2015年5月2日土曜日

陸上自衛隊空挺レンジャーのめざすべき将来像

1、アメリカ陸軍レンジャー部隊

 アメリカ陸軍最強のサバイバル部隊であり精強軽歩兵部隊である。
特殊部隊への登竜門(選抜と訓練)でもある。体力自慢の鼻息の荒い若者が多い。
敵地に入り込み、伏兵攻撃や奇襲を行う。
厳しい自然環境の中を一人で生き抜く技術を持つ。
敵拠点にパラシュートで直接降下し、周辺エリアを一時的に占領する戦術。

<沿革>
 第二次大戦のときに創立、6個大隊からなる「レンジャース」
朝鮮戦争後に解体される。任務は特殊作戦部隊に引き継がれる。
1970年代にレンジャー部隊復活。
1983年グレナダ侵攻作戦に参加。
20011020日「アフガンで初めての地上戦」の作戦を遂行する。
アフガニスタン南部カンダハルに直接攻撃をしかける。

<養成>
レンジャー学校
 一日18時間、58日間、士官下士官の訓練を目的とする。
陸上航法、偵察、格闘術、サバイバル技術、登山の科目。
パラシュート降下資格が必要であるが、これは陸軍空挺学校で降下訓練をうける。
レンジャー部隊の選抜試験
 3週間のレンジャー訓練課程 ~ レンジャー学校修了後に志願する。ただし修了が入隊の条件ではない。水泳を含む体力テスト、パラシュート降下訓練、武器操作、歩兵戦術訓練などを行う。
 合格者はレンジャー大隊に配属される。
 訓練で最も重視されるものはメンタルタフネス、厳しい環境下で生き延びる、行動する能力の育成、地図なしですばやく拠点まで戻る訓練である。

2、 陸上自衛隊におけるレンジャー隊員

「戦闘のプロフェッショナル」
「敵地の背後または敵中に潜み、困難な状況を克服して任務を完遂する。」部隊である。
常設の部隊はなく資格の一つである。レンジャー課程を修了した隊員という形。
陸上自衛隊のレンジャー課程は、アメリカ陸軍レンジャー部隊の軽武装、軽歩兵部隊、空挺部隊としてのコンセプトを取り入れている。

幹部レンジャー
富士学校などで行われる幹部を対象としたレンジャー訓練。

空挺レンジャー
第一空挺団に配属されることが条件となる。
空挺団配属前に厳しい体力検査、適性検査、身体検査を実施する。(再入隊といわれる。)
第一空挺団については「常設のレンジャー部隊」といえる。

<空挺隊員の養成課程>
基本降下課程
降下長課程
自由降下課程
空挺レンジャー課程(必須科目)
エアボーン作戦を主任務として、毎月1月第二日曜日に訓練を一般公開する。
誘導隊の編成 ~ 外国で紛争が発生し在留邦人が取り残された場合には、救出、避難所への誘導を任務とする。海外派遣を前提とした初の部隊である。




陸上自衛隊・実録 レンジャー訓練
201343日公開動画 陸上自衛隊東部方面総監部広報室チャンネル桜で放送
 陸上自衛隊員の戦闘スキル向上をはかる目的の部隊レンジャーがいかに過酷なものであるか、自衛隊が警察組織とは性質の異なる組織であるかがよくわかりますね。


部隊レンジャー
各普通科連隊で実施される。
ある一定の基準を満たせば普通科隊員に限らず、志願すればどの職種でも教育をうける権利は与えられる。
 普通科隊員だから必ずレンジャー教育を受けなければならない、というわけではない。
レンジャー課程修了時にレンジャーバッチが授与される。

レンジャー教育最終想定
第一師団第31普通科連隊
北富士演習場、34

<一日目>
・早朝に笛の音による非常呼集。
戦闘服を着用、助教の野次がとぶ(学生の精神鍛錬)
・学生は講堂に集合する。
命令伝達:「第29戦闘隊は敵地へ潜入、後方部隊を襲撃せよ。」
「着衣を脱げ。」との命令
装備品点検 ~ 梱包はきちんとされているか。
        固定されているか。
        食料品など持参不可の物品はないか。
返事は「レンジャー」のみ。
・外へでる。(台風のような暴風雨であっても訓練は続行される。)
40㎏の背嚢を背負う。
トラックに学生たちが乗り込む。
訓練中は二人組(バディ)を組む。

