2016年3月14日月曜日

金体制を堅持し続ける「失敗国家」北朝鮮の通常戦力

北朝鮮の通常兵器は「鉄の棺桶」・残された戦法は「核口撃」だけ?


2016.3.14 01:00更新 http://www.sankei.com/premium/news/160314/prm1603140003-n1.html

 北朝鮮の朝鮮労働党創建70周年を祝う軍事パレードに大型ミサイルが登場した。核弾頭小型化の開発進捗やミサイル技術の向上は確かとみられるが、北朝鮮の通常兵器は米韓軍の最新兵器の餌食と成る「鉄の棺桶」に等しい。


 北朝鮮の朝鮮労働党創建70周年を祝う2015年10月の軍事パレード映像を再点検し「秘密兵器」を探した。ふざけ半分で疑ったのがT-34戦車。朝鮮戦争(1950~53年休戦)緒戦で米韓軍に犠牲を強いた手ごわい戦車であった。当時の軍装をまとった将兵も行進し時代絵巻を演出したが、T-34は今なお“実戦兵器”である。予備役用の300両待機には驚かされる。一応疑ったのはほかでもない。

 北の金正恩第1書記は今月9日、国営メディアを通し「核弾頭の小型化成功」を強調した。ウソであろうが、少なくとも開発進捗は確か。原爆技術を持つ“軍事先進国”が、米韓軍の最新兵器の餌食と成る「鉄の棺桶」、北崩壊後はマニアが収集に殺到する「動く骨董品」と揶揄される通常兵器を運用するキテレツな図式ではあるが、デジタル化など改良・延命措置を施した可能性はゼロではない。

 実際、米空軍のB-52戦略爆撃機は、運用開始以来60年以上現役。北朝鮮の4回目の核実験を受けた1月10日には、韓国上空を威嚇飛行した。しかし、北朝鮮の場合「核口撃」を展開するほど、通常兵器の「棺桶度」を自白してしまう。
 例えば、国防委員会は米韓共同演習開始の今月7日、「核戦力を中枢に据える強大な軍事的威力を誇示する総攻勢に立ち上がる」と表明した。北朝鮮軍は「核戦力を中枢に据える軍事的威力」しか「誇示」できぬのだから、ムベなるかな。金氏も「実戦配備した核弾頭を発射できるよう、常に準備しなければならない」と命じた。


「核」連呼は耳ダコで、「言うことはそれしかないの?」と文句を付けたくなるが、それしかないんです。

通常兵器は「鉄の棺桶」

 4日付北朝鮮メディアは、金氏が飛ばした檄を紹介した。
 「敵への軍事的対応を全て先制攻撃的な方式に転換する」
 「先制攻撃」ならぬ「先制攻撃的」と言う辺りにホンネが透ける。まずは、北朝鮮⇔韓国+在韓米軍の軍事力を比較する。

 《陸軍・海兵隊》102万人⇔57万人 

 《海軍》10万トン(780隻)⇔20万トン(210隻)

 《空軍作戦機》560機⇔680機

 北の数・量は脅威だが、現在戦は質がモノを言う。その点、北朝鮮空軍戦闘機の多くは、ソ連空軍がベトナム戦争(1960~75年)や朝鮮戦争で送り込んだ、軍事先進国では博物館入りする旧式機。第3~4世代戦闘機は100機強と観測される。
 対する韓国軍+米軍は330機以上。しかも新鋭機全体では、今次演習に参加の米空母に90機、大型揚陸艦には50機が搭載可能で、第7艦隊所属空母の艦上機や日本駐留の米軍機が加われば、おびただしい数に上る。
 沿岸警備型の北朝鮮海軍も老朽フリゲート3隻が主力艦で、他は小型潜水艦20隻など。北朝鮮陸軍の戦車は3500両で、韓国軍の2400両を数で圧倒するが、1000両が第二次世界大戦(1939~45年)直後の開発だ。


