2015年4月27日月曜日

【陸上自衛隊からあなたへ贈る国民のための戦術覚書】 『野外令』とは何か?

A)陸上自衛隊における戦いの本質、原理、原則を幅広く学ぶための基準教範。

B)国土防衛作戦に任ずる部隊運用の原理原則について述べたものであり、各種教範類の頂点に位置する。

C)プロイセン兵学(クラウゼヴィッツ著『戦争論』)を基礎とした旧陸軍の『作戦要務令』(昭和13年)の一部及びジョミニの『戦争概論』を基礎とするアメリカ陸軍の『Operations』を取り入れることにより昭和32年『野外令』としてスタートする。
 昭和43年に改訂され、以降10年ごとに見直される。

D) 旅団以上の部隊運用の基本理念。戦略戦術学の教科書。
 知識として戦略、戦術を学び、咀嚼し、部隊の指揮、統率の体験を積み重ねてい  く。

E) 『野外令』の理解(戦史を学ぶ) → 戦術百想定 → 指揮官経験の積み重ね
  → 戦術の下意識レベルへの落とし込み。

F) 「戦いの九原則」~ 『野外令』の冒頭に列挙されている。
         『野外令』の真髄であり、部隊運用の原理原則となる知識。
(木元寛明著『陸自教範「野外令」が教える戦場の方程式』光人社NF文庫2011.9より)


「戦いの九原則」について

① 目的の原則(The Objective
根本原則として目的、目標の確立をおこなう。
決定的な意義をもち達成可能であるという条件をみたすものである。
あらゆる妨害を排除して、強い意志を持って目的、目標の達成を追求する。
目標は部分、目的は全体である。
目標は期待すべき所望の効果であり、目的を達成するための具体的な手段、方法。

② 主動の原則(Offensive
「我はかくする、よって敵をしてかくせしめる。」(プロシア モルトケ参謀総長)
態度の原則。
旺盛な企画心、自主積極的な行動により、わが意思を敵に強要し、敵を受動の立場に導き戦勢を支配しようとするものである。
作戦目的の達成、戦勝の獲得のために重要である。
主動の地位確保のために先制権の獲得と戦勢を支配する要点の先取が必須である。
相手に先んじて自分の意思を決定 → 速やかに方針を決定 → 必要な情報を入手 → 準備を周到に行う。→ 要点に対して優勢な戦闘力を集中発揮する。

③ 奇襲の原則(Surprise
敵の予期しない時期、場所、方法などによって、敵に対応のいとまを与えないように打撃を加えること。対応のいとまをあたえないことが最も重要である。
意表をつくことで得た成果を速やかに拡大し目標を達成する。
これでもかと徹底してたたみかけるスピードが決め手となる。
時期的、場所的、気象的、戦法的、技術的奇襲。

④ 集中の原則(Mass
兵術の基本原則である。
決勝点における相対戦闘力は、常に勝者が敗者を上回る。
「敵に優る威力を要点に集中発揮せしむるにあり。」(『作戦要務令綱領第2条』)
寡兵であっても決勝点において優勝劣敗の状態をいかにして作りだすか。
各個撃破の戦術。

⑤ 経済の原則(Economy of  force
有限な戦力をどこかに集中すると、他の方面に使用する戦力を制限しなければならない。
兵力の節用である。
一番大切な要点に部隊を重点配備して、その他は思い切って捨てる。
捨てるという決断ができないといけない。
防御が破綻し撤退する場合、主力を生き延びさせるために、一部の部隊を戦場に残すことがある。(残置部隊)その場合信頼できる最精鋭部隊指揮官が指名される。

⑥ 機動の原則(Maneuver
戦闘において、敵に対して有利な位置(地位)を占めるために部隊を移動する。
戦闘は、決勝点に対する彼我戦闘力の集中競争。
迅頼な機動力の発揮が必須条件となる。

⑦ 統一の原則(Unity of command
戦勝のためには、全部隊の努力を統合して共通の目的に指向することが必要である。
現実に必要なことは、すべての隊が阿吽の呼吸で、有機的に結合されて協同動作を行うことである。そのためには緊密な調整が大きな意義をもち、積極的な協力精神はその根底をなす。
一人の指揮官に必要な権限(指揮及び統制の機能)を与える場合、統一は最も容易となる。

⑧ 簡明の原則(Simplicity
戦場は錯誤の連続が常態であり、錯誤の少ない方が勝ちを制する。
明確な目標を確立、手順手続きなどの標準化斉一化をはかり、部隊行動を練成する。

⑨ 警戒の原則(Security
敵をうつためにまず部隊の安全を確保する。部隊行動の条件的な原則である。

敵を知ることが第一である。


木元寛明】陸自教範「野外令」に見る戦いの基本と原則[H24/1/27]


2012/01/27 にアップロード
 国土防衛作戦における部隊運用の原理・原則を述べている陸上自衛隊の教範(教科書)である「野外令」。そのエッセンスたる「戦いの9原則」を「マネジメント」と融合させ、軍事の英知が戦場以外の場面でも役立つことを、古今東西の戦史を事例に取り上げながら、御著書『陸自教範「野外令」が教える戦場の方程式』で見事に解き明かしておられる、元陸将補の木元寛明氏をお迎えし、執筆の動機や、「戦いの原則」が形となっている具体的事例などについてお話を伺います。
  ※動画中「戦いの9原則」のフリップで、『統一の原則:Unitey of Command』に綴りのミスがありました。正しくは【UniteyUnity】となります。ここに謹んで訂正させていただきます。

【引用出典】
『陸自教範「野外令」が教える戦場の方程式』木元寛明著 20119月 光人社

陸自教範「野外令」の中の災害派遣

今回は、情報公開請求で陸自教範「野外令」(平成1241日以降使用)(全部開示)を入手したので、野外令の中での災害派遣を考察していきたい。 陸自教範「野外令」の中の災害派遣より)

「野外令」とは?

「本書は、方面隊および師団・旅団に焦点を当てて国土防衛における陸上自衛隊の作戦・戦闘に関する基本的な原則を記述し、教育訓練の一般的準拠を与えることを目的とする。」

 統合幕僚会議教範、野外幕僚勤務、用語集、関連法規当と関連して使用する必要があるものだそうです。
 部内専用と書いてある割には、全部開示されれている。個人的な感想としてはカール・フォン・クラウゼヴィッツの『戦争論』をやや現代日本風にアレンジしたという印象ですが、それはそれだけカール・フォン・クラウゼヴィッツが偉大であったということでしょう。

「野外令」の中の災害派遣


1篇「国際安全保障と陸上自衛隊」第2章「防衛力と自衛隊」1201「要旨」

「また、防衛力は大規模災害等各種の事態への対応および安定した安全保障環境の構築へ貢献する役割も有する」

(自衛隊の任務は自衛隊法第3条に定められたものであり自衛隊が)「この任務を達成するための行動には防衛出動、治安出動、海上における警備行動、災害派遣、領空侵犯に対する措置とうがある」

 第3篇「作戦戦闘の基盤的機能」第6章「部外連絡協力」3606「部外支援」(P120)には防災等支援という項目があるがこれは、「国土防衛における陸上自衛隊の作戦・戦闘に関する基本的な原則」によるものであり、防衛出動の一環としてのことであるので詳しくは記述しないが参考までに概略を記すと、防災等支援の主眼は部外の災害対処能力を増強し、被害を極限することで、訓練支援、情報提供、防災活動に対する支援、電源・水源等重要施設の警備があげられている。また、具体的な活動では避難支援が中心となる。



【関連リンク】自衛隊はどれほど強いのか-IRONNA編集部

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