2015年6月15日月曜日

世界情報戦争の時代における個人のプライバシーのあり方 ~スノーデンファイルの衝撃と影響~

【衝撃編】欧州の信用なくし、国内でも課題……米国に傷負わせたスノーデン容疑者 ロシア渡航から1年

【ワシントン=加納宏幸】米国家安全保障局(NSA)の個人情報収集を暴露した中央情報局(CIA)元職員、スノーデン容疑者がロシアに渡航して23日で1年となった。オバマ米政権は情報活動の対象だったと暴露された欧州の同盟国から不信を買い、ロシアが亡命を受け入れたことで対露関係が冷え込む原因となった。容疑者の著書出版に加え映画の題材になるなど、国際社会に与えた衝撃の余波は続いている。
 「スパイとして訓練された」「仕事を偽り、別名を使って海外で活動していた」。米NBCテレビが5月28日に放映したインタビューで、スノーデン容疑者はこう述べた。
 この中で同容疑者は、情報収集の手法に懸念を表明していたとも発言。これを受けNSAは翌29日、同容疑者が在勤中に出した「唯一の電子メール」だとして、その内容を公表した。メールは情報活動とは関係なく、研修について問い合わせるものだったとし、同容疑者の発言に反論した形だ。NSAは声明で「内部告発するのなら方法はあったはずだ」と強調した。
 秘密のベールに包まれているNSAが元職員のメールを公表するのは異例だ。ロシア国内にいるスノーデン容疑者が機密情報を渡しているという懸念から、神経をとがらせている様子がうかがえる。
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140623/amr14062321550006-n2.htm
 米政府は容疑者を「臆病者だ」(ケリー国務長官)などと非難し、帰国を求めている。米紙ワシントン・ポストによると、今年8月で1年間のスノーデン容疑者の滞在期間が切れるのに伴い、米司法省はロシア側に引き渡しを求めているが膠着(こうちゃく)状態にあるという。
 スノーデン容疑者はこれまで、ロシア政府の情報活動との関わりを否定しているが、米側は額面通りには受け取っていない。ポスト紙は、ロシア側で同容疑者の代理人を務めるクチェレナ弁護士はプーチン大統領と関係が深く、諜報機関の連邦保安局(FSB)の顧問を務めていると報じた。
 今年5月、ホワイトハウスでの米独首脳会談後の共同記者会見で、メルケル首相は「両国には乗り越えなければならない困難がいくつかある」と述べ、隣にいたオバマ大統領に不快感を表明した。メルケル氏の携帯電話を米情報機関が盗聴していたと暴露された昨秋の騒ぎが、まだ尾を引いている形だ。

 オバマ氏が1月に発表した改革案が個人の通話履歴情報の収集を明確に否定しなかったことで、米国内でも政権不信につながった。米下院は最近、通話記録収集に令状を求める国防歳出法案を可決したが、与党民主党主導の上院は慎重とされ、今後、論争が再燃しそうだ。

あなたも監視されている~スノーデンの暴露とは 
2016/12/24 に公開 2016年12月2日に発売された「スノーデン、監視社会の恐怖を語る」。アメリカの監視システムを告発した元CIAの職員エドワード・スノーデンにインタビューした記録である。「国家がすべての個人を監視する」。インターネット時代の監視とはどのようなものか。本の著者で、日本で初めて単独でインタビューしたジャーナリスト小笠原みどりさんに話を伺った。 https://youtu.be/A8sM_LafZqM

【情報こそ最大の武器】
Intelligence(インテリジェンス)という用語の定義には、情報(及びその収集活動)の他、情報の分析、防諜(Counter IntelligenceまたはCounter Espionage)などの機能を含ませるのが一般的である。
 情報は「究極の武器」である。
先方の手の内を知るインテリジェンス(各種の秘密情報)であり、特にヒューミント(人的秘密情報)である。
 《情報機関同士の決まり事
 「交換(ギブアンドテイク)の原則」
一般社会で「何かくれ」というのは、物乞いの弁だ。国際情報の世界でも同じように受け取られるのである。手持ち情報がないときは、あとから「お返し」(reciprocate・レシプロケイト)をするのがこの世界でも常識となる。
国際秘密情報のプロの間柄は、交換に供すべき自前の人的秘密情報をもってなんぼの世界である。自前の情報を持つためには、自前の情報機関を持たなければ始まらない。
(『情報機関を作る~国際テロから日本を守れ~』吉野準著 文春新書1075

