2015年7月19日日曜日

みんなで変えよう自衛隊! ~いわゆる「島嶼防衛戦略」について~

【南西方面の島嶼防衛強化を急げ】
拓殖大学特任教授・森本敏
2015.5.22 05:02更新 http://www.sankei.com/column/news/150522/clm1505220001-n1.html

《戦略的拠点となった尖閣諸島》

 わが国は北東から南西方向にかけて約3千キロに及ぶ縦深性のある地形を持ち、6850以上の島嶼(とうしょ)群からできているが、そのうち5つの本島を除けばあとは離島である。しかも、この島嶼群の中で有人島は420ほどであり、あとは無人の離島である。特に、鹿児島県大隅半島から沖縄南西端の与那国島までの約1100キロはわが国の3分の1を占め、この南西方面は第1列島線とほぼ一致する。
 中国は第1列島線から第2列島線までの間をアクセス拒否の海域にしようとしており、中国の海空軍は2008年以降、毎年のごとく東側に活動域を拡大してきた。そうなると、将来におけるわが国の戦略目標は第1列島線と第2列島線の中間に位置する海域で、中国に対して優位なバランスを確保することになる。
 1970年代初めに中国が尖閣諸島の領有権を主張し始めた頃の動機は、海洋資源獲得だったが、今や、尖閣諸島を在沖縄米軍と南西方面の自衛隊を牽制(けんせい)する重要な戦略的拠点として確保することにある。近年、中国で尖閣諸島を核心的利益に含む発言が見られるようになったのもその証左である。
 中国は国連海洋法条約を恣意(しい)的に解釈して、排他的経済水域と大陸棚の外縁までを海洋国土と呼称し、国家主権を主張している。尖閣諸島が中国の領土になり、そこから200カイリ(370キロ)の排他的経済水域内が中国の海洋国土になれば、在沖縄米軍と南西方面の防衛に任じる自衛隊の活動は大きな制約を受けることになる。
 中国にとって尖閣諸島の領有権を主張するだけでなく、費用対効果の面で有効な手段があればぜひとも確保したい領土であろう。南シナ海で中国がやってきた島嶼占領の手法を東シナ海に適用すると、中国が国際法上、武力攻撃とはみなされない方法を使って、領土占領を狙うという可能性がないとはいえない。
 《緊密な連携活動と練度の向上を》
 しかし、わが国の施政の下にある領域に対して、武力攻撃でない限り米国は日米安保条約に基づいてわが国の防衛のために共同行動をとるという条約上の義務を有しない。尖閣諸島に日米安保条約5条を適用するという米国のコミットは勇気づけられるものであるが、尖閣が危なくなると米国が助けてくれると考えるのは合理的ではない。こうした場合にわが国が自国の領域を守るためにまず、自らが必要な措置をとることは国家として当然の義務である。


法執行機関である海保や警察を中心に、自衛隊を含めて平時から警戒監視に専念することは当然として、武力攻撃には至らない事態には、海上警備行動や治安出動を含めて法執行機関や自衛隊の緊密な連携措置をとることは国家の警察作用である。これらの諸活動をスムーズにかつ、迅速に行うため確実な手順を決め、緊密な連携活動を訓練し、練度を高めておくことも国家の義務である。
 それでも尖閣諸島を占領しようと行動された場合にどうするか。
 まず第1に、そのような事態になることをできるかぎり未然に防止する努力が必要である。警戒監視活動を重層的に強化しておくことや、平素から部隊を配置して抑止を機能させておくことは当然であるが、中国を不要に挑発しないよう十分、留意することである。
 わが国が中国を挑発したという言い訳を中国に与えるような対応を、相手は待ち構えている。日中間の連絡メカニズムの具体的手段について合意し、誤解や挑発や偶発によって不測の事態が起こらないよう注意深い慎重な努力を根気よく続けることも必要であろう。多国間協力を通じた外交努力をすすめ、頻繁に行う共同演習も抑止行動の一環である。


