2015年5月2日土曜日

海兵隊の併用戦(水陸両用戦)能力

 <コブラゴールド2010におけるアメリカ海兵隊の上陸強襲作戦訓練>

① 上陸地点の背後から戦闘偵察用ボートを使って隠密裏に上陸する。
 歩兵大隊B中隊所属MSPF(海上特殊目的部隊)
 情報収集、後方撹乱が目的

② 上陸と同時にフォースリーコン部隊(武装偵察部隊)によるパラシュート降下。
 敵後方への強襲偵察

③ 強襲偵察による情報誘導をもとに航空部隊のF/A-18ホーネット(後継機種F-35BライトニングⅡ)による対地攻撃を実施する。
④ 強襲揚陸艦エセックスよりAV-8Bハリアー(後継機種F-35BライトニングⅡ)を発進させてピンポイント爆撃を実施。
⑤ 歩兵A中隊所属の水陸両用強襲車小隊(AAV7)が出撃。
AAV7後部ハッチよりMEU隊員がとびだす。
速やかに海岸に橋頭堡を築く。

⑥ 歩兵C中隊所属の軽攻撃ヘリコプター飛行隊が支援する。
LCAC(上陸用舟艇)により、より火力に優れた武器中隊を上陸地点に搬送する。

             <上陸地点を完全に制圧>

⑦ 本部中隊(各LCAC)が増援部隊と物資を陸揚げする。

           <侵攻作戦の拠点ができあがる。>

⑧ 準備を整え、敵陣地めざして総攻撃をかける。


   <陸上自衛隊西部方面普通科連隊の上陸強襲作戦訓練>

① レンジャー小隊を中心とする先遣隊がおおすみ型輸送艦より、水泳斥候、スキューバの先導により上陸する。
② 対象島内の偵察班による偵察任務。
 安全を確認しボートを接岸、装備を陸揚げした後に周辺に展開する。(後続部隊の受け入れ作戦)
③ LCACによる強襲上陸。
 先遣隊主力が指定した海岸へ上陸し、着岸地点への攻撃阻止を行う。
 先遣隊主力により後続主力部隊の受け入れを行う。

④ 対ゲリラコマンド作戦能力が高い数百人の部隊(後続部隊)が上陸する。
⑤ 対象島内を占拠している敵侵攻軍部隊を個別に制圧していく。
⑥山中機動(徒歩移動)して、レンジャー有資格者の多い在地警備隊と敵を挟み撃ちにする。

⑦ 空港、港湾の制圧を行う。
 <空港・港湾が使用可能な時> 西部方面隊から援軍を呼ぶ。
 <港湾が機雷封鎖、滑走路が破壊されているとき> LCAC、ヘリボーンにより後続主力部隊を投入する。
 LCAC運用~輸送艦より主力部隊を上陸させる。
 ヘリボーン運用~先遣隊の山中機動によりヘリボーンの場所を確保し、周囲を警戒しながらリペリング降下。

⑧ 山中へ逃げた敵は山狩りによりおいつめ殲滅していく。
 敵が住民を人質に取った時は、対ゲリラコマンド訓練を行った西部方面普通科連隊が対応する。

 従来の海岸線を制圧した後に進攻していく上陸戦に加えて、重輸送ヘリとティルトローター機も併用することにより、海岸線より奥地にマリーンを同時に投射して、従来より広い範囲での拠点制圧をめざします。
 アメリカ海兵隊は新型車両であるEFVの導入を採算性の悪さから見送りましたが、オスプレイやCH-53E/Kを運用した空中からの兵力投射に比重を移していくものかと考える次第です。
 

                 まとめ

 日米の着上陸作戦の具体的事例を比較してみれば一目瞭然ではあるが、陸上自衛隊の併用戦能力に関しては、固定翼機、回転翼機共に対地攻撃力が欠けている。
 また水陸両用戦闘車両もない。おおすみ型輸送艦を使用するのであれば、AH-1Sによる対地攻撃が行われてもいいはずである。
 ヘリの使用を考えるとひゅうが型護衛艦もあわせて運用したほうがより効果的だろう。ただひゅうが型はウェルデッキがないからLCACによる着上陸は不可能である。
 我が国が本気で海兵隊組織を編成するならば、やはり艦艇として世界標準で需要が高まっている強襲揚陸艦の配備が欠かせない。そこにあわせておおすみ型、ひゅうが型を輸送揚陸艦として運用できないであろうか。
 アメリカ海兵隊の対地攻撃用固定翼機であるF/A-18F-35は、航空自衛隊の次期FX候補機として防衛省があげている機体であるが、実際の演習では両機体が併用される点(演習ではハリアー)は興味深い。我が国では国産の支援戦闘機であるF-2が運用されているから、これとF-35Bを併用して着上陸作戦に運用できないであろうか。
 航空自衛隊の要撃戦闘機としてユーロファイタータイフーンを運用し、海兵隊装備としてF-35Bを運用し、F-2支援戦闘機の生産も再開すれば我が国の航空機技術のスキル、後継者の問題も解消できるのではないか、と考える次第である。

≪用語≫

併用戦(amphibious warfare)~ 戦争、戦闘に限定した場合。水陸両用戦。
併用作戦(amphibious operations)~ 併用戦、人道災害救援作戦などあらゆる軍事作戦。水陸両用作戦。
併用戦能力 ~ 戦略、計画、兵站、装備、戦術、訓練など。水陸両用作戦能力。
西部方面普通科連隊 ~平成14年に長崎県佐世保市相浦駐屯地に創隊された西部方面隊直属の普通科連隊。(上陸潜入訓練は大野原演習場)
九州、沖縄地方の島嶼防衛、先遣隊的役割を担い、対ゲリラコマンド部隊(破壊工作的な任務にも対応可能)、夜間作戦を行う。
海路潜入、空中機動、山中機動

部隊編成 連隊本部(本部管理中隊×1個 普通科連隊×3個)
1個中隊の編成 情報、通信、衛生、施設、補給各小隊(各1個)
小銃×3個、迫撃砲×2個、対戦車砲×1
定員 660名(実数約600人)
装備 895.56mm小銃、対人狙撃銃、MINIMI5.56mm機関銃(主力小銃小隊)
01式対戦車誘導弾、カールグスタフ84mm無反動砲(対戦車砲小隊)
共通装備 VS-V8個人用暗視装置 

≪参考文献≫
『週刊アサヒ芸能増刊 410日号日本を守る自衛隊勝てる兵器大公開』
徳間書店発行 2011.4

『写真でみるトモダチ作戦』
並木書房発行 北村淳編著 2011.6

『実録!!世界の特殊部隊』
双葉社発行 2010.6 

              




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