【情報収集の手段】
ヒューミント(HUMINThuman intelligence
人手を介した情報収集、分析、防諜。最古の情報収集の手段(『孫子』用間編)
シギント(SIGINTsignals intelligence
通信、電磁波、信号等の、主として傍受を利用した諜報活動のこと。無線交信からレーダー波、発電機や自動車のエンジンなどから放出される電波、戦車や軍艦の機関部を含む全体から出される熱線の放射パターンなどほぼあらゆる領域の電磁波を収集、分析し、それらの電波から何がおこっているのかを探る情報収集分析方式である。
テキントの一手法。通信を介した情報収集。サイバーインテリジェンス。

エリント(ELINTelectronic intelligence
電子情報収集。シギントの一手法。電子機器搭載した艦船航空機で,相手側のレーダー傍受する情報収集活動

コミント(COMINT)
通信情報収集。シギントの一手法。

テキント(TECHINTtechnical intelligence
科学技術を活用した諜報活動。

イミント(IMINTimagery intelligence
テキントの一手法。画像を介した情報収集。

スノーデン独占インタビュー・小笠原みどりさん帰国講演会(1)講演 2016/08/29 に公開   
スノーデン独占インタビュー・小笠原みどりさん帰国講演会(2)質疑応答
【影響編】露中が「スノーデン文書」にアクセス、米英スパイ身元特定の危機
2015614 1522 http://news.livedoor.com/article/detail/10229809/

AFP=時事】米国家安全保障局(NSA)のエドワード・スノーデン(Edward Snowden)元職員が入手した機密文書にロシアと中国がアクセスし、英国は一部の情報部員を移動させざるを得なくなった。英国放送協会(BBC)と英日曜紙サンデー・タイムズ(Sunday Times)が2015年6月14日、英政府高官や情報機関関係者の話として伝えた。

 サンデー・タイムズによると、ロシアは100万件を超える機密文書の暗号を解読できる状態になった。同紙はまた複数の英政府関係者の話として、米国と英国の情報収集手段を記した機密文書に中国もアクセスしたため、情報部員が特定される恐れが出てきたと伝えた。

 ある英首相官邸関係者は同紙に対し、ロシアと中国が秘密情報を手に入れたため情報部員を移動させざるを得なくなったと語り、「こちらの手の内が知られたため、重要情報の入手が止まった」と述べたという。

 一方、BBCのウェブサイトによるとある英政府関係者は露中両国が情報を入手したため情報部員を急いで移動させたと語ったが、情報部員に危険が及んだ証拠はないと強調したという。

 スノーデン氏は米当局がインターネット上で行う情報収集活動の実態を明らかにし「プライバシーや基本的人権」の保護を訴えるため、2013年に機密文書を報道機関に提供してロシアに逃れた。米中央情報局(CIA)と米国家安全保障局(NSA)の契約職員だった同氏は約170万件の機密文書をダウンロードした。これまでスノーデン氏は、入手した機密文書を解読する能力がある情報機関は存在しないと主張していた。

 しかし、ある情報機関関係者はサンデー・タイムズに対し、「ロシアと中国がスノーデンの資料(機密文書)にアクセスできることが分かった。数年かけて分析し、標的を特定するための手がかりを探すだろう」と述べている。【翻訳編集】AFPBB News

※いわゆるスノーデンファイルの情報流失の衝撃については、あらためて指摘するまでもないだろう。スノーデン氏の事情はともかくアメリカと敵対ないしは緊張関係にある国においては、アメリカの戦略内部事情をつかむ的確な情報を手中にしたわけであるから、政治的に最大限活用してくるのは当然のことである。
 ただアメリカ側も手を打っているといわれる。スノーデンファイルの5%は偽の情報であるとのこと。どこの部分が偽情報かは発表はされていないが、だからこそスノーデンファイルの情報としての「信憑性」を貶める効果としては、ある程度はあるのではないだろうか?
 国家の危機管理としてどこまで個人情報の収集、活用が許されるのか?個人の権利と絡んで今後の情報戦略の課題として投げかける課題である。


これまでの国家による情報戦略・これからの個人のプライバシーのあり方についてスノーデン氏は語ります。

亡命中エドワード・スノーデン氏・日本の危機を生中継で指摘
201664 1940http://news.livedoor.com/article/detail/11603472/