トラックから降りて行進する。(標高2000mの山へ登る。)
山頂までいくと稜線を前進する。
命令伝達:目標 「第一目標、敵通信所の破壊。」
通信所400mの地点まで6時間かけて近づく。→ 森の中に潜伏する。
助教が木銃をもって警護するテント(通信所)を偵察任務の後、日没後攻撃する。
演習場でしか実弾、空砲射撃ができないため「口鉄砲」による攻撃となる。
通信所の破壊 ~ クラッカーの音と煙により表示される。
森の中に入り再び山中行軍となる。

<二日目>
山中夜間行軍となる。
命令伝達:「夜明けとともに敵の後方支援を断つため、橋梁破壊を行う。」
隊員は睡眠なし、食事摂取なし、水筒のキャップ10杯分の水分摂取のみ。
橋梁破壊 ~ 橋に箱をくくりつけると、箱から音とともに煙があがる。(爆破想定)
森の中に入り山中行軍となる。
行軍中に学生たちが転倒しても休憩はない。けりがとび、立ち止まればビンタが行われる。

<三日目>
深夜に西湖をボートで渡る。
「眠るな、お前らぶっ殺すぞ。」と助教の指示がある。
早朝に対岸に到着し、樹海の中を行軍する。
部隊が動きをとめると、すぐに警戒のため見張りがつけられる。
「自らを鍛えるため、自分の限界を知るためである。」転倒した学生が反応がないと救急車が呼ばれ、医官による診察が行われる。たいていの場合本人の強い希望により訓練に復帰する。
食事は缶詰をとることが許可される。
樹海を一日行軍する。

<四日目>
命令伝達:「平塚へ転進。」~ 次なる目的地への命令が行われる。
トラックに乗り込み朝霞駐屯地へ移動する。
「ロッキーのテーマ」の流れる中、訓練が終了する。
レンジャーバッチを授与される。

