2016年2月8日月曜日

北朝鮮による弾道ミサイル発射実験と周辺国の対応

北朝鮮・長距離弾道ミサイル発射!PAC-3の対応なし

配信日:2016/02/07 09:50
http://flyteam.jp/airline/japan-air-self-defense-force/news/article/59654

 日本政府は201627()931分ごろ、北朝鮮が「地球観測衛星」と称する事実上のミサイルが打ち上げられたと確認しました。すでに沖縄県の先島諸島の上空を通過したと見られ、配備しているPAC-3での破壊措置は行いませんでした。
 北朝鮮は衛星「光明星」と称した事実上の弾道ミサイル発射を201628()から225()まで、日本時間で毎日730分から1230分に打ち上げるとしていましたが、27()から打ち上げると直前に変更し、実際に27日に打ち上げたものです。
 この北朝鮮の発表に伴い、航空会社も各国の航空当局のノータム発出を受け、航路変更の対応などが行われていました。



北朝鮮・ミサイル発射が「完全に成功」と特別重大報道
201627 1249分 http://news.livedoor.com/article/detail/11154250/

  【ソウル=藤本欣也】北朝鮮は平成282月7日正午(日本時間同日午後零時半)、国営メディアを通じて特別重大報道を行い、事実上の長距離弾道ミサイルである地球観測衛星「光明星4号」が同日午前9時(同9時半)に北西部・東倉里(トンチャンリ)の「西海衛星発射場」から打ち上げられ、午前9時9分(同9時39分)、「軌道進入に完全に成功した」と発表した。金正恩(キム・ジョンウン)第1書記が6日に「打ち上げ」の命令を下したという。発射の映像は報じなかった。


北朝鮮・長距離ロケットを発射「特別重大報道」を放送
 BBC News 20160207日(Sunhttp://wedge.ismedia.jp/articles/-/6074
 北朝鮮は201627日朝、長距離ロケットを発射した。国連安保理決議で禁止されている長距離弾道ミサイルの発射実験とみられる。国営・朝鮮中央テレビは同日正午(日本時間午後0時半)、「地球観測衛星の軌道進入を完全に成功させた」と「特別重大報道」を放送した。日韓両政府によると、北朝鮮は7日午前931分ごろ、北西部の東倉里(トンチャンリ)から「人工衛星の打ち上げ」と称してロケットを南方向へ発射。約10分後に沖縄県上空を通過したもようだ。日米韓の3政府は国連安保理に、緊急会合の開催を要請。7日中にも開かれる見通しという。
北朝鮮はこれまでに、人工衛星の打ち上げ予告を国連に通告しており、韓国の専門家たちは故・金正日総書記の誕生日216日を前に北朝鮮が発射を実施するのではないかと予測していた。北朝鮮は201616日には、同国が水爆実験だと主張する核実験を実施している。
北朝鮮は一貫して宇宙開発計画は平和目的だと主張してきたが、日米韓だけでなく、同盟国の中国でさえ、米国本土を射程距離内に収める大陸間弾道ミサイルの開発を進めているものとみている。
「深刻な脅威」
日本の安倍晋三首相は記者団に対して、「断じて容認できない」、「明白な国連決議違反だ」と批判した。
国連安保理決議は北朝鮮に対して、核実験や弾道ミサイル実験を禁止している。国連の潘基文事務総長は、発射について「非常に嘆かわしい」と批判し、北朝鮮に「挑発的行為を止めるよう」呼びかけた。
スーザン・ライス米大統領補佐官(安全保障担当)は、北朝鮮の弾道ミサイル技術使用は「またしても、不安定化をもたらす挑発的な行為」だと批判。「北朝鮮のミサイル・核兵器開発は、我が国の利益および最も親しい同盟諸国の安全保障に対する、深刻な脅威である」と声明を発表した。米ニューハンプシャーでは、長距離ロケット発射の一報直後に大統領選の共和党討論会が始まったため、同党の候補指名を目指す各候補は反応を求められた。
実業家ドナルド・トランプ氏は、中国との協力がカギだと発言。「自分なら中国に働きかける。(北朝鮮の)問題は中国が解決するといい。中国なら素早く的確にできるはずだ。北朝鮮については、我々はそうすべきだ」と述べた。ニュージャージー州のクリス・クリスティー知事は「向こうはタフな姿勢や力の誇示しか理解できないんだ」と述べた。
北朝鮮ロケット発射の流れ
20162月――人工衛星を搭載しているという説明のロケット発射
20155月――北朝鮮は潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の発射実験を初成功させたと発表。他国は信ぴょう性を疑う。
201212月――人工衛星の打ち上げ名目で3段式のロケット「銀河3号」を発射。米国防総省は軌道上への到達を確認。
20124月――3段式ロケットが発射直後に爆発し、海へ落下。
20094月――3段式ロケット発射。北朝鮮は成功したと主張するが、米国は失敗して海へ落ちたと。
20067月――長距離ミサイル「テポドン2号」の発射実験を実施。米国は、発射から間もなく失敗したとみている。(英語記事 North Korea fires long-range rocket despite warnings
http://www.bbc.com/japanese/35515285

