2015年8月19日水曜日

アメリカ海兵隊論 ~沖縄駐留の意義とは何か?~

軍事的意味はない?でも意義がある米海兵隊の沖縄駐留
THE PAGE 2015/4/24 14:00 http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20150424-00000004-wordleaf-nb

   普天間飛行場及び在沖海兵隊の移設問題は、安倍晋三首相と沖縄・翁長雄志知事が会談しても、一向に両者の対立が解ける様子はありません。翁長知事は、自ら訪米し、直接アメリカにアプローチする意向も示しています。

「ありとあらゆる手段を使って、日米同盟、日米安保体制の安定のためにも辺野古基地はつくってはいけないと。そういったことを踏まえ、訪米もその一環となる。色々やっていきたいと思う」

 この発言は、辺野古に基地を作れば、日米安保を脅かすぞ、というブラフ(脅迫)にも聞えますが、翁長知事がそこまでして辺野古への移設に反対していても、なぜ政府は、普天間基地の県外移設を否定するのでしょうか。

「政治的に最適」の別の見方

 政府が県外移設を否定する理由は、201212月に、森元防衛大臣(当時)が「軍事的には沖縄でなくてもよいが、『政治的』に考えると沖縄が最適の地域だ」と述べたことに端的に表われています。
※日本の政治家はこの点を勘違いしています。沖縄はアメリカがアジア地域にプレゼンスを発揮するために最適の地域です。これは政治的要素というより軍事的プレゼンスの要素の方が大きいです。
一部メディアは、この発言を、沖縄ならば海兵隊を押しつけることが政治的に可能だという意味と解釈していますが、異なる見方も可能です。ポイントは、在沖海兵隊がどこで作戦行動するための、どのような性格の部隊かという点にあります。
在沖海兵隊の存在意義は、歴史的には変遷していますが、現在では、中国による台湾侵攻に備えるという性格が強くなっています。
※正確には共産中国の台湾侵攻と北朝鮮の韓国侵攻でしょう。常にこれらは監視・偵察の対象となっていますね。
1996年に発生した台湾海峡ミサイル危機以後、中国の判断は、軍事行動は適切ではないという認識になっているようですが、今まで3回発生している台湾海峡危機が再び発生し、第4次台湾海峡危機が起きないとは限りません。台湾海峡ミサイル危機が、アメリカの介入により阻止されたことを考えれば、アメリカが介入しなければ、危機は再び起こるとも言えます。
 中国が、本格的に台湾侵攻を企てた場合、在沖の海兵隊では、数的にも質的にも不足だとする軍事専門家も、数多く存在します。主力である第3海兵師団の構成部隊は、ローテーション配備される部隊が大半ですし、総兵力でも17千に過ぎません。装備も、オスプレイで台湾に移動できる程度では、極めて軽装備となります。空爆や弾道ミサイル攻撃、それに揚陸部隊が機甲戦力を投入して来た場合には、死者を増やす結果にしかならないかもしれません。しかしそれでも、ある意味、それだからこそ、在沖海兵隊を台湾に投入する意義があります。

※有事を想定して、台湾防衛のためにいつでも軍事力を投射できる体制をとっている、これをみせることにより、仮想敵国の政治判断をコントロールします。つまり有事の状況を作らない、戦争をおこさせないために在日米軍は存在するわけです。


台湾に海兵隊を投入する意味

 在沖海兵隊は、台湾有事が生起した場合に、素早く台湾に投入することで、中国による攻撃の結果、アメリカ兵が死傷することがあれば、アメリカ政府として見過ごすことはできないという、アメリカの覚悟を見せるための部隊です。

 そうした”政治的”役割だけでなく、もちろん軍事的にも意味はあります。現代で言えばパラシュートによって敵の前線部隊の後方に降下する空挺部隊、戦国時代で言えば、出城の守備兵のようなものです。

 戦国時代、侵攻軍が出城を落とそうとすれば、落とすことは可能ですが、それなりに時間がかかるため、出城を攻めていれば、主目標である城は防備を固めてしまいます。それに、他国から援軍がくるかもしれません。第2次上田合戦において、真田昌幸・信繁(幸村)親子が、徳川秀忠を足止めし、結果的に関ヶ原の戦いに遅参させたのは、同じような用兵の例です。