《不可欠な即応緊急部隊の展開》

 第2に、それでも実際に非合法な手段を駆使して島嶼群を占領しようとする可能性はある。それに備えて南西方面の島嶼群に必要な即応緊急部隊を展開しておくことは不可欠の手段である。わが国はこの面でまだ不足している。
 奄美大島や先島諸島の要地に即応部隊を展開し、また、いつでも展開できるように部隊受け入れの基盤を構築することが重要である。本土を含めて他地域から部隊を迅速に輸送展開する態勢を確保しておくことも必要となる。
 また、それでも島嶼群を占領された場合には、ただちに水陸両用部隊を駆使して領土を取り返す手段と態勢を確立しておくことが求められる。そのための自衛隊の統合運用は不可欠であり、南西方面にある全ての部隊を統合任務部隊として西部方面総監に一括して指揮させる体制を確立することも検討すべきであろう。
 第3は、日米同盟関係の強化である。尖閣シナリオに基づく日米共同作戦計画を策定し、調整メカニズムを確立して共同対処の態勢を確立し、訓練を行う必要がある。ガイドラインと安保法制はそれを可能とするものであるが、法制が成立しても実態が追いついていくよう努力する必要があり、これは今後の大きな課題であろう。(もりもと さとし)

※森本氏のご指摘にあるように南西諸島防衛は、アメリカ軍との連携なくしては意味をなさないものです。緊急展開部隊の創設も必要でしょう。ただ島嶼部の部隊と海洋防衛との関連、「島嶼奪還」の具体的な方法についてさらにつきつめて考えてみる必要があるように感じます。

 以下の北村淳氏の論考もみながらわが国が実行できる島嶼防衛戦略について考えを深めてみたいと思います。


島嶼防衛の戦略は人民解放軍に学べ
「島嶼奪還」ではなく「接近阻止」が大原則
タリスマン・セイバーで上陸訓練を実施する米海兵隊(写真:米海軍)

 2年に一度開催されているオーストラリア軍とアメリカ軍の合同軍事演習「タリスマン・セイバー」が、オーストラリア北部ダーウィン近郊のフォグベイを中心に実施されている。
 この軍事演習は米豪両軍から3万名を超える将兵が参加する大規模なものである。オーストラリア軍にとってはアメリカとの親密な同盟関係を誇示するためにも重要な機会となっている。
40名の陸自部隊が初参加
 今回は、初めて日本からも陸上自衛隊の部隊が参加している。このため「日本とオーストラリアの准同盟化」といったニュアンスで取り上げている日本のメディアも存在する。ただし、タリスマン・セイバーに陸自部隊が参加しているといっても、オーストラリア当局側では日豪軍事同盟を見据えたような参加と考えているわけではない。
 参加している陸自部隊はわずか40名ほどの小部隊であるし、そもそも主催国であるオーストラリア側としては、あくまでも豪米軍事同盟の強化が目的である以上、“余分”な要素が加入することには積極的ではなかった。
 そのため、西部普通科方面連隊から極めて小規模な部隊が抽出されてアメリカ海兵隊第31海兵遠征隊(アメリカ海兵隊は日米豪の軍事的結びつき強化を望んでいる)に組み込まれた形で参加するということで日本の参加が実現したという事情がある。
もちろん、陸自の参加部隊が3万名中40名と極めて小規模であっても、また背景事情がどうであれ、日米豪の軍事的結びつきがわずかながらも進展したことには疑問の余地がない。そこで中国メディアなどは「アジア地域の安定を脅かす」といった具合に非難している。