北朝鮮の衛星「軌道に進入した」=韓国国防省
BBC News 20160209日(Tuehttp://wedge.ismedia.jp/articles/-/6089
韓国国防省は201629日、北朝鮮が打ち上げた人工衛星が周回軌道に進入したと明らかにした。衛星が正常に作動しているかは不明だという。
聯合通信によると国防省は、この打ち上げ成功によって、北朝鮮が射程距離12000キロの長距離ミサイルを保有することになると指摘。ただし、兵器使用には大気圏に再突入させることが不可欠だが、北朝鮮がその技術をすでに獲得しているかは不明だという。
北朝鮮は地球観測衛星「光明星4号」は通信衛星で、7日の発射は完全に成功したと主張している。しかし国際社会は、国連決議で禁止されている弾道ミサイル技術の実験にあたると非難している。
国連安保理は追加制裁を科す方針を表明。米政府は8日、これには「北朝鮮をさらに孤立させる一連の経済制裁」を含める可能性があるとして、「この問題について国際社会は強力に結束している」と明確に示すものになると説明した。
北朝鮮は一貫して、ロケット打ち上げは平和的な宇宙開発計画の一部だと主張してきたが、日米韓だけでなく、同盟国の中国でさえ、米国本土を射程距離内に収める大陸間弾道ミサイルの開発を進めているものとみている。(英語記事 North Korean satellite is in orbit, says South) 提供元
日本側の対応】~安倍晋三総理メールマガジンより~

20162710:47:38  s-abe@r.s-abe.jp

 北朝鮮に対しては、繰り返し自制を求めてきたにも関わらず、今回、ミサイル発射を強行したことは、断じて容認できません。
核実験に引き続き、今回のミサイル発射は、明白な安保理決議違反であり、我が国の安全保障上の重大な挑発行為です。
ただちに国家安全保障会議を開催しました。
北朝鮮に対して、国際社会と連携して、毅然と対応していく考えです。
引き続き、政府の総力を挙げて、国民の安全の確保に万全を期してまいります。

※そうです。北朝鮮に対しては、制裁の強化あるのみ。経済面と政治面で制裁を強化すべきです。

~自衛隊による対応~

イージス艦で迎撃自衛隊に破壊措置命令

毎日新聞2016129()139分配信 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160129-00000030-mai-pol

 北朝鮮が長距離弾道ミサイルを発射する兆候があるとして、政府は28日夜、自衛隊に対し、ミサイルを迎撃するための破壊措置命令を出した。政府関係者が明らかにした。命令を受け、自衛隊は警戒態勢を整えている。政府は破壊措置命令の公表はしない方針。
 自衛隊は弾道ミサイルに対し、洋上の海上自衛隊のイージス艦から発射される迎撃ミサイルと、航空自衛隊の地上配備型のパトリオット(PAC3)で迎撃態勢を取る。今回は29日午前時点でPAC3の展開指示は出ていないとみられる。