精鋭無比 ~第一空挺団~


 ≪我が国に軽武装空挺レンジャー部隊は必要なのか?≫

 我が国の陸上自衛隊は北からのソ連軍の侵攻に対し、我が国本土において迎え討ちアメリカ陸軍が来援するまでの間、打撃を与えることを目的に組織化された経緯がある。
 千葉県習志野市に駐屯する第一空挺団(空挺レンジャー)は、こうした重火器を装備した「大陸型陸軍」としての陸上自衛隊において、比較的軽装で敵地深くに降下潜入し攻撃することを目的とした部隊である。未だ友軍占領下でない場所で作戦行動をとるわけであるから、どんな困難な状況にも対応できるよう罵声、体罰ともとれるような指導も含めて隊員を極限状態までおいこんで体力面、メンタル面を鍛えるわけである。
 しかしこれら一連のレンジャー訓練をみて感じるのは、例えば第一空挺団にしても海外の紛争地での邦人救出という任務があるにしろ、空挺部隊としての本来の力を発揮する場面はいかなる状況であろうか、ということである。
陸上自衛隊は本土決戦を初めから想定する「大陸型陸軍」組織であり、政治的な戦略である「専守防衛」戦略に基づいて受け身の戦いを展開しなければならないことになっている。
 当然着上陸してくる侵攻軍に対処したとしても上陸地点からして敵侵攻軍が決める状態を容認してしまう戦略下にある。
本土を最初から主戦場にする想定戦略は本来ありえないし、できるだけ侵攻勢力は本土から遠い地点において味方が防衛しやすいような主戦場に誘導するような戦略が理想だとしたら、我が国のレンジャー部隊である第一空挺団にそのような戦場をマネジメントする力はあるだろうか。
 近年の尖閣諸島への中共の露骨な領土主権の主張や竹島や北方領土の不法占領の事案をみるにつけ我が国の防衛戦略の要諦が列島の外にあることは明白である。
 侵略された領土主権を取り返すにしろ海洋権益の防衛のためにも離島防衛、島嶼防衛のための防衛戦略は不可欠である。
 現在の防衛では空と海の防衛力が中心になるように見受けられるが、島嶼防衛のためには陸海空が一体化された統合戦略の方がはるかに効果的だと考えられる。
 そのために陸上自衛隊は幕末の一時期のように「海兵隊」に改編され併用戦能力を向上させる必要があることはたびたびふれてきた。
 しかし実際に島嶼防衛戦略を戦術として実行していくためには、実戦部隊の前に侵攻の危険がある島嶼に事前に橋頭堡を築いたり、既に上陸侵攻された島嶼に対して潜入し友軍が上陸するための地点を確保したり、偵察したり、事前破壊工作を行うことが必要になってくる。
 現有の空挺レンジャーがこうした作戦に対処できていないとはいわないが、やはり今後島嶼防衛戦略に対応したドクトリンを作成し、訓練を行っていく中で軽歩兵部隊をめざした既存のレンジャー課程も見直されていくべきではないか、と考える次第である。
 島嶼防衛戦略のためには軽歩兵装備よりも重武装の侵攻軍に対処する意味から、重武装で偵察、破壊工作を行い、友軍上陸後は侵攻軍を強襲攻撃できる能力が必要である。
 そう考えると米陸軍のレンジャー部隊を範とした編成よりもアメリカ海兵隊の強襲偵察部隊であるフォースリーコンの編成を取り入れ、訓練を実践した方が、我が国の国情にあうように思う。フォースリーコンには空挺部隊も存在するし、何より我が国の陸軍が海兵隊にトランスフォームし、強襲偵察と上陸作戦の準備としての破壊工作ができる軍種に変わることで、専守防衛戦略は「形骸化」し、本土の外での防衛戦略の実践という国際社会での標準的なドクトリン構築が進められていくことにつながると考えられるのである。
 責任感のある統制された国家権力と軍事合理性に裏付けられたドクトリンにより、完結した強力な軍事力が存在することが海外への強い抑止力となる。陸上自衛隊は「ファイナルゴールキーパー」ではなく「海洋出撃戦略/島嶼防衛戦略」によって外への抑止力をさらに強化すべきである。

3、フォースリーコン~アメリカ海兵隊強襲武装偵察部隊

<前提>
海兵隊 ~重装備。海外侵攻、上陸戦など艦艇によって移動する攻撃重視の戦闘集団。
陸軍レンジャー部隊 ~軽装備。ヘリ、航空機により移動(空挺部隊)

<任務>
 第二次大戦時にパラシュート部隊として誕生する。状況把握のための専門チーム。海兵隊MEU(海兵大隊)の指揮下で独自に活動する。
不利が予想される局面でも戦略上メリットがあると判断されれば、大編成で強襲攻撃を担当する。
MEUの着上陸作戦の時における支援と援護を行う。
強襲攻撃型任務を遂行可能 ~ 油田、船舶への奇襲、人質の救出、敵陣地の破壊。
後続の特殊部隊の作戦遂行のために敵地潜入、敵地の地形調査、人員配置、情報収集を行う。敵と遭遇しても敵の警備が厳重になるためむやみに交戦しない。
交戦が仕方がない時は、艦砲射撃、戦闘機、戦闘爆撃機を使用した攻撃の権限を与えられている。

(後方支援、偵察) ~通常は35人の少人数ユニットで行動する。
本体進攻前に敵地にのりこむ。
着上陸地点の選定を行う。
偵察、監視など情報収集を行う。

航空機、ヘリコプターで敵地深くに潜入する。(パラシュート)
水陸両用偵察、長距離地上偵察、敵陣地の情報、BC兵器の存在確認、敵の重要人物の監視

(実戦参加、情報収集)
MEUの着上陸成功後、空中機動部隊として実戦に加わる。
監視装置衛星と秘匿通信システムにより敵の最新情報が海兵隊司令部に集約される。


特殊部隊ショートフィルム(Ghost Recon)
アメリカ海兵隊の上陸能力
アメリカ海兵隊キャンプ富士フレンドシップフェスティバル2014
格闘訓練











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