自衛隊に必要な水陸両用能力は島嶼奪還能力ではない
 タリスマン・セイバーでは、米海軍揚陸艦からゴムボートに分乗して発進した陸自偵察部隊が海岸に上陸して、米部隊や豪部隊とともに内陸に展開する訓練が実施された。
 いくつかの日本のメディアはこの訓練を「島嶼(とうしょ)奪還訓練」と報道しているが、大きな誤りである。
 日本国防当局は、これまで日本防衛のために必要であったにもかかわらず自衛隊に保持させてこなかった水陸両用能力(水陸両用作戦を実施するための軍事的能力)を修得する努力をしている。しかしながら、日本のメディアの多くは「水陸両用作戦」を「強襲上陸作戦」と同一視してしまっている。そして、自衛隊が水陸両用作戦の訓練をすると、短絡的に「島嶼奪還訓練」と報道しているのだ。
 水陸両用作戦は、「強襲上陸作戦」「襲撃作戦」「撤退作戦」「撤収作戦」「示威作戦」それに「支援作戦」に分類される。これらのうち、第2次世界大戦中の硫黄島侵攻作戦やノルマンディー上陸作戦のように敵が待ち構えている海岸に敵と戦闘を交えながら上陸するのが強襲上陸作戦である。
 21世紀の現在、上陸部隊の前進基地となる沖合の揚陸艦や、揚陸艦から海岸線に到達する手段である揚陸艇、水陸両用装甲車、ヘリコプターそしてオスプレイなどを攻撃する各種ミサイルの戦力が飛躍的に強化されているため、強襲上陸作戦は敵が相当貧弱な戦力しかない場合にしか実施され得ない。日本のメディアが“想定”しているような「尖閣諸島を占領している人民解放軍部隊」を相手には、とても強襲上陸作戦は実施できない。
ちなみに、タリスマン・セイバーで陸自部隊が実施したゴムボートによる上陸訓練は襲撃作戦や支援作戦の訓練であり、これを「島嶼奪還訓練」などと報道しているようでは、中国はもとより国際社会の失笑を買ってしまう。
島嶼奪還ではなく接近阻止が必要
 日本のメディアには、水陸両用作戦と強襲上陸作戦の同一視からいい加減に卒業してもらいたいものだが、メディアのみならず国防当局なども使用する「島嶼奪還」あるいは「離島奪還」という表現そのものに問題がある。
 日本の防衛当局がこのような表現を用いるのは、「水陸両用作戦イコール強襲上陸作戦」という誤解が流布しているからであろう。さらにはそれを踏まえて、自衛隊の水陸両用能力の獲得が「あくまでも中国人民解放軍に占領されてしまった尖閣諸島をはじめとする離島を奪還するという専守防衛の軍事行動に資するためである」ということを強調したいがためであろう。
 しかしながら、より根本的な問題は、多くのメディアや国防当局とりわけ陸上自衛隊の「島嶼防衛」に関する発想が「日本の島嶼を占領されてしまった」時点からスタートさせている点にある。
 尖閣諸島のような、無人で軍事施設も生活インフラも存在しない岩礁のような島嶼は、占領しても確保が困難である。そのため、人民解放軍にとって占領価値はゼロに近い(ただし、象徴的価値は見いだせるが)。しかしながら、宮古島や石垣島のような占領価値のある離島を人民解放軍によっていったん占領されてしまった場合、それを奪還するのは自衛隊にとってはもちろんのこと日米連合軍にとっても至難の業ということになる。
 したがって「島嶼防衛」を論ずるには、「島嶼奪還」ではなく人民解放軍の侵攻占領部隊が日本の島嶼に接近することを何としてでも阻止するための確固たる戦略を確立しておかなければならないのだ。

中国人民解放軍のA2/AD戦略とは
 人民解放軍の接近を阻止する戦略を打ち立てるにあたって参考になるのが、皮肉なことに人民解放軍がアメリカ軍と自衛隊などの同盟軍が中国に侵攻してくるのを中国沿岸域からできるだけ遠方で阻止するために打ち立てた「接近阻止/領域拒否」(A2/AD)戦略である。
「接近阻止」とは敵侵攻軍が中国の防御ライン(第2列島線、第1列島線)を突破して中国側に接近してこないようにすることを意味する。そして「領域拒否」とは敵侵攻軍が第2列島線の中国側(そして最悪の場合は第1列島線の中国側)の海域を一時的にでも自由に使用させないことを意味している。
1列島線と第2列島線(白:日米海軍拠点、赤:中国海軍拠点)
人民解放軍は、この「A2/AD」戦略を実施するために海軍力と航空戦力を強化するとともに、その主役として膨大な数の各種長距離ミサイル(対艦弾道ミサイル、対艦巡航ミサイルなど)の配備に邁進している。