 空挺部隊も同じように使われることがあります。囲碁で言うところの放り込みと同じで、敵の勢力圏に石を放り込むことで、放り込んだ石の処理をするか、前線強化を優先して放り込んだ石の生きを許してしまうかの二択を強要します。放り込みの石と同じですから、最初から捨て石となる可能性があります。

 海兵隊では、そうした精神的な事も考慮しているためか、在沖海兵隊は、ほとんどがローテーション配備です。これは、新撰組における死番制度と同じです。人間、常に死ぬことを要求される事には耐えられませんが、たまたま運が悪く死ぬ番にあたるなら、士気の維持ができるからです。ローテーション配備を、単なる国外勤務の負担軽減と見るのは、間違っています。
※安易にに新選組の制度と比較するものではありません。新選組の「死番制度」は、言い換えれば「決死隊」です。アメリカ海兵隊は、紛争抑止が目的。意味合いも規模も歴史的政治的な意味合いが全く違います。比較になりません。
軍事的には沖縄以外も可能
 本来なら、こうした役割を負うためには、出城の守備兵と同じで、台湾に常駐させることが望ましいと言えます。しかし、中国が2次大戦における連合国であることなどもあり、アメリカは台湾に直接戦力を置けません。アメリカは、これを補うため、1979年に事実上の米台軍事同盟である台湾関係法を制定し、台湾に対するコミットメントを示していますが、法律ではなく、実際の戦力の「プレゼンス」として存在しているのが在沖海兵隊です。

 台湾に置けないため、最も近い沖縄に配備しているものの、日米同盟による在日米軍に対して、在日米軍人質論が存在するのと同じように、在沖海兵隊は、台湾にとっての人質という訳です。
※沖縄駐留のアメリカ海兵隊は、どちらかというと我が国の「人質」といえます。我が国の連合艦隊を破壊しつくしたアメリカ軍が北東アジア防衛から逃げないようにするための「人質」です。つまりアメリカ軍は、我が国海軍を撃破したときから北東アジア防衛に大きな責任が発生しています。台湾は、共産中国を刺激しすぎますし、フィリピンは共産中国というより南シナ海の「自由航行権」確保のための米軍駐留と考えられます。

 軍事的には、台湾に迅速に投入できれば、どこであっても構いません。ヘリがオスプレイに変わったことで、沖縄ではなく、奄美や佐世保近辺であっても迅速な投入は可能となりました。そのため、海兵隊の所在地は、軍事的には奄美や佐世保であっても、この役割を遂行させることは可能です。ただし、沖縄本島からであれば、オスプレイは無給油で往復が可能なため、軍事的にもベストであることは変わりません。

※「戦力投射」は、アメリカ海兵隊の存在の根幹をなしているものでしょう。

 ですが、在沖海兵隊は、アメリカの台湾に対する、「我々はあなたを見捨てない」というメッセージ(プレゼンス)ですから、「政治的」に近い方が好ましいのです。

 地理的には、フィリピンのルソン島でも構いませんが、フィリピンは沖縄以上に反米感情が強く、それが故に1991年にスービック海軍基地を閉鎖し、アメリカが撤退した経緯がありますので、再度フィリピンに駐留させることは、南沙問題があるにせよ、普天間を辺野古に移転させる以上に困難です。


県外移設にこだわるならば

 翁長知事が、海兵隊を、こうした意義を持つ部隊であることを承知しているかどうかは分かりません。

 ですが、もし認識されているのだとしたら、海兵隊を沖縄から追い出すためには、アメリカの民主党支持者に多い台湾放棄論を盛り上げるように運動するべきです。アメリカが、台湾への肩入れを止めるならば、沖縄に海兵隊を置いておく必要はありません。国外への兵の駐留は、アメリカにとっても負担ですから、当然に撤退することになるででしょう。

 ただし、その結果、台湾が中国に取り込まれた後、沖縄がどうすべきかも考えておく必要があります。その時は、沖縄が最前線ですが、アメリカが人質を置いてくれるかどうかは分かりません。台湾放棄論が出るのですから、日本政府がどう考えたところで、アメリカで沖縄放棄論が出ることも考慮しておくべきです。

※台湾は、今や、在日米軍と人民解放軍との緩衝地帯として存在します。

(数多久遠 /作家・元航空自衛官)

