は、沖縄・与那国島を舞台に、人質を取った武装集団に元特殊部隊隊員が立ち向かう姿を描いた、麻生幾氏の小説『奪還』(講談社文庫)のモデルにもなった人物である。
 伊藤氏は「作戦遂行能力があろうがなかろうが、やるならやる。(最高指揮官である首相が決断し、救出命令が出たら)何をしてでもやる」と語った。

《維新嵐》 特殊工作部隊を投入しての外国に存在する邦人救出については、上記の伊藤氏による意見がごもっともですが、軍事組織だけでは不可能です。
 つまりアメリカ軍がイラクやアフガニスタンで行ってきたようにCIAのようなヒューミントの情報戦略を駆使できる機関が現地の対象となる邦人の情報を収集する、つまりエージェントを使って情報を収集し、分析されたインテリジェンスをベースにして、特殊部隊や無人機を投入していく、という形になるかと考えられます。
 ピンポイントで確実にターゲットに肉薄するためには、やはり高度なヒューミントによる情報戦略が欠かせないのです。

0 件のコメント:

コメントを投稿