映画『シチズンフォー スノーデンの暴露』は2016611日よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開

 アメリカ国家による国民の監視の実態を内部告発し、世界を震撼させたエドワード・スノーデン氏が201664日、亡命先のロシアからネット回線を使い、東京大学(本郷キャンパス)で行われたシンポジウム「監視の“今”を考える」に出席した。個人情報の大量収集が市民社会にもたらす影響や、近年の日本政府による情報コントロールの危険性について鋭く語った。
 冒頭で、生いたちを聞かれ「父も祖父も、政府や軍で働いていたので、国家に貢献するのは当たり前と思って育ち、政府を疑うなど思いもよらなかった」と幼少時を振り返ったスノーデン氏。アメリカの二大情報機関、CIANSA(国家安全保障局)の職員となり「市民のすべての通信を傍受し監視できるNSAの実態を知って、国民の総意で成り立つはずの民主主義国アメリカが、国民をスパイするとはどういうことなのか」と疑問を持ったのがそもそもの始まりだという。
 9.11以降、テロ対策やセキュリティの名目で監視が強化され、“隠すことや悪いことをしていなければ、怖れる必要はないでしょう”と、政府は説明して、私たちにプライバシーを差し出せというわけですが、結果、テロに関係ないであろう弁護士やジャーナリスト、人権活動家、さらにドイツのメルケル首相までが盗聴の対象になっている」と話すスノーデン氏は、NSAは大手IT企業のサーバーに直接アクセスできるので、ネットで誰が何を検索したか、携帯で誰と話し、どこへ移動したか、すべてのデータが蓄積され、無差別の監視が可能です」と説明した。
 「日本社会の現状をどう見るか」との質問が出ると、同氏は「特定秘密保護法以降、安倍政権の静かな圧力、インセンティブ(見返り)を伴う圧力がメディアにかかり、危機的な状態では? 視聴率のいいニュース番組のアンカーマンが降板させられている」と指摘したうえで、「ジャーナリズムの役割は政府のいい点、悪い点を評価し、いつ権力の逸脱や乱用があったか、国民に知らせることにあって、それがなければ民主主義の議論は成熟しない」と議論を展開した。
 インタビューの最後、さらにスノーデン氏は「結局、プライバシーとは、あなたが公開したくないことは公開しなくていい権利、あなた自身である権利だと思う」と切り出し、「無制限の監視ではプライバシーは社会のものになり、人権侵害の問題に行き着く。政府の方針に任せるのでなく、市民が社会の主役となり、監視のリスクを議論すべきです」と力説した。

 また、今月11日から「スノーデン事件」の一部始終を収め、第87回アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞した映画『シチズンフォー スノーデンの暴露』が公開される。彼が“シチズンフォー”というコードネームで同作の監督ローラ・ポイトラスにメールで接触したのを発端に、香港のホテルでジャーナリストを前に驚くべき証言を明かし、そのスクープ記事が「スノーデン事件」として世界を揺るがす過程が、リアルタイムで記録されている。(取材/岸田智)
【エドワード・スノーデン氏】日本の危機を生中継で指摘! 2016/06/04 に公開

スノーデン事件の真相に迫る映画『シチズンフォー』 スノーデン氏出演映像
アメリカ政府が国家安全保障局(NSA)を使い一般市民にスパイ行為を行っていると暴露し、「スノーデン事件」として全世界を揺るがせた、CIAの元職員エドワード・スノーデン氏の姿を追ったドキュメンタリー映画『シチズンフォー スノーデンの暴露』(6月公開)から予告編が公開され、スノーデン氏本人が語る姿が披露された。