日本がA2/AD戦略を実行するなら
 このような中国の「A2/AD」戦略を裏返しにして日本が手にすれば、人民解放軍侵攻軍による日本の島嶼への接近を阻止することが可能になる。
 すなわち「日本版A2/AD戦略」とは、第一に、九州から与那国島にかけての中国側が第1列島線と名づけている島嶼ラインからできるだけ中国側に防衛ライン(第1防衛線:日本政府が主張している東シナ海日中中間線)を設定して、その防衛ラインから日本側に人民解放軍が侵攻してこないような「接近阻止」態勢を固めるのである。
1列島線より中国寄りに設定する第1防衛線
 そして、万が一にも機動性の高い人民解放軍侵攻部隊が第1防衛線を突破しても、その侵攻部隊が日本近海域では自由に行動することはできないような「領域拒否」態勢を維持するのである。
「日本版A2/AD戦略」実施に必要なのが、人民解放軍同様に強力な海軍力(海上自衛隊)と航空戦力(航空自衛隊・海上自衛隊)であり、それに加えて九州から与那国島に至る島嶼のいくつかに配備される地対艦・地対空ミサイル戦力(陸上自衛隊)である(本コラム効果は絶大、与那国島に配備される海洋防衛部隊」参照)。そして、島嶼線に設置される多数の自衛隊拠点間の戦力移動や補給活動を迅速に実施するためには、水陸両用能力が不可欠となるのだ。
 このようにして「日本版A2/AD戦略」が確立すると、それをバックアップする日米同盟と相俟って「中国版A2/AD戦略」と軍事的均衡が保たれ、中国共産党指導部による覇権主義的海洋拡張政策を抑止できる可能性が生ずるのである。


※日中中間線は、国際海洋法に基づいて設定された日中間の海洋権益をわかつラインですが、いやいやながらも共産中国は国際法をたてにとられた状態では、これを無視するわけにもいかず、ガス田開発でも中間線より西側に建設されています。

「法律戦」をたてにする共産中国ですから、国際法に基づいて外交的に対処することも有効な抑止手段ですが、北村氏がご指摘されるように経済的政治的な日中中間線を軍事的にも利用することは、自衛隊の防衛戦略を構築整備する上で、また人民解放軍の海洋侵攻を抑止する上でも有効でしょう。


「日本離島防衛論」 福山隆氏
 自衛隊は精強ですが、どのみち我が国単独による防衛だけはさけなければいけません。また海上保安庁などの国内機関とも連携を密にしていくことは前提でしょう。

日本が採るべき新たなる対中戦略 情報共有
と“逆A2/AD戦”の必要性

岡崎研究所
20160209日(Tuehttp://wedge.ismedia.jp/articles/-/6044

 新アメリカ安全保障センター(CNAS)のヴァン・ジャクソン客員研究員が、Diplomat誌ウェブサイトに16日付で掲載された論説において、アジアで対中バランスをどう維持するかにつき、海域の常時哨戒を行い、中国による一方的行動を速やかに把握してその情報を広くシェアすること、中国に仕掛ける気を起こさせない抑止力を持たせることといった、現実的な提案を行っています。

対中戦略に求められる3つのこととは
 アジアにおける米国の政策の目的は、安定した自由な秩序を維持することだが、最近はアジア諸国間の信頼の欠如、軍事力強化、領土問題とナショナリズムによって、この目的の達成が阻害されている。しかも、中国は微細な主張を強引に通そうとし続け、予想外の紛争を起こしかねない。
 現在の米国の政策は、これらの問題を止めようとしていない。しかしこのまま進めば、米国のアジアにおける利益は阻害される。何ができるだろう? 戦争にもならず、一方的に譲歩することにもならない解決策が今ならいくつかある。
 一つは、米国の同盟相手及びパートナーのうち、中国と紛争に陥る可能性が高い国、例えば日本、台湾、ベトナム、フィリピンの軍事力を高めることである。これは、これら諸国に中国と同等の軍事力を備えさせるということではなく、抑止力を高め、中国の行動を慎重にさせるためである。
 もう一つは、情報をできるだけガラス張りにすることである。中国は南シナ海領土紛争で、軍ではない力を行使し、「これは力の行使ではない」と強弁するが、情報をガラス張りにすれば、このようなことを難しくすることができる。そうなれば、いずれの側が仕掛けたかもわかるし、中小国が団結して中国を非難しやすくなる。
 そのためには、米国はアジアの関連国の海上偵察能力を向上させるのが良い。それは既にフィリピン、インドネシアで行っていることであり、シンガポールにP-8哨戒機を供与することも正しい一歩である。しかしこれはまだ「大海の一滴」であり、2017年に予定されるMQ-4C Triton無人偵察機配備等で米国が収拾する情報は、同盟国、友好国ともっとシェアするべきである。
 もう一つは、いくつかの同盟国・友好国の軍事力を高め、中国がこれら諸国との初期段階の小さな戦闘では勝てないようにしておくことである。これは、中国が米国に対して取っている「接近阻止」戦略を逆に行くものである。そのためには、これまでのMD(ミサイル防衛)、巡視船の供与だけでは不十分である。水中機雷、潜水艦、巡航ミサイル、種々の無人機の供与が不可欠だが、これは例えばベトナムに対する従来の政治的・法的制限そして融資上の制限措置を解除することを意味する。もっとも重要なことは、先端ミサイル、無人機の供与を制限しているミサイル技術管理レジーム(MTCR)を改正することである。

