2015年5月6日水曜日

「地域分権」時代の軍事防衛力のあり方

 21世紀における新しい我が国のあり方として、かつてみんなの党が主要政策として掲げていた政策として著名であったし、現在は大阪維新の会や維新の党などが主張する政策の一つに「地域主権型道州制」がある。

 最初に提唱されたのはPHP総研の社長であり、現在は次世代の党の江口克彦氏であると理解しているが、道州制基本法を制定し、明治維新以来の中央集権体制から権限、財源、人間を地方に移譲し、県をなくして道州府と基礎自治体によって地域を再編し政策を進めていこうという考え方は、民間企業主体に経済を成長させていく政策とあわせて今後の我が国にとっては不可欠な政治的手段である。
 
 かつてみんなの党代表時代の渡辺喜美氏は、地域主権型道州制下では、地域には軍事力はもたせないのが前提である旨を話されていた。
 確かにみんなの党のアジェンダにおいても軍事力は国家の占有であることが明記されていた。また他党においても軍事力の保持、行使については国家の占有事項である。

 みんなの党は平成24年の衆院選のアジェンダにおいて、南西諸島の防衛は航空自衛隊と海上自衛隊によって行われることがうたわれている。
 また別の項では予備自衛官の数の拡大にもふれている。
米海軍アドバイザー北村淳氏によると共産中国が南西諸島に侵攻する場合、長射程ミサイルを打つとしておいて自衛隊を拘束し、その間に人民解放軍海軍陸戦隊(海兵隊)を宮古島と下地島に上陸させ占領、そこにある滑走路や港湾設備を使用して物資を搬入し拠点化してくるとされている。
すなわち我が国への侵攻を企てる国がある場合、侵攻勢力が「陸上兵力」を投射してくる可能性が低くないと考えることができる。

 こうした空・海・陸の統合侵攻戦術をとられたときに東日本大震災においてフェリー交通が寸断され、孤立した気仙沼大島一つに支援物資を自前で送れなかったわが陸上自衛隊が、どう侵攻地点の住民の安全を確保しながら侵攻勢力を撃退できるのであろうか?
 海と空を確保できていても肝心の陸上自衛隊の部隊を侵攻地点まで投射できなければ、離島の防衛は不可能なのではないだろうか?
 昨今、真正保守派の方がたの間で核兵器保有論が聞かれるが、核兵器保有の是非を論じるよりも我が国が島嶼国家であることを考えたとき「海から兵力投射でき」「地域への侵攻事案や大規模災害による人的被害に即応できる」海兵隊の創設の方が優先度が高いものであろうと考えられる。

【地域主権型道州制下における軍事力のあり方】

1、基本プラン

・「日本海兵隊」の創設~国家の中央陸軍として、現在の陸上自衛隊約15万の兵力の装備及び編成を「海兵隊」にトランスフォームする。
・「州兵軍」の創設~道州単位で民間の中小警備会社の社員を主な構成員として有事の際の「予備役」としての民兵軍を創設する。

2、ねらい

・国民の愛国心、地域の防災意識、公共への意識を高める。
・国民の危機管理意識、国家意識の向上をはかる。
・中小零細の警備会社社員の待遇の改善をはかる。
・国民の雇用の確保。(特に中高年の雇用先)
・大規模災害支援や離島や本土への侵攻事案への迅速かつきめの細かい対処を可能にする。
・警備業を警察管轄下から切り離し、国軍の「予備役」として再編成する。
・軍事訓練をうけた「民兵」として警備員を教育し、国防意識を高め予備役の規模を拡大する。

3、具体的な内容(州兵軍創設案)

・現在の公募予備自衛官(陸上自衛隊)の制度を参考にして道州防衛に応用する。
大企業並びに中小企業の民間警備会社の社員について、それぞれの会社の資産規模、従業員人数に応じて予備役負担をわりふり義務化する。(平時は警備会社社員、有事に予備役として招集の対象となる。)
・集まった人材をあらかじめ決められたトレーニングセンターにおいて年間90日間を目安に軍事訓練を行う。(災害対処訓練を含む。)
・訓練期間中は手当を別途支給する。(\6000を下限に毎年訓練を重ねるごとに昇給する。)
・州兵軍の兵士日当の財源は地域にて税率を決めた消費税にて賄う。
・訓練は基本訓練、部隊訓練、災害対処訓練の他、武器の扱い、戦闘訓練を行う。
・装備は小銃、歩兵携行用対戦車火器、迫撃砲の訓練、都市部や山間部など我が国の立地の特徴に即したゲリラコマンドの訓練を行う。ゲリラコマンドのドクトリンを作成する。

対ゲリラ市街戦訓練(近接戦闘)

4、具体的な内容(「日本海兵隊」創設案)

・陸上自衛隊約15万のドクトリン、装備編成をすべて海兵隊にトランスフォームする。
・海上自衛隊に水陸両用戦隊(強襲揚陸艦、輸送揚陸艦を含む)を護衛艦隊とは別に創設。
・航空自衛隊に着上陸作戦や侵攻上陸勢力の掃討支援のために対地攻撃隊を創設する。
※空海陸の統合防衛作戦を実行できる体制を構築し、在日アメリカ軍や州兵軍と共同作戦を行えるよう定期的に合同演習を行う。

5、大まかな侵攻対処案

・侵攻勢力が上陸した後、州兵軍が内陸でゲリラ戦をしかけることで拘束し、正規軍である「日本海兵隊」が海から兵力投射されることで、侵攻勢力を逃がすことなく撃破する。
・東日本大震災の教訓をいかして、米軍と共同作戦で洋上の空母や強襲揚陸艦を「洋上基地」としてヘリコプターにて内陸へ支援物資を送り届ける。
・州兵軍と「日本海兵隊」との共同作戦で陸上での救出活動を行う。ここでゲリラコマンド訓練のノウハウが被災者救出、捜索に大きく役立つものと考えられる。そうなるよう訓練内容も適宜見直されないといけない。

 なお「日本海兵隊」創設案に関しては、先にもふれたが米海軍軍事アドバイザー北村淳氏の案に全面的に賛成するものである。北村氏の著書を参考文献としてあげておく。

『米軍がみた自衛隊の実力』宝島社2009.5
『写真でみるトモダチ作戦』並木書房2011.6
『尖閣を守れない自衛隊』宝島社新書2012.12
SAPIO2013.7 特集「自衛隊は本当に強いのか?」



※ 本稿は平成256月にみんなの党の参院選アジェンダ政策コンテストに応募いたしました。

【関連リンク】自衛隊はどれほど強いのか-IRONNA編集部

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