■数多久遠(あまた・くおん) ミリタリー小説作家、ブロガー。元航空自衛隊幹部。自衛官として勤務中は、ミサイル防衛や作戦計画の策定に携わる。その頃から小説を書き始め、退官後に執筆した『黎明の笛』セルフパブリッシングで話題になったことから、作家としてデビュー。一方、ブロガーとしても活躍し、ミサイル防衛、防衛関係法規、防衛力整備など、防衛問題全般で鋭い解説記事を書いている。著書に、『黎明の笛』(祥伝社)がある 

在沖縄米海兵隊は中国への抑止力か否か


※沖縄に駐留するアメリカ海兵隊(第3海兵遠征軍MAGTF)については、我が国の軍事抑止力として必要であるか必要でないか、という議論が存在し、政府は必要論の根拠の下で普天間基地の移転にむけて事業を進めていますが、神保氏と柳沢氏の米海兵隊論をご覧になられたみなさんは、どうお感じになるでしょうか?
 ただ一ついえるのは、沖縄本島はいったんアメリカ合衆国の主権下にあった地域であり、施政権復帰後もアメリカ軍の駐留が合法的に認められてきたという点はおさえておかなければいけない点でしょう。
 アメリカには、沖縄に軍隊を配置する「権利」が存在し、それはアメリカ合衆国の西の国防線を守るために存在する「国軍」であるということです。
 我が国の国防線は、こうしたアメリカの国軍が守るべき国防線と完全に重なっています。これは第二次大戦で「敗北」を受け入れた我が国の宿命であるとしたら、こうした思考をベースにアメリカ海兵隊の施設移転をとらえられるべきかと考えます。
 自国の防衛に外国の軍隊を含めてとらえていくことは、本来ありえないことかとは思いますが、それが公然と語られることは、第二次大戦での沖縄のアメリカによる占領統治の遺産であるアメリカ軍の存在が相変わらず沖縄で保障されていることにつながっています。アメリカ軍の「軍事権益」は日本国政府が日米安全保障条約によって保障しなければならないアメリカの「権益」なのです。この点は、基地移設を考えるときに必ずふまえていかないといけない点なのです。

沖縄宜野湾市にあるアメリカ海兵隊普天間基地(http://gigazine.net/news/20120826-henoko/
より)

■海兵隊は日本防衛の中核 慶応大准教授・神保謙氏 

 米海兵隊が駐留する米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設をめぐり、政府と沖縄県の翁長雄志知事が対立を深めている。政府は「抑止力維持と普天間の危険性を除去する唯一の解決策」を唱えるが、翁長氏は「安倍晋三首相のかたくなな固定観念だ」と反発する。沖縄の海兵隊は中国への「抑止力」となっているのか。慶応大准教授で安全保障に詳しい神保謙氏と、元官房副長官補の柳沢協二氏に聞いた。(千葉倫之、台北 田中靖人)
 −−沖縄に駐留する米海兵隊の抑止力をどうみるか
 「抑止効果は非常に大きい。4月末に改定された日米防衛協力のための指針(ガイドライン)でも、平時からグレーゾーン、小規模有事、大規模有事という流れに切れ目なく対応することがうたわれている。事態ごとに必要な能力は異なり、その継ぎ目を埋めるためには陸海空の統合運用が重要になる。事態が急速に展開する可能性や非対称な攻撃が予想される中、継ぎ目を埋める能力をもともと備えているのが海兵隊だ」
 「日本周辺では、東シナ海のグレーゾーン事態や朝鮮半島の不安定化の可能性があり、沖縄の位置を考えれば、戦域内に短時間内で展開できる海兵隊がいることの意義は大きい」
 −−グアムに駐留すればよく、沖縄にいる必要はないという議論がある
 「事態発生後に数日間かけて戦域に入ってくればいいという議論はリエントリー(再突入)のコストを考慮していない。力の真空を作らないためには域内に強靱なプレゼンスがあることが重要だ。海兵隊の実動部隊が沖縄にいることは、南西方面への米国の安全保障上のコミットメント(確約)を保証する極めて重要な要素になっている」
 −−沖縄は中国の弾道ミサイルの射程内にある
 「中国が(自衛隊の対処能力を超える)飽和攻撃を行った場合の脆弱性は大きく、沖縄に部隊を置くリスクはある。ただ、大規模有事に至る前、紛争が徐々にエスカレートしていく初期の段階で十分な戦力投射ができるようにしておくことが大事で、沖縄の重要性はますます増している」
 −−辺野古への基地移設はなぜ必要なのか
 「普天間基地は古い。管制・防空システムの更新やミサイル防衛を含めた基地の防護を世界標準にすることが必要だ。住宅地で行動が妨げられ、基地の抗堪性が制約されるようでは困る」
 −−米海兵隊の役割は自衛隊では代替できないのか
 「装備の面でも運用の面でも、自衛隊が持っているのはごく一部。緊急事態への即応体制はできているが、有事型になっていない。自衛隊と米陸軍も離島奪還の訓練をしているが、陸軍が動くのには時間がかかる。グレーゾーン事態が発展し、日米安全保障条約第5条が発動される事態になった場合、誰が一体動くのか。島嶼防衛で自衛隊が主体的な役割を担うのは当然だが、指針では日米が水陸両用部隊も用いて共同作戦を実施するとしている。米軍は自衛隊の作戦を支援・補完するとされており、海兵隊はこの任務に決定的な役割を果たす。海兵隊は今や日本の防衛のために非常に重要な役割を果たしている」