 中谷元(げん)防衛相は29日の閣議後会見で「北朝鮮が事前の予告なく、弾道ミサイル発射を含む何らかの挑発行動に出る可能性は否定できない状況にあると分析している。情報の収集分析に努め、米軍や関係機関と緊密に連携を取って万全の体制で臨みたい」と述べた。
 また、破壊措置命令を公表しないことについては「手の内を明らかにすることによって、支障がでてくる場合がある。我が国の手の内を明らかにすることなく、いかなる事態にも対応できるよう対応を取っている。一つ一つ明らかにするのは事柄の性質上控えている」と説明した。

ミサイル不測事態ならSM3とPAC3で迎撃

地対空誘導弾パトリオットを積み、輸送艦「くにさき」が海上自衛隊呉基地を出港する

2016.2.5 23:19更新 http://www.sankei.com/politics/news/160205/plt1602050057-n1.html

日本政府は平成28年1月5日、北朝鮮が事実上の弾道ミサイルの発射に向け、燃料注入の段階に入った情報を把握し、不測の事態に備えた態勢の整備を急いだ。8~25日の発射通告期間の早い時期に強行することもにらみ、海上配備型迎撃ミサイル(SM3)搭載イージス艦と地対空誘導弾パトリオット(PAC3)による迎撃態勢を7日までに整える。発射情報を速報する全国瞬時警報システム(Jアラート)の運用訓練も行い、不具合を洗い出した。
 政府筋は5日、燃料注入の情報について「報告を受けている」と述べた。一方で「以前は注入から(燃料の劣化で)2、3日しか持たなかったが、今は違う」とも述べ、必ずしも早期発射を示す情報ではないとの認識を示した。
 日米韓3カ国は5日、防衛当局の課長級によるテレビ会議を開き、情報共有を図った。岸田文雄外相も同日、外務省で柳興洙・駐日韓国大使と会談し、北朝鮮に自制を求めていくことで一致。岸田氏は「(北朝鮮が)衛星と称したとしても明白な国連安全保障理事会決議違反だ」と述べた。
 政府はミサイルが通告したルートから外れ、日本領域に落下する事態に備え、イージス艦を日本海に1隻、東シナ海に2隻派遣。PAC3は首都圏の3カ所と沖縄本島、石垣、宮古両島に配備する。中谷元防衛相は記者会見で「7日までには整えるべく準備している」と説明した。



日本のミサイル防衛(MD)構想は「2段構え」となっている。発射の熱源を探知した米国の衛星から早期警戒情報(SEW)がもたらされると、イージス艦や地上配備型のレーダーがミサイル追尾を開始。日本への落下が予測されれば、イージス艦から迎撃ミサイルを発射し、大気圏外で撃破する。失敗した場合は、着弾の手前で射程数十キロのPAC3が迎撃し、落下を阻止する。
 一方、総務省消防庁は5日、Jアラートの通信訓練を実施し、全国の自治体が情報を正常に受信できたかを確認。沖縄県与那原町では無線が作動しない設定ミスが見つかり、修正した。

破壊措置命令・安倍政権では非公表「敵に塩を送るようなもの」

北朝鮮の長距離弾道ミサイルの発射兆候を踏まえ、東京・市谷の防衛省敷地内にPACが配置された

2016.1.29 22:02更新 http://www.sankei.com/politics/news/160129/plt1601290054-n1.html

北朝鮮の長距離弾道ミサイル発射の兆候を受け、中谷元防衛相は29日までに破壊措置命令を発令したが、政府は命令の有無を公表していない。第2次安倍晋三政権発足以降、非公表の姿勢を貫くのは、命令の公表が自衛隊の運用の手の内を明かし、北朝鮮を利することになりかねないからだ。
 「必要な対応はとっているが、具体的には事柄の性質上、コメントは控える」
 中谷氏は29日の記者会見でこう述べ、破壊措置命令の発令に関して明言を避けた。
 政府のこうした対応はこれが初めてではない。平成25年4月、当時の小野寺五典防衛相が北朝鮮の弾道ミサイル発射に備え、破壊措置命令を発令。政府は今回と同様の理由から、公表を避けた。翌26年4月にも、破壊措置命令が発令されていたとされる。
 政府は過去3回の破壊措置命令を公式に認めているが、いずれも第2次安倍政権の発足以前。この3回の発令は北朝鮮が発射期間や飛行コースを事前に予告していたこともあり、着弾ポイントや被害状況を予想することができた。しかし、近年の北朝鮮は事前予告なくミサイルの発射に踏み切る傾向が強く、自衛隊はより実戦に近いかたちでの対応を余儀なくされている。