以上では生ぬるいと言う者がいるだろう。逆に以上の措置は、戦争の危険をかえって高めるという者もいるだろう。米国の技術流出を心配する者もいるだろう。
 しかし、以上の措置は、戦争と一方的譲歩の中間を行くものである。今日の技術開発は軍事研究より民需部門で行われており、技術の流出を過度に心配しても仕方ない。如上の3つの方策は並立し得るものでもあり、将来の大統領の対アジア政策を最も柔軟なものにできるだろう。
出典:Van Jackson,Rethinking US Asia Policy: 3 Options Between Appeasement and War’(Diplomat, January 6, 2016
http://thediplomat.com/2016/01/rethinking-us-asia-policy-3-options-between-appeasement-and-war/
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米軍自身の言及なき提案
 この論説の筆者ヴァン・ジャクソンは、空軍の朝鮮語専門の情報担当としてキャリアを開始、その後一貫してアジア太平洋関連の国防畑を歩み、2009年から2014年まで国防長官の顧問として朝鮮半島等を担当してきた人物です。この論説は、アジアで対中バランスをどう維持するかについて現実的な提案を行っており、オバマ後の政権を主たるターゲットとした提言でしょう。
 提案の肝は、海域の常時哨戒を行い、中国による一方的行動を速やかに把握してその情報を広くシェアすること、同盟相手・友好国に中国との小規模戦闘では勝てる力をつける、つまり中国に仕掛ける気を起こさせない抑止力を持たせること(中国が米国に対して適用している「接近阻止:の戦略を逆用)、そのために水中機雷、潜水艦、巡航ミサイル、種々の無人機の供与まで検討することです。
 しかし、気になる点もあります。まず、米軍(特に海軍、海兵隊)自身についての言及がほとんどありません。豪州の役割についても言及がありません。この論説の趣旨には賛成できますが、アジアの安定を地域諸国の間のヤジロベエ的相互抑止に委ねてしまおうという発想であるとすれば、要注意です。
 そして、日米同盟の役割について言及がありません。日本で論議を呼ぶのを警戒したのか、それとも、国防省でも日本担当者以外のマインドはこの程度のものなのかは分かりません。東アジアのバランスについては、中国、北朝鮮の核兵力、ロシアの新型巡航ミサイルが呈する脅威等も議論する必要があります。3月末には米国で核安保サミットが開かれるので、立場を整理しておく必要があります。
 日本の対中抑止力を整備するためには、日本の空母保有を米国が明示的に認めること、F35の供与を急ぐこと、巡航ミサイル、無人機技術を供与することが有効でしょう。
《維新嵐》付け加えれば、主戦場を間違えないことである。大きな武力紛争はおきない「静かな」アジアとなっているが、人民解放軍や中華系の企業によるサイバー攻撃は、周辺国に大きな脅威になっており、我が国も例外ではない。今や人を殺傷せず、インフラ設備を破壊せずに国家の中枢から先端技術を窃取し、これを継続していくことにより、敵国を骨抜きにする手法が数を増しており、サイバー空間はまさに「戦争状態」なのである。そうした得体のしれない「新しい戦争」の時代の中で、離島を守るためにはどのような点に考慮を払い、政治に働きかけるのであろうか?

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