意外に日本通だったスノーデンが開けたパンドラの箱
ユダヤ人大量虐殺、核兵器開発ために発展してきた情報処理技術
伊東 乾

作曲家=指揮者 ベルリン・ラオムムジーク・コレギウム芸術監督
1965年東京生まれ。東京大学理学部物理学科卒業、同総合文化研究科博士課程修了。2000年より東京大学大学院情報学環助教授、07年より同准教授、慶應義塾大学、東京藝術大学などでも後進の指導に当たる。若くして音楽家として高い評価を受けるが、並行して演奏中の脳血流測定などを駆使する音楽の科学的基礎研究を創始、それらに基づくオリジナルな演奏・創作活動を国際的に推進している。06さよなら、サイレント・ネイビー 地下鉄に乗った同級生』(集英社)で第4回開高健ノンフィクション賞受賞後は音楽以外の著書も発表。アフリカの高校生への科学・音楽教育プロジェクトなどが、大きな反響を呼んでいる。他の著書に表象のディスクール』(東大出版会)、『知識・構造化ミッション』(日経BP)、『反骨のコツ』(団藤重光との共著、朝日新聞出版)、『日本にノーベル賞が来る理由』(朝日新聞出版)など。
米ニューヨーク・マンハッタンの野外アート展「ローマン・フェスティバル」に登場したエドワード・スノーデン米国家安全保障局(NSA)元職員の胸像。アンソニー・タイダー氏とジェフ・グリーンスパン氏の共作〔AFPBB News

