2015年4月26日日曜日

軍事用語エトセトラ集成

【統帥権について

(軍事評論家の松村劭氏はその著書の中で、政治の論理と軍事の論理が食い違い、政治の論理が優先された結果、後に悔いを産むことになった事例をいくつか上げている。戦前・戦中の軍部独走を生んだのはこの逆のケースであり、統帥権がその温床になったと言われている。)

 国内を統治するのは政治である。政治は法律によって統治する。これに対して国外の問題に対処するのは外交と軍事である。国際政治は原則として“恋愛と戦争は何をしても正当(All is fair in love and war)”で法の外側の世界。外交は交渉であり、どこまで妥協するかと言う世界、これに対して軍事は外交で満足する結論が得られない時に登場する最後の手段である。この両者をどのようにバランスさせれば良いのか。これが難しい。

 日本の天皇は殆ど戦場に行っていない。昭和天皇もそうだった。そして個々の作戦には口出しをしない。そういう意味で、日本の天皇は統帥権を行使していない。
 アメリカの大統領も戦場に出ないが作戦運用に干渉する悪い癖がある。
これに対してヨーロッパの国王は自分が率先して戦場に行き、指揮をとる。アレクサンダー大王、リチャード獅子心王、ナポレオン、皆戦場に自分から行った。アメリカの大統領も同じ。そのために欧米では軍人上がりの政治家も多く、政治家が軍事を知っているので政治と軍事の間にギャップがない。国王が戦場に行かなくても、軍隊に入隊させて軍事経験を積ませて軍事とはどういうものかを体験できるようにしている。

 同じ事を現在の日本でやるとすれば、政治家に軍隊への入隊を義務付けたらどうだろう。例えば被選挙権者の資格に軍隊経験を入れれば良い。

 政治は性善説に基づいている。軍隊は“人間は弱くはかなく、その癖に欲張りで怖がり”という前提で組織を作っている。 だから軍隊は組織で戦う。個人主義ではない。将軍にとって兵士は財産だから分け隔てなく可愛がるので格差社会ではなく平等社会である。政治の原則は軍隊のように弱者を可愛がることである。


【戦闘教義について

戦闘教義(せんとうきょうぎ、battle doctrine)とは、作戦・戦闘における軍隊部隊の基本的な運用思想である。戦闘ドクトリン、バトルドクトリンとも言う。

戦闘教義とは、戦場に臨む軍が持っている広く応用性がある合理的な一つの「戦い方」である。一般的にどのように軍隊が編成され、どのように作戦・戦闘を遂行するべきなのかについての具体的な思想であり、成文化されている。戦闘教義は戦争・紛争・内戦・暴動などあらゆる事態・時間・場所においても常に有効に機能すべき普遍的なものであり、どのような敵に対しても効果を発揮できるように組み上げられる。
戦闘教義は平和な時代に軍隊において研究開発して定め、これに即して部隊編成・装備体系・軍事教練などの内容が決められ、部隊を訓練しておくものである。広義に戦術という概念を説明する時にどのように攻撃するか、防御するかという術策だけではなく、戦闘教義の良否まで含まれる。優秀な軍隊には戦闘教義が不可欠であり、司令官が敵味方の戦闘教義の長所、短所を探ることから戦術が生まれる。

古典的なものでは、ギリシアのファランクス、ローマのレギオン、イングランドの長弓防御陣、ナポレオンの三兵戦術、スペインのテルシオなどがこれにあたる。また旧日本軍では戦闘教義ではなく主義という言葉を用いていた。例えば白兵主義と火兵主義などである。
 また主に安全保障における、国家の重要基本政策を示す場合に用いられることもある。例えばアメリカ合衆国の方針として、カーター・ドクトリン、トルーマン・ドクトリン、ブッシュ・ドクトリンというように、提唱者である大統領の名が冠せられるものがある。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2007/06/06 10:55 UTC )
『戦争学』 松村劭 文藝春秋 平成101220


【任務部隊とは何か?

 事態に応じて「任務編成」される部隊のことである。

 民間で言う「タスク・フォース」「プロジェクト・チーム」に相当するもので、軍部隊が出動する際はすべて、そのたびごとに事態や任務に適した部隊を組み合わせた部隊が新たに編成される。
 平時編成部隊というのは、あらかじめ法令で定められている一種の官庁組織
であり、これがそのまま実際の作戦や演習を行なうわけではない。
 任務編制部隊は、編成を命じられた上級の指揮官が(第7艦隊司令官など)
与えられた兵力の中でその都度やりくりをして編成が行なわれる。ちなみに米軍では、平時編制部隊のことを「タイプ部隊」(type command)とよんでいる。第7艦隊の場合、以下のタイプ部隊から編成が行なわれている。

水上艦部隊の空母(ジョージワシントンなど)
水上艦部隊の巡洋艦駆逐艦群[戦隊]の巡洋艦や駆逐艦
水上艦部隊の両用戦群[戦隊]の揚陸艦(旗艦 ブルーリッジなど)
潜水艦部隊の潜水艦
海軍航空部隊の空母航空団