■〈じんぼ・けん〉昭和49年、群馬県生まれ。41歳。慶応大大学院政策・メディア研究科博士課程修了後、平成21年から同大准教授。専門は国際安全保障。キヤノングローバル戦略研究所主任研究員などを兼任。

宜野湾市の普天間基地機能を名護市辺野古に移転する計画(http://gigazine.net/news/20120826-henoko/より)

■沖縄に駐留の合理性ない 元官房副長官補・柳沢協二氏

 −−在沖縄米海兵隊は抑止力として機能しているか

 「抑止力とは『相手が攻撃してきたら耐え難い損害を与える能力と意志』のことだ。その意味で沖縄の海兵隊は抑止力として機能していない。離島防衛は制海権と制空権の奪取が先決で海兵隊がいきなり投入されるのはあり得ない。日米防衛協力のための指針でも、米軍の役割は自衛隊の能力が及ばないところを補完すると規定されている。それは敵基地への打撃力だが、海兵隊の役割ではない。沖縄は中国のミサイル射程内に軍事拠点が集中しており非常に脆弱だ。米国はいざというとき、戦力の分散を考えるだろう。そもそも、本格的な戦闘に拡大する前に早期収拾を図るだろう。海兵隊を投入すれば確実に戦線は拡大する。つまり、いずれの局面でも海兵隊の出番はない。いざというときに使わないものは抑止力ではない」

 −−沖縄に海兵隊は必要ないと

 「どこかにいなくてはいけないから入れ物は必要だろう。しかし、それがピンポイントで沖縄でなくてはならない軍事的合理性はない。有り体に言えば『他に持っていくところがない』ということだろう。そもそも、抑止力と軍隊の配置に必然的な関係はない。海兵隊は米国本土にいてもいい。いざというときに投入する能力と意志があり、それが相手に認識されることが抑止力の本質だ。『沖縄の海兵隊の抑止力』といったとたんに思考停止し、深く掘り下げて考えないのは一種の信仰だ。沖縄県民はそこに不信感を持っている」

 −−南シナ海では米軍のフィリピン撤退後、同国が実効支配してきたミスチーフ礁などを中国が占拠した

 「事実としてはそうだ。しかしフィリピンにいたのは海軍と空軍であり、海兵隊が撤退したからそうなったのではない。海軍と空軍がいればいい。海空軍まで出ていけという話をしているのではない」
 −−在沖縄海兵隊は、朝鮮半島や台湾海峡の危機抑止に機能するか
 「機能しない。台湾海峡事態で地上戦闘はすべて台湾の役割だ。米国の役割はなんと言っても海空軍だ。海兵隊は海上・航空優勢を確保した後に出番が来るかもしれないが、少なくとも真っ先に飛んでいくわけではない」

 −−米国が沖縄から海兵隊を撤退させる可能性はあるか

 「地元から歓迎されない基地は能力を発揮できないというのは一面の真理であり、元国防次官補のジョセフ・ナイ氏もそういう趣旨のことを述べている。日本政府が必死に普天間の辺野古移設を進めているときに、米国は邪魔するようなことは言わない。しかし今後、普天間をめぐる混乱が広がれば米国の反応も変わってくるだろう」