目の前で話すエドワード・スノーデンさんは、思慮に長け深い教養を持つ、ストレートな青年という印象で好感を持ちました。
 2016年64日、社団法人自由人権協会の設立70年プレイベントを兼ねて開かれたシンポジウムで、現在ロシアに滞在しているスノーデン氏とインターネット・テレビ電話で接続し、日本に向けて初めて、生の表情と肉声でライブ討論するという試みが行われたのです。
 私も会場の準備など、ほんの少しだけお手伝いさせていただきましたが、非常に勉強になると同時に、もっと普通の日本人が、意識し、また知っていてよいはずのことを沢山思いつきました。端的に言うなら「ビッグデータ時代の情報のケジメ」が、国にも、企業にも、また私たち個々人にも、強く求められている。そういう内容を検討してみたいと思います。
「スノーデン事件」のあらまし
最初に「スノーデン事件」のごく簡単なあらましを振り返っておきましょう。
 エドワード・スノーデン(1983-)氏は米国で公務員を両親として生まれ、ゲームやアニメーションなどを好む少年として育ちました。そのためでしょうか、日本に興味を持っており、かなり細かな日本の実情も知っており、カタコトですが日本語も話してくれました。
 病気療養のため高校を中退、大学入学検定試験を受けて計算機科学を学びますが大学も卒業せず2004年軍に志願、特技兵として訓練を受けます。
 しかし、演習中の事故で両足を骨折して除隊、2005年このタイミングで国家安全保障局(NSA)からスカウトされ、情報任務に就いたことが、のちの彼の人生を大きく変えることになりました。
2006年には米中央情報局(CIA)に採用され、コンピューター・セキュリティに関わる任務を与えられ、こののちCIANSAを往復しつつコンピューター・エンジニアとして機密にタッチする職務に従事します。報酬は10万ドル、20万ドルといった金額で厚遇であったことが伝えられています。
 しかしこの間、上記の米国情報当局が行う数々の不正を知ったスノーデン氏は、個人の良心に従ってこれらを告発することを決意、周到な準備のうえ2012年末から行動を始めます。
20135月、香港で英紙ガーディアンのインタビューを受け、NSAが毎月米国内だけで30億件、全世界では1000億件に上るインターネットや電話の傍受を行っていたことを暴露=内部告発、全世界に衝撃を与えます。
「スノーデン事件」が突きつけるもの
スノーデン事件の詳細については、ネット上に様々な記事が上がっていますので、ここでは以下の議論に関係の深いポイントを絞って考えてみたいと思います。
NSAは様々な企業に情報の提供を求め、企業はそれに応じてユーザの情報を与える、もしくは守秘されるべき内容が傍受しやすいような利便を提供していました。
 マイクロソフトやアップルなどのソフトウエア企業、ヤフー、グーグルなど検索エンジンを起点とする情報企業、AOLやスカイプ、パルトークなどコミュニケーションに端を発する企業からフェイスブックやユーチューブなどマルチメディアSNSに至るまで、様々な異なる情報企業から、ユーザ個人を特定するメタデータを含む情報提供を受け、あるいは傍受し、それら正味の「ビッグデータ」を、強力な検索エンジンで解析していたわけです。
 皆さんはマイクロソフトやアップルの製品を使わないでしょうか?
 この原稿もMSWordを使って書いています。大学の成績処理などでは鍵のかかるエクセルファイルなどを使いますが、こうした鍵が無効だったら、ちょっと大変です。例えばこれをメールに添付して教務に提出する際、傍受されたとします。厳密に守秘すべき学生の成績データなどが見放題ということになる。
 皆さんは自分や自分の家族の学校の成績が、見知らぬ第三者の見放題という状態を歓迎するでしょうか。流出があれば明らかに学校側の責任問題になるでしょう。
 特定の個人だけに送ったはずのメールが、すべて第三者、例えば警察やCIAなどによって見放題になっていたらどうでしょう?
 誰といつスカイプで会話した、とか、いつどんなユーチューブの音声動画を見たとか、あなたが取った情報システム上の行動を、すべて時系列的に整合したデータとして、見知らぬ人に冷静に観察、分析されていたら?
 ビッグデータの時代、あるいは「人間の知力を超える」などとして無用に恐れられることもあるAIの本当の恐ろしさは、手段を選ばない情報収集と力任せのデータマイニングから、あることないこと、あなた自身のプロファイルを勝手に作られる、と等身大で感じるとき、初めてその実態を把握できるように思います。
法理の深層から考えるAI/ビッグデータ・クライシス
スノーデン氏とライブでネット中継して行ったシンポジウムは前半、金昌浩弁護士が在ロシアのスノーデン本人と対話、後半ではこの催しのために来日したスノーデン氏の法律顧問であるベン・ワイズナー弁護士、夫人のマリコ・ヒロセ弁護士、ジャーナリストの青木理さんらのパネリストを井桁大介弁護士が司会するパネルトークが行われました。
 ここで中央大学のの宮下紘さん(憲法学)から、端的な示唆がありました。
 スノーデン氏本人も「ナチス」という言葉を用い、前半と後半の間で少しだけ私がお話しした際もナチに触れましたが、宮下さんはナチス・ドイツの「ユダヤ人の割り出し」に言及されました。
19421月、ベルリン市街から見ると西南に位置する閑静な高級住宅街、ヴァンゼ―にある議場で「ヨーロッパのユダヤ人問題に関する最終解決」を論じる会議が開かれました。世に知られる悪名高い「ヴァンゼ―会議」です。
 この会議では、それまでナチスの各省庁に分かれて分断、並行していた「業務」のため、必ずしも徹底できなかった「ユダヤ人問題の最終解決」つまり「絶滅政策」を実施するため、すべてのナチス部署が協力、情報を一元化し、優先的な事業として任務遂行にあたる「ヴァンゼー・プロトコル」という形で、関係省庁の業務調整が図られました。
 これにより、全欧州に分散する「ユダヤ人」を的確に「知り」「挑発し」彼らの持つ個人資産を漏れなく没収=「収公」という形でナチス国家が「盗み取り」ました。全体主義に議会を骨抜きにされ、そのような「法」が作られて、正規の公共事業としてユダヤ人の財産没収が正当化される、そういう「法理」がまかり通ってしまっていた。
 丸裸にされたユダヤ人たちは年齢、性別、体調その他を考慮して効率的に「移送」され、強制労働力として働けるものは働ける間は働かせ、そうでないものは「最終解決」に「無駄なく直行」といったシステムが組まれ、現実に実行されてしまった。
 ホロコーストの総犠牲者数は510万人とも600万人とも云われ、その正確な数は確定されていません。600万人という人数は東京都の人口の半分強と言ってもあまりピンとこないかもしれません。
1秒に1人の名前を読み上げて追悼行事を行うとすれば、24時間不眠不休でお坊さんが名を読み上げ続けて70日、2か月では足りない程度の法要の長さになる。1人の名前に56秒もかけてしまったらまる1年ぶっ通しでも終わらない、そういう規模の犠牲が出たわけです。
 ヴァンゼー会議では「全ヨーロッパに居住するユダヤ人総数」として1100万人という数字が報告されました。
この1100万人という数をどうやって調べたのか・・・。個人情報を集めたんですね。一つひとつ。でこれを「パンチカード」に入れて情報を構造化し、演算のふるいにかけて整理していった。
 ナチスドイツというのは徹底的な合理主義に貫かれた科学国家でした。それが原爆を開発しては一大事、と米国に亡命したユダヤ人たちが広島、長崎に投下された兵器を作り、これを弾頭に大陸間弾道ミサイルを飛ばそう、という発想で作られたのが、最初のノイマン式コンピューターでした。
 いまこのコラムを読んでおられるどなたのパソコンよりも性能ははるかに落ちますが、人類史上最初の電子計算機は、核を乗せた兵器の飛跡を割り出すために作られた。
 ナチスがユダヤ人の割り出しと「最終解決」のためのリストを作成したのは、言うまでもなく電子計算機以前の手作業、パンチカードや手回し計算機を駆使した国家政策、公共事業としての「民族浄化」によるもので、言ってみれば人類史上初の「ビッグデータ」は、ユダヤ人全滅のために作られた死のリストであった、と言えると思います。
これら、すべて、個人情報の収集と体系化、各省庁に分断されていたシステムの統合化から生まれた巨大単一データベースから割り出され、全欧州1100万人のユダヤ人が挑発され、大半が全資産を失い、半数以上が生命を奪われ、生き残った人々も心身に凄まじい被害を負って、いまもなお世界各地で生活している。
 そういう現実に地続きでつながっているわけです。
「ゲノム優生学」のリスク
 今日社会で広く使われるSNSなどの自然言語処理エンジンは、ゲノム情報の解読のために1990年代に急成長したデータベース解析技術が進化したものです。ゲノムなくしてビッグデータなし、です。
 逆に言えば、ゲノムそのものも「ビッグデータ」の一部になってしまった。
 かつては1人のゲノム全体を読むのが大変だった。いまや、全世界の人、一人ひとりのゲノム情報、いままで罹ってきた来た病歴、いま通っているお医者さんや投薬処方、遺伝病の可能性、加入している生命保険といった様々な個人情報が、今朝何時に置き、ネットや電話で誰とやり取りし、どういうルートを通って通勤し、誰と会い、何を食べ・・・といった情報と組みになって、誰か見知らぬ人に解析されてしまうリスクがある。
 少なくとも技術的な可能性という点では、すべて枯れた技術であって、いともたやすいことにすぎません。
スノーデン氏の開いたパンドラの箱は、ビッグデータ時代の情報リスク、例えば、ナチス・ドイツをはるかに上回る「ゲノム情報に基づく優秀な民族とそうでない民族の差別」、言ってみれば「ゲノム優生学」といった考え方を、ごく簡単に実現してしまいます。
 これは冗談でもなんでもなく、DNA2重らせん構造を発見しながら、自らはしばしば差別発言で糾弾されてきたジェームズ・ワトソンその人も、これに類する発言をしており、現実に懸念されるリスクにほかなりません。
 上の話題はワトソン氏自身のゲノムを調べてみると、彼が標準的な欧米人よりはるかに「下等」とした遺伝情報を実は自身でたくさん持っていることが判明するという、何ともはや、なオチがついて一段落しています。
 現在テロリストとされる政治勢力、軍事勢力などが、もしこうした個人情報を濫用するなら、どのような惨禍が懸念されるか、想像を絶するものがあります。
 関連の問題について、引き続き、もう少し日常生活に近いケースでも考えてみたいと思います。