  任務部隊指揮官には、派出された平時編成時の部隊指揮官が指定される
のが普通だが例外もある。部隊構成も平時のままではなく組み替えられるが、平時の部隊がなくなるわけではなく、いわば2つの顔を持つ部隊ということになる。
 管理面ではタイプ部隊指揮官の指揮を受け、作戦面では現在配置されている
任務部隊指揮官の指揮を受けるのである。
現代の軍隊では平時と戦時の境目があいまいになっており、平時編成と任
務編成が混在しているので、すこしややこしい。(例えば米国の第7艦隊は任務部隊であり、わが国自衛隊で新編されたBMD任務部隊は常設組織とされる。)
 なお、さきほども書いたように、平時編成の部隊指揮官は中央から人事発令されるが、任務編成の部隊指揮官は、上級部隊指揮官から指定される。
例えば米7艦隊を例にとると、以下のようになる。
 太平洋艦隊(Pacific Fleet)に所属する平時編成の部隊(第5空母航空団や空母ジョージワシントン)が、任務編成の第7艦隊(Task Fleet 7 [TFLT7])に組み込まれる。第7艦隊司令官は、それらを「自分の権限」で「空母戦闘任務部隊(Task Force 70 [TF70])」として編成し、その指揮官(Commander Task Force 70:CTF70)に第5空母航空団司令官を指定している。以下、任務群、任務隊、任務分隊という形で組織が作られる。
 ちなみに、米海軍で「○○空母打撃群」といわれるものは、すべて「TF・・・」の別名(俗称)である。(「ジョージワシントン空母打撃群」=「TF70」)
 統合軍組織は、陸海空3群から派出された様々な機能を持つ部隊から構成されるため、任務部隊の形になる。この場合は「統合任務部隊(Joint Task Force)」とよばれる。わが自衛隊のBMD任務部隊もこれに該当する。

イラク復興支援部隊、ソマリア海賊対処及びインド洋給油支援への護衛艦艦隊についても任務部隊として考えていいだろう。我が国自衛隊も世界的に通用する軍事用語に統一する、すなわち国際人道支援で海外へ自衛隊を派遣する時でも「任務部隊」として派遣すべきである。
20060708日松村劭氏のHPより転載、一部改定)

<災害人道支援活動における任務部隊の例>

災統合任務部隊(JTF-TH)・・・東日本大震災時に編成(2011.3
総兵力 106,350
指揮官 東北方面総監 君塚陸将(当時)
編成 司令部、陸災部隊(約70000)、海災部隊(約14400)、空災部隊(約21600
原子力災派部隊(約350)~この部隊のみ東京の中央即応集団(CRF)の司令官を指揮官とする。

BMD統合任務部隊  平成18年北朝鮮による弾道ミサイル防衛のために常置された。


【ニュークリアシェアリングシステムとは何か?

 ニュークリアシェアリング(核分担)は、冷戦当時から今に至るまでドイツ・イタリア・ オランダ・ ベルギー・トルコ(ギリシャ・カナダは既に離脱)がアメリカと結んでいる条約である。

 平時にNATOの枠組みの中で、これらの国々に数十~数百発の核兵器を持ち込んでおき、日常的にアメリカ軍がその国々の軍に 核兵器の運用方法を訓練しておく。そして核による恫喝を受けた時にアメリカ軍は、核兵器を 起爆コード含めてその国々に譲渡して完全撤退する。そうすることで核兵器の所有から使用に至るまでの全ての 責任がその国々に移管される。つまり核兵器の発射ボタンを共有するシステムともいえる。アメリカは撤退することにより核使用の一切の責任から免れることになるので、 アメリカが核有事に巻き込まれずに済み、システムをうける国々は核兵器を持たなくても核による抑止力を向上させることができる。なおこのシステムはNPT体制下でも機能するといわれる。
 その国々とロシアなり中国なりの撃ち合いで共倒れで 終わるのだから、これほどアメリカにとって素晴らしいことは無いため、アメリカがその時に核兵器を譲渡することは間違いない。核有事の際にその国々が核を持つことになる。
 故に核抑止力を100%確実なものにでき、結果としてロシアなり中国なりはそもそも冒険主義的な行動を 取る事が出来なくなり、核恫喝も通用しなくなり、そこには平和が訪れる。

 このニュークリアシェアリングこそは、第2次大戦以降のヨ-ロッパで平和が維持された 最大の要因と言われている。
 日本でこのシステムを行うには、日本は国土が狭すぎるので、英仏のように 原子力潜水艦で運用することになるだろう。 日本で原子力潜水艦34隻と乗員の殆どを用意し、 それにアメリカの核ミサイルを搭載し、アメリカ軍の人間を多少乗せるカタチとなる。
 ちなみにインドですら原潜運用中であり、ブラジルでも原潜は建造が決定している。日本の場合潜水艦は所詮、現在の対中国海軍用(対潜能力がかなり低い。)なので、程度の低いレベルの原潜でも問題ない。当面は大型通常潜水艦でもいけるくらいである。

≪参考文献≫
『自らの身は顧みず』田母神俊雄著 WAC() 200812

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