■〈やなぎさわ・きょうじ〉昭和21年、東京都生まれ。68歳。東大法学部卒業後、防衛庁入庁。運用局長などを経て平成16年から21年まで官房副長官補(安全保障・危機管理担当)。現在、国際地政学研究所理事長。

《沖縄でのアメリカ海兵隊》

第31海兵遠征隊による暴徒鎮圧訓練

米海兵隊特殊部隊による風船を使用したスナイパー訓練


【日本の平和を維持してきた『抑止力』】一翼を担う在日米軍の全体像とは?
THE PAGE 2015/9/24 09:00 http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20150917-00000010-wordleaf-nb

抑止力を構成する在日米軍の全体像とは?(2013年撮影資料写真、横田基地で)(ロイター/アフロ)

戦後70年間、日本が平和な状態を維持できた理由の一つは、他国の野心的な意図を抑える力、「抑止力」を日本が保持してきたからです。その中心を担ってきたのが、現時点で約23万人の隊員を有する自衛隊です。しかし、抑止力としての役割を果たしてきたのは自衛隊だけではありません。日米安全保障条約などに基づいて駐留する「在日米軍」も大きな役割を果たしてきました。現在、日本には概ね5万人の米軍が、全国にある約80箇所の専用施設等を利用して駐留しており、日本は防衛予算の1割を在日米軍関係経費に充てています。

[図表1]在日米軍の人数と推移(2012年~2015)

在日米軍の人数は全海上自衛官より多い


 日本には、「日米安全保障条約」と「日米地位協定」に基づいて米軍が駐留しています(以下、在日米軍)。米国防省の統計によれば、20156月現在、在日米軍の総数は48,828人になります(図表1参照)。この人数は全海上自衛官より多く、また、全自衛官の5分の1を上回ります。



 在日米軍の中で1番人数が多いのは、米海軍です。米海軍は約19,000人駐留しています。このうち約13,000人は軍艦の乗員になります。乗員の人数が多いのは、「第7艦隊」という大きな部隊が日本に拠点を置いているからです。日本には約20隻の軍艦が所在しており、その中でも海上自衛隊の護衛艦に相当する軍艦の数は、全護衛艦数の約5分の1に相当します。部隊を管理する上で中心的役割を果たす「司令部」は、神奈川県横須賀市の「横須賀基地」にあります。

 在日米軍の中で2番目に人数が多いのが、米海兵隊です。米海兵隊は約15,000人駐留しています。このうち約12,000人は戦闘を任務にする「第3海兵遠征軍」の隊員です。司令部は沖縄県うるま市にある「キャンプ・コートニー」にあります。ちなみに、米海兵隊は行政上、米海軍省の下に置かれていますが、陸上での戦いを専門とする組織です。

 在日米軍の中で3番目に人数が多いのが、米空軍です。米空軍は約12,000人駐留しています。日本には主に戦闘機の部隊が展開しています。在日米空軍は80機を超える戦闘機を持っており、この数は航空自衛隊が持っている全戦闘機数の5分の1以上に当たります。司令部は東京都福生(ふっさ)市などにある「横田基地」にあります。なお、在日米空軍の司令官は、在日米軍全体の司令官を兼ねています。

 在日米軍の中で最も人数が少ないのは、米陸軍です。米陸軍は約2,400人駐留しています。日本には戦闘を任務にする部隊ではなく、補給などの後方支援を担う部隊が主に展開しています。司令部は、神奈川県座間市の「キャンプ座間」にあります。
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20150917-00000010-wordleaf-nb&p=2
[図表2]在日米軍の人数と主要施設

専用施設は全国各地


 在日米軍の施設は全国各地にあります(図表2参照)。防衛省などの公開情報によれば、20153月現在、在日米軍は14都道府県に合計82箇所の専用施設を持っています。在日米軍の専用施設の面積を全て合わせると東京23区の半分程度の広さになります。専用施設の一例は、在日米軍の施設で最も新しい、京都府京丹後市の「経ヶ岬(きょうがみさき)通信所」です。経ヶ岬通信所は米陸軍の施設で、弾道ミサイル防衛用のレーダーが設置されています。



 一方、専用施設とはいえ、自衛隊が共同で使用している場所もあります。その一例が本州最大の在日米軍基地である、青森県三沢市の「三沢(みさわ)基地」です。三沢基地は飛行場で、米空軍の戦闘機や米海軍の偵察機などが所在している他、航空自衛隊も拠点を置いています。ちなみに82箇所ある専用施設には、神奈川県逗子市などにある「池子住宅地区」など、非軍事的な施設も含まれています。