そうした状況下で海上配備型迎撃ミサイル(SM3)を搭載する海上自衛隊のイージス艦や、航空自衛隊の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)の展開を公表することは「敵に塩を送ること」(防衛省幹部)となる。命令の期間も合わせて公表すれば、逆に警戒態勢が手薄な時期を明かすことにもなる。北朝鮮は、自由にタイミングや地点を変えて弾道ミサイルを発射できる奇襲的能力の増強を誇示しており、より現実的な自衛隊の運用が必要となる。

菅官房長官、緊急会見全文
「北朝鮮に厳重に抗議し、強く非難する」
201627 1033http://news.livedoor.com/article/detail/11153838/

 菅義偉官房長官は平成28年1月7日午前、北朝鮮が「人工衛星」と称する事実上の長距離弾道ミサイルを発射したことを受けて緊急会見した。
 会見内容は以下の通り。
 「本日午前9時31分ごろ、人工衛星と称する1発の弾道ミサイルが南に向けて発射された。現時点では、わが国の領域に落下していないと判断している。
 1月6日の核実験に続き、今回の発射は、わが国を含む地域および国際社会の平和と安全を損なう、安全保障上の重大な行為であり、国連安保理決議などにも違反する。わが国は北朝鮮に対して厳重に抗議し、強く非難する。
 政府においては官邸対策室で情報集約するとともに、即座にEm-Net(エムネット)やJアラート(全国瞬時警報システム)を活用し、国民への情報発信を行った。また内閣危機管理監の下に緊急参集チームを招集し、対応の協議を行った。
 本件を受け、安倍晋三首相から次の3点の指示があった。
①情報収集・分析に全力を挙げ、国民に対して迅速・的確な情報提供を行うこと。
②航空機、船舶などの安全確認を徹底すること。
③不測の事態に備え万全の体制をとること。
 政府としては、首相の指示を踏まえ、被害状況の確認を行うなど、国民の安全安心の確保について万全を期していく」

【共産中国】米韓が北朝鮮の打ち上げ非難「緊張高める」
201627 1211http://news.livedoor.com/article/detail/11154162/

北朝鮮の事実上のミサイル発射について、中国の国営新華社通信は、朝鮮半島の緊張を高めると論評した。その上で朝鮮半島が核を保有したり戦争に陥ることはできないとし、収拾がつかない事態とならないよう全ての関係国に冷静な対応を求めた。
米国のライス大統領補佐官(国家安全保障担当)は「弾道ミサイル技術を利用した北朝鮮の打ち上げは、安定を損なう挑発的行為」で国連安全保障理事会の決議違反と非難。米国と同盟国の防衛に必要なあらゆる措置を講じるとの声明を発表した。
ケリー米国務長官も、平和と安全保障への「容認できない挑戦」として、日本と韓国の防衛に対する米国のコミットをあらためて確認した。韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領も「許されざる挑戦」と非難し、国連安保理での早急な強い制裁を訴えた。
今回の弾道ミサイル発射実験は成功したのか?
北朝鮮ミサイルの落下物の1つは、北の「予告落下区域外」に
201627 1048http://news.livedoor.com/article/detail/11153874/

 政府は2016年1月7日午前、Em-Net(エムネット)で、北朝鮮から発射された長距離弾道ミサイルで5つに分離した1部分のうち、9時45分ごろ日本の南約2000キロの太平洋上に落ちたと推定される落下物について、予告落下区域外だったとした。


北朝鮮ミサイル発射(EM-NET)国民保護に関する情報

北朝鮮ミサイル発射「失敗の可能性」と聯合ニュースが速報
201627 1044http://news.livedoor.com/article/detail/11153853/
【ソウル=藤本欣也】北朝鮮の長距離弾道ミサイル発射を受けて、韓国軍当局は米国などと連携しながら、発射の成否について分析を進めているが、聯合ニュースは20162月7日、「失敗の可能性がある」と速報した。詳細は不明。
【アメリカ】対北朝鮮政策の行方は?
オバマは北朝鮮を優先外交課題にすべき