米国の同盟国をやめた瞬間に、CIAのマルウェアが日本中のインフラを崩壊させる!?スノーデン証言の真偽は⁉ 映画『スノーデン』のオリバー・ストーン監督に岩上安身が直撃質問! 
2017.1.18 2017/01/18 に公開 https://youtu.be/MJhWmf9j_Ew   
日本が同盟国から離れた瞬間に原発にしかけられたマルウェアによりサイバー攻撃をかけられ、全電源喪失となる!?

【さらに衝撃編】CIAのハッキング暴露・ウィキリークスが大量文書公開

【ワシントン=黒瀬悦成】内部告発サイト「ウィキリークス」は20173月7日、米中央情報局(CIA)による秘密ハッキング計画に関する大量の文書公開を始めたと発表した。ドイツ・フランクフルトの領事館を欧州、中東の情報収集活動の拠点とし、フランス大統領選などを狙ったものだったという。
 計画は13~16年にかけて策定されたとみられ、関連文書は米南部バージニア州ラングレーにあるCIA本部のサイバー諜報センターのネットワークに所蔵され、全部で8761点あるとされる。
 CIAが外国の標的から情報を収集するのに際し、最先端のソフトウエアを使ってスマートフォンやコンピューター、インターネットテレビに侵入する技術を有している実態が記述されているとしている。

 CIA報道官はワシントン・ポスト紙に対し「文書の信憑性についてはコメントしない」としている。

【維新嵐】CIAも個人の端末から情報を入手

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