[写真]会談したジョン・ドーラン在日米軍司令官(左)と河野克俊統合幕僚長(20156月撮影、ロイター/アフロ)

防衛予算の1割は在日米軍関係経費

  日本政府は米軍が日本に駐留する上で生じる経費の一部を支出しています。財務省などの公開資料によれば、平成27年度に日本政府が予定している在日米軍関係経費の総額は7,250億円になります。この総額には、米軍の施設がある地方自治体に交付される「調整交付金」など、防衛省以外の省庁が所管する経費も含まれています。防衛省が所管する経費は約5,200億円となっています。経費として計上されているものには、在日米軍施設で働く日本人労働者の給与や庁舎等を造るための施設整備費、騒音軽減や土地返還のための事業費など、様々な経費が含まれています。実は、いわゆる「防衛予算」と呼ばれる防衛関係費には、これらの経費が含まれています。平成27年度の防衛予算の総額は約5兆円ですから、防衛予算の1割は在日米軍関係経費ということになります。



 日本には約5万人の米軍が、約80箇所ある全国各地の専用施設などを利用して駐留しており、日本も防衛予算の1割を在日米軍関係経費として支出しています。在日米軍が駐留していることで、騒音や周辺住民との摩擦など、いわゆる基地問題が生じていることは間違いありません。一方、在日米軍が駐留することで、人員や軍艦、戦闘機など、自衛隊の2割に相当する防衛力が日本に存在しているのも事実です。日本の安全保障について考える際には、抑止力の一部として機能している在日米軍にも目を向けたいものです。
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廣瀬泰輔(ひろせ・たいすけ)国会議員秘書。元米戦略国際問題研究所(CSIS)客員研究員。防衛大学校卒。松下政経塾卒。米海軍研究所に留学(20082009年)。主な執筆記事に、「『戦争』だけが自衛隊の仕事じゃない 非軍事活動ムートワ(MOOTW)とは?(http://thepage.jp/detail/20150710-00000005-wordleaf)」 

《維新嵐》なぜ我が国国内に在日アメリカ軍が駐留しているのか?
その法的な根拠が日米安全保障条約であり、アメリカ軍が我が国国内でどういう位置づけにあるかを規定するものが日米地位協定になるかと思います。
 第二次大戦において、我が国が小笠原諸島や南西諸島を失い、昭和天皇の「終戦の詔」によって日本軍は戦闘を停止することになります。
 これにより我が国は、国家の安全保障について語るときにアメリカ抜きでは語れなくなりました。
 よくアメリカの政治家や軍人、我が国の政治家や官僚のみなさんは、在日アメリカ軍は「日本の抑止力」である、と口にしますが、我が国は「国家主権」の確立した独立国ですから、本来外国軍に守ってもらういわれはありません。我が国の領土、領海、領空を守る組織は自衛隊であり、海上保安庁です。
 それでもアメリカ政府役人や政治家、軍人は、やはり「日本を守る」ために、と主張されます。アメリカは自国の主権域の外にある我が国をなぜ守ってくれるのでしょうか?

 それは我が国が、アメリカ合衆国の「国防圏」にあたるからです。
国家と国家の境界線を「国境線」ということはよく知られていますが、この国境線の外側に「国防線」というラインが設定されます。国防線は「仮想線」なのであくまでその国の任意のラインですが、本土防衛のために国防上設定されるラインとなります。国防線の内側が国防圏となります。
 第二次大戦で我が国は、アメリカをはじめ連合国に、領土という主権域を奪われましたが、本土も連合軍に占領され、日本軍も壊滅してしまったため、それまでの「国防圏」が守れなくなりました。
 アメリカは、我が国から獲得した領土領海領空を自国軍事力で防衛しなければいけなくなりました。在日米軍基地はそのためのものです。
 つまりアメリカの「日本を守る」発言の意味は、アメリカ合衆国の西側にある北東アジアの国防線を防衛するという意味であり、日本列島や朝鮮半島、台湾などにあるアメリカ合衆国の権利権益を守るという意味になるのです。
 つまりアメリカの国防圏である北東アジアと我が国の主権域が重なっているということです。



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