岡崎研究所 
20160205日(Frihttp://wedge.ismedia.jp/articles/-/6004
201616日付の英フィナンシャル・タイムズ紙が、社説で、オバマ政権は北朝鮮を優先外交課題に復帰させるべきであると述べています。
 北朝鮮は、今日の世界で、安全保障に対する最も危険な脅威である。これは今までわかっていたことだが、4回目の核実験は、それが水爆だったかどうかは別として、北朝鮮の核問題のジレンマがいかに深刻かつ手におえないものかを改めて示している。
 20年以上にわたり米国など国際社会は「飴と鞭」によってあらゆる手立てをとってきた。1994年にはクリントン政権が枠組み合意をした。しかし、その後合意は崩壊した。近年、関係国は制裁措置による強硬アプローチに転換した。今回も安保理はこのアプローチを継続して新たな制裁をとることになるかもしれない。しかし、そのような制裁措置は北朝鮮の孤立感を深めるとともに北朝鮮の決意を一層強めることになってきた。そのため今後の対応は一層難しい。
中国はもっと大きな義務を果たさねばならない
 北朝鮮への対応に当たっては、金正恩(32歳)の性格を見極める必要がある。彼は核開発が自分の権力強化にとって不可欠だと考えている。権力基盤が安定すれば同人も軟化するだろうとの楽観的な見方もあるが、今回実験をみるとそのようなことが早期に起きるとは思えない。
 オバマ政権は北朝鮮を優先外交課題に復帰させるべきだ。オバマはイランとの交渉を重視し合意を達成したが、それに安閑としている訳にはいかない。その間に北朝鮮は静かに核兵器を開発した。
 中国はもっと大きな義務を果たさねばならない。2013年の核実験のあと中国は明らかに怒り、金融制裁を強化する安保理決議を支持した。中国は北朝鮮に石油、ガスを供給するなど北朝鮮にとっては最大の貿易相手国である。中国は北朝鮮の崩壊を避けたい。習近平は厄介な北朝鮮をそれが暴発する前に抑えるべきだ。
 この危険な膠着状態を破るためには、経済協力と引き換えに非核化を金正恩に受け入れさせることが必要となる。同人がかかる合意を受け入れる合理性を持っているかどうかは分からない。しかし、目下大事なことは、米中が協力して北朝鮮に対峙することが共通利益だと認識することだ。アジア太平洋で米中は多くのことで対立しているが、北朝鮮の脅威は米中双方にとって危険な事だ、と述べています。
出典:Financial Times The intractable dilemma posed by North Korea(January 6, 2016)
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/cb187806-b470-11e5-8358-9a82b43f6b2f.html#axzz3wStQaenM

常識的で、重要な正論です。社説の表題に「The intractable dilemma」とありますが、問題の本質を旨く表現しています。この問題に日米など関係国は過去20年対決してきましたが、北朝鮮は執拗に挑戦を続け全く解決の糸口が見出せていません。国際社会には疲労感さえ漂います。その間に北朝鮮の核能力が着実に進展しているのは大きなジレンマです。良くも悪くも、北朝鮮に最大の影響力を持つ中国の立場がジレンマを大きくしてきています。取りうるオプションも多くある訳ではありません。結局、圧力と対話の間で辛抱強く揺さ振っていくしかないのではないでしょうか。100%圧力でもうまく行かないでしょうし、100%対話でもうまく行きません。さらに交渉の梃(レバレッジ)を持つためには、一定の相互依存が必要です。ここ数年の状況は、圧力・対話の双方がやや不足していたのではないでしょうか。
 核不拡散については、理論的には次の三つの選択肢しかないと思います。第1は、南アフリカやイランのように、制裁など国際社会の圧力により当該国自らの決断あるいは交渉により核開発をやめさせることです。第2は、イスラエルによるイラクやシリア空爆のように、軍事的な攻撃により当該国の開発を止めることです。第3は、インド、パキスタンのように、新しい核の存在の下で生きることです。北朝鮮について、第1の選択肢が最も望ましいことは言うまでもありません。
 焦ってはいけませんが、時間がなくなっているのも事実です。交渉の引き延ばしの間に北朝鮮の能力は確実に発達し、問題解決の難しさはどんどん大きくなり、解決のコストも一層大きくなってきたのが現実です。あれから20数年の時間経過は確実に北朝鮮側の利益になってきました。
 今すぐにではないにしても、六カ国協議の再開か二国間協議を行うべきです。特に米朝間交渉と日朝間交渉が重要です。中国のほか、ロシアの影響力も利用していくべきでしょう。それは、二つの面で意味があります。一つは、危機管理です。北朝鮮が今や何らかの核兵器を保有していることは明らかで、その開発度や運用を知ると同時に、わが方の対応を知らせ、北朝鮮の核暴走を抑止することが必要です。二つ目は、非核化に向けての圧力です。北朝鮮に利用されるだけだとか、既に試みたことであり無益に終わるだろうとの批判はあるかもしれませんが、外交交渉にバーゲンは不可欠で、注意深くやる方が何もしないよりはベターなのではないでしょうか。
 イランが核交渉に乗ってきた大きな要因は、制裁による経済の疲弊がありました。北朝鮮貿易の9割を占める中国が対北朝鮮経済関係をもっと規制することが不可欠です。
 16日付の米ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、201412月のソニー・エンターテイメントに対する北朝鮮によるサイバー攻撃に対するオバマの対応が生ぬるかったとの批判を紹介するとともに、今回の核実験は韓国などの防衛政策にも影響を与えるだろうとしています。韓国は、対中配慮のため、THAADミサイル防衛システムの設置につき慎重な姿勢に固執してきましたが、前向きになるかもしれません。また、最近北朝鮮が潜水艦能力を高めているので、対抗のため潜水艦能力の強化にも積極的になるかもしれません。

【日米韓の制服組トップ会談】対北朝鮮で情報共有・協力強化へ
2016年 02月 11日 13:30 http://jp.reuters.com/article/us-jp-kr-idJPKCN0VK07T
[ワシントン10日ロイター]日米韓の防衛当局制服組トップは2016210日、 3カ国合同会談を行い、北朝鮮による核・ミサイルの脅威が高まったとして、安全保障上の取り組みで情報共有や協力を強化することで合意した。
© REUTERS 日米韓の制服組トップ会談、対北朝鮮で情報共有・協力強化へ
3カ国は、北朝鮮が2016年1月6日に実施した4度目の核実験と、2月7日の「長距離ミサイル発射」は国連決議の直接的な違反であり、国際社会に対する「深刻な挑発行為」だとの共同声明を発表した。
米軍のジョセフ・ダンフォード統合参謀本部議長と自衛隊の河野克俊・統幕長がハワイで会い、韓国軍の李淳鎮・合同参謀本部議長はテレビ回線で会談に参加した。
ダンフォード統合参謀本部議長の報道官は、李氏について「朝鮮半島で準備態勢を維持する」ため、ソウルにとどまったと説明した。

また、状況に詳しい米当局者が10日に明らかにしたところによると、3氏は年末までに再度会談することで合意。防衛関係の強化に向け、軍の演習などへの関与を深めることを目指す方針という。
《維新嵐》こうなると六ケ国会議などもはや役にたつものではありませんな。
北朝鮮の今回の弾道ミサイル発射実験が、いわゆる「水爆実験」とセットで行われたものであろうことは間違いないでしょう。ブースト部分であるミサイルと弾頭のテストを行うことにより、「核大国」としての存在感を示すことにより、アメリカとの交渉のテーブルにつくこと、ミサイル&核ビジネスのアピールを国際的に行うことが狙いとしては考えられます。
おそらく小規模な程度では「水爆」実験は成功、弾道ミサイル発射についてはブースターの推力があがらず失敗という結果ではないでしょうか?
ただ確実にいえることは、長距離ミサイルと核弾頭の開発は少しづつでも進展しているということ、その存在感は共産中国といえど懸念材料になっているということはいえそうですね。



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