いずれも燃料・部品不足で稼働率は劣悪。戦闘機操縦士の年間訓練時間は20時間を下回るとの分析も在る。米韓演習に対抗し、臨戦態勢に入った北朝鮮軍は、なけなしの燃料/弾薬/食糧の消費を余儀なくされる。米韓軍の隠れた演習目的だ。
「先制攻撃的」にホンネ
 北朝鮮は対米直接交渉に向け核&ミサイル開発をテコにする国家戦略を邁進するが、純軍事的にも「核戦力を中枢に据える」以外に選択肢はない。金氏は「先制攻撃」ではなく「先制攻撃的」と表現したと前述したが、図らずもホンネが出たと、小欄は勘ぐりたくなる。
 米韓軍は陸・海・空の複数地点の、北朝鮮の射程外より、強力な先端兵器で攻撃を仕掛ける。かかる戦況で、北朝鮮軍が採れる戦法は《防勢》と《奇襲》の2作戦併用しかあるまい。
 北陸軍102万人の3分の2は南北境界沿いの非武装地帯=DMZ付近に前方展開。特に最前線の4個軍団は朝鮮戦争時にならい、韓国軍最前線陣地を抜き、なだれ込みたいところだが、戦力差はいかんともしがたく、坑道陣地で防御に徹するだろう。
 現に12年5月、国際問題誌ディプロマットは《米韓両軍の特殊作戦部隊が、軍事衛星の監視を外れる地下航空基地20カ所と地下砲兵陣地数千カ所を越境偵察》と報道。国土を要塞化している。


 防御に徹し、反撃時機をうかがう。反撃の有無は奇襲にかかる。奇襲の先兵は10万人の特殊作戦部隊。サイバー攻撃の援護を受け、重要施設破壊+要人暗殺で韓国内を混乱させる。ただ、最近の北特殊作戦部隊は後方で友軍を監視し、敵前逃亡や無断降伏、戦意喪失の将兵を殺す、ソ連軍や中国国民党軍、ナチス武装親衛隊に存在した《督戦隊》と化している、とも。
 韓国大統領府・青瓦台手前800メートルまで迫った《青瓦台襲撃未遂事件/1968年》級の、力を維持しているかは判然とせぬ。米韓演習では、金氏ら北首脳を排除する《斬首作戦》が試されるが、青瓦台事件で逮捕した北少尉は、逆に朴槿恵大統領の実父で大統領だった朴正煕(1917~79年)の「首を取りに来た」と公言していて、米韓側も対策は怠れない。

特殊・非対称戦も視野

 他に、小型艦艇や潜航艇で、米韓両海軍の大型艦をミサイルや魚雷で狙ったり、生物・化学兵器を使ったり、非対称戦も視野に入れる必要が有る。


特殊・非対称作戦と並び、米韓軍が警戒するのが多連装ロケット砲や自走砲といった長射程火力。DMZ付近に1万門・基が集中配備され、一斉に撃ち込まれれば被害は甚大だ。1994年の南北会談で北朝鮮代表が「ソウルを火の海にしてやるっ!」と言ったが脅しではない。40キロ先のソウルは無論、200キロ飛ぶロケットは、軍の重要機能が集まる大田に達する。米韓軍は長射程火力を先制壊滅するか、精密誘導兵器による10分以内の反撃で被弾を3分の2にまで押さえ込む作戦を成功させねばならぬ。長射程火力が坑道に配置されていれば、作戦難度は高く成る。

 裏返せば、特殊・非対称作戦や長射程火力で攪乱・破壊が効果を上げなければ、主力は韓国側に打って出て行けない。


 否。もう一つ北朝鮮の勝機を忘れていた。北朝鮮軍決死の猛攻を前に、パニックに陥った韓国軍が朝鮮戦争で見せた大潰走の醜態が、小欄の脳裏をどうしてもかすめる。米軍にとり最大の“難敵”は韓国軍…。

(野口裕之の軍事情勢(政治部専門委員 野口裕之)

崩壊は近いか!?金正恩政権


北朝鮮との間の邦人拉致問題を解決させるためには、現在の金正恩を頂点とする体制を「崩壊」させ、歴代金政権を批判し、新たな国民目線で政策を実行していく政権体制が構築